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第21話 魔力の重み

 目蓋を開く。天井を観て解かった。

 ここは、俺の部屋だ。

 左を向くと、レサーナが椅子に座っていた。

 椅子に座って寝ているようだ。

 器用なことで……。

 レサーナの顔を眺めていたら、急に目蓋が開く。

「うわ!」

 思わず声をあげてしまった。

「やっと、起きたの。おはよう、レキス」

「おはようございます」

 ベッドから降りながら、口に出した。

「体になにか、異常は感じない?」

 床に立って腕を伸ばす。

 膝を曲げる。

『体が重い……』

「体、少し重いですね」

「そう。レキス、今日は寝間着(ねまき)のままで良いわ」

「え? 学校に行かないと」

 レサーナが口を(つぐ)む。

 少し恥ずかしかったが、外着に着替える。

「大事な話を、朝食後にするから……」

 そう言い残し、椅子から立ち。部屋から出ていった。




 3人で。朝食を食べ後にレヴァン曾お爺ちゃんが、全て片付けてくれた。

 気を利かせて、外に出かけたレヴァン曾お爺ちゃん。

 2人、テーブルを挟んで互いを観ていた。

「話の前に言い訳しても良いかしら?」

「はい?」

「親として子供にそんなことは、言いたくない。でも魔法術師としては、言わなければいけない」

 黙って話を聞く。

「『魔力の4大法則』は、知っていますね」

「『アスリットの法則』を解かりやすく言ったものです」

 なにが、言いたいんだろうか……。

「そう。魔力は『加速』『拡散』。『伝達』『膨張』4つの性質が備わっています」

 当たり前のことを……。

「『魔力の4大法則』その総てが、人の中に存在している。状態を『魔力使用可能状態』と言います」

 それも、知っている。

「10歳を過ぎた人には、親から受け継いだ魔力を自分のものにすることが出来る」

「本当ですか! 初めて知りました」

 そんな、話。本に載っていなかったぞ!

「『魔力遺伝の法則』によって、両親の総魔力保有量に対して引き継げる魔力の量が変わります」

 だとすると、親の魔力が多いほど。子供の能力も上がる気がするのだが……。

「『魔力遺伝の法則』は、暗黙の了解で。(おやけ)にしないことが、教える条件になっているわ。本なんかに載せられるわけないでしょ」

「あることを犠牲にすれば最強の魔法術師を創ることが出来る。そんな理論が存在して良い筈ないのよ」

 俺は聞かずにはいられなかった。

「あることとは、なんですか?」

「人生と命その2つ」

「今までの、魔法。魔法術の歴史がそうなのよ、誰かの犠牲。その上に成り立っている。それが、魔法であり魔法術でもあるの」

「個人の限界を超えて、魔法術を発動する事を『限界制御』と言うことは知っているわね」

 この世界に転生して、最初に聞いた。

「ええ」

「この『限界制御』は、代を重ねるほど。性能が上がっていき最終的には、極級魔法術を何度でも発動できるようになることが。魔法発動学によって、解かっているわ」

「話を少し戻すわ。4大法則は、その4つが均一であるほど良い。12を最大数として、『加速』を3。『拡散』を3、『伝達』が3。『膨張』3、これが一番だけど。人に得意、不得意があるように、魔力構成も同じ」

 真剣な表情。

 話を再開した。

「レキスが得意なのは『加速』と『伝達』。しかも正常な量ではない、その2つが飛びぬけている」

「人より多いんですか?」

 壁時計の時を刻む音が耳に届く。

「私の得意な『加速』と『伝達』それが加わったら」

 加わったら……。

「レキスに『魔力暴走』が起こる。今のままでは確実に」

「『魔力暴走』ですか……」

 聞いたことがないな。

「『魔力暴走』は、魔力病を引き起こす」

「え……」

 テーブルの下で、拳を握る。

 強く握り締める。

 これは、本で読んだことがあった。

 三大魔力病。

 その1つの魔力病が。

 魔力が原因で、血液や血管。筋肉、神経や皮膚が固まることから。

 突発性血液凝固魔力病。

 致死率。

 98%。

 この病気は、発症者の魔力を正常に戻せば。完治するが「魔力循環の法則」のせいでそれは、無理だ。 

 この世界は「魔力循環の法則」によって、魔力が廻っている。

 その法則は人にも適用される。

 発症すれば、死ぬと言われる所以(ゆえん)だ。

 

 2つ目が、人体内魔力消失病。

 通称、魔力枯れ。

 人に中にある。魔力。

 魔法、魔法術をどんなに限界まで発動しても、死ぬまで発動することは出来ないようになっている。

 体に備わった「発動限界制御」と言われている、一種の安全装置がある。

 人の中にある、魔力が完全に無くなることは。普通、起きない。

 魔力枯れは、病気としてもあり。魔法術の発動しすぎでも起きる。

 致死率。

 100%。


 3つ目。

 火炎魔法術誤発動焼失病。

 魔力暴走を主因とし、発症=即死の魔力病。

 謎が多い、病気の1つ。


「ありえない……。なんで……」

 俯く。

 気づいたら、テーブルに滴が落ちた。

「ごめんなさい」

 なんで。

「なんで、謝るんですか……」

 2共、押し黙った。

「私が、未来のことを考えないで。修行したから……」

「……自慢ですか」

 壁時計の針が、音と時間を刻む。

「そう言うことでは、なくて」

「それのどこが……。どの部分が、自慢じゃないんですか?」

 今までの人生。いったい何の為に、生きてきたと思っているんだよ。

「ごめんなさい。でも」

 テーブルに両手を打ちつけ、レサーナの言葉を(さえぎ)った。

「最近やっと。解かってきたんですよ! 普通の人生でも良いかなって。俺は、そんなに凄くないし。6帝の中じゃ、剣術以外ぱっとしないんですよ!」

 テーブルを何度も、両手の掌で叩く。

 手が痛い。それに対しても、腹立たしい。

 叩いても空しいだけだった。

 叩くのを止める。

「6帝。ミファーネちゃんとトリシアちゃん。フィアレスくん、レキス。ルックくんとレリスちゃんね」

 一呼吸置いて、話を再開する。

「そうです……。霞むんですよ、自分がそこまで優れていないって。解かるんです!」

「皆、努力している。レキスだって……」

 目蓋から涙が溢れ。テーブルに落下する音が、鮮明に届いた。

「王国公務員でもなって。結婚して、幸せな家庭さえあれば。俺は……」

「俺はなんなのよ。言いなさい、レキス」

 俺は、テーブルを叩こうとした、手を止める。

「そんな、普通の人生でも良いからと。今の俺には、そう思えるんですよ!」

笑止(しょうし)な事を言いますね。失笑(しっしょう)しそうになりましたよ」

「何が、可笑しいんだよ!」

 顔の前に水が、出現して弾けた。

「あぷ」

 水が掛かった顔を手で拭く。

「何、するんですか!」

 レサーナがテーブルに、両肘を乗せて両指を指の間で組み。その上に顎を乗せた。

「仮定の話は、面白かった? どうせ、ミファーネちゃんと一緒になる妄想でも。したんでしょ」

「くっ!」

 怒りと羞恥が同時に沸いた。

『なんで、解かるんだよ』

「真実が必ずしも。自分に都合が良いと思ったら、大間違い」

「何が言いたいんですか」

 レサーナに問う。

「どうせ未来で、死ぬから教えてあげます」

 なんだよ、死ぬって。

 嫌な予感しかしない。

「レキス・アスリット。その前は、にしいわ、たくまさん。そうでしょ、レキス」

 顔が引きつる。

「な、なんで……」

 レサーナの瞳。

 マリーゴールドの瞳を見るだけで、俺は精一杯だった。

「私が今まで関わった中で、特に親交のある深い人が未来で死ぬと。それまでの人生が、観えるのよ」

「そんな。なんて、力だ……」

「転生者。私たちは、そう呼ばれているわ」

 全部、知っていて……。

「じゃあ。誰が未来で死ぬんですか!」

 数10秒経ってから、レサーナが口を開いた。

「観ることが出来るのは、本来の寿命で死んでいない人達だけ」

「可笑しいですよ、それは。なんで寿命が残って死ぬんですか」

「殺されたからね……」

 腰が椅子の上に落ちる。

「クラスや私。レキス、ベルフ。ミファーネ」

 思考が停止した。

 壁時計の針が、動き音を立て続けた。

「なんで。殺されないと、いけないんだ……」

 理解不能な怒りが、俺の体内魔力を刺激する。

 両腕に、痺れを感じる。

 レサーナが、席を立ち階段を上っていった。

 目を(つぶ)る。



 今は、何も考えたくない。

 いったい俺は、なんでこの異世界に転生させられたのか。

 もし、俺が強かったら殺されないで済むのかな……。

 目蓋を開くと明かりを、眩しく感じた。

 右を向いて壁に掛けてある。

 掛け軸を眺めていたら、突如。レサーナが現れる。

 剣を帯剣して、魔法発動鞄を肩に掛けていた。

「うわ!」

「強くなりたい? 未来を変えたい?」

 直ぐに答える。

「未来は、俺の手で作りますよ。殺されてたまるか! 俺を強くしてください。お母さん」

「お願いします」

 椅子から立って、頭を下げて言った。

 俺の右手を掴んでマリーゴールドの瞳に見つめられた。

「本当の気持ちで、お母さんと初めて言ってくれましたね」

 言ってなかったかな……。

「お母さんは、お母さんですよ」

「私の子供なんだから。甘えて良いし、ちゃんと願いには答えます」

「ありがとうございます」

 少し、恥ずかしかった。

「ありがとうだけで、いいです。本当の修行をしましょう」

「『転送魔法円(てんそうまほうえん)』刻印」

 床に、この世界では古代精霊文字。英語と模様が現れ薄白く発光する。

「円の中から出ないでね。それでは、行きます」

「何年掛かっても良いから。俺を強くしてください」

「解かっています。『転送魔法』発動」

 部屋から俺とレサーナ2人の意識が、消えた。


 

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