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第2話 お小遣いと経験値 

 この世界に流通している貨幣は、セイルと言われるものだ。

 どの本か忘れたが、見習い冒険者は月に13万セイル程度の稼ぎがあるらしい。

 冒険者ギルドでは、第1~100等級と言う級で冒険者の実力を表す。

 勿論、見習い冒険者は第1等級からだ。

 たしか、2~20等級までが中級冒険者で、21~50等級は上級冒険者だったと思う。

 一般の冒険者には、関係ない話だが51~79等級になると、超級冒険者を名乗れて、80~100等級は(きょく)級冒険者だ。

 話を戻す。

 1セイルは、日本円で2円ぐらいだと思う。

「レキス、あそこにある。銅製の蓋みたいなものは、なんの為にあるか解かる?」

 お母さんが指差した方に、目を向けていく。

 道には、煉瓦が隙間なく敷き詰められていて、一切の凹凸がなかった。

 一種の芸術だ。

 たしかに、煉瓦道の真ん中に銅版がはめ込まれていた。

 銅版を目指して歩く。

 近くで見ると英語系の文字が銅版に刻まれている。

 その銅版の中には、3つの円で英文が分けられていた。

 一番外の円には、5箇所に分けられて英文字が一字ずつ入っていた。

『m/a/g/i/c』

 マジック?

 マジックに次、外から2番目の円は6箇所に分けられていた。

『d/e/f/e/n/d』

 外から三番目で最後の円は、5箇所に分けられていて『a/w/a/l/l』と刻まれていた。

『マジック、ディフェンド、ウォール』

『防御する壁。防御魔法か!』

「これは、魔法円(まほうえん)ですね。そしてなにかを守るためにある」

「よく解かったな!」とクラスが驚く。

「2歳から本がないとすぐにだだをこねてたのが。昨日のことのようだわ」

 少しだけ、昔の記憶が鮮明に出てきた。

「レキス。お小遣い渡すから手を出して」

「は~い」

「お金を渡すのは、早すぎやしないか?」

 なんて事を言い出すんだクラス!

「ほんとに早いと思うの? 他の子と比べて早熟(そうじゅく)だと思わない」

「俺も、そう思うが……レサ。小銭入れも渡してやれよ」

『男前だぜ。クラスの旦那!』



「はい、どうぞ」

 レサーナから動物の皮で出来たポケットサイズの小銭入れを渡される。

 黒色が色濃く出た赤黄色の中身を確認しようと思う。

「500セイル入っているわ」

 口についたファスナーを、動かして広げた。

 中には、100セイル銀色の硬貨が5枚入っていた。

「ありがとう。お母さん」

「どういたしまして」


「それにしても、どうして今日はこんなにも人が少ないんですか?」

「そりゃ~。金持ち冒険者がフォスターマウント村からラナカトーサ王国や北魔境・パスト大陸に引っ越したからだ」

 レサーナお母さんが、話を引き継いだ。

「私たちが住んいる。ライツ区、いいえ。フォスターマウント村全域で転出超過、わかりやすく言うと新しく住む人より、よその土地に行く人が多い状況なの」

 歩きながら、建物だけあるが店がやっていない商店街を進んでいた。

「ラナカトーサ王国では、今50年に一度の武闘大会が開かれていて、前回の大会には7563人が参加登録していた。数年かけて試合が行われるから、生活基盤を移す人が多くいた」

 クラスが思い出したように語る。

「今回の優勝賞金は、3億セイルだったわね」

「1試合でも勝てば、2万セイル貰える。行きたかったな……」

 惜しそうな顔をしてクラスが、(つぶや)いた。

「夢見てないで仕事すればいいでしょ! あなたにクレアス王国から剣術指導の依頼が毎年来てるのよ!」

「解かっているよ。そろそろ、本気で検討して見るから」

あれから、開いていた店の中に入り商品を見る。

 店の入り口を外から見た時。

 左側に柱が太そうで、頑丈そうな木造建築の建物に冒険者ギルド。

 その看板が、掛けられていた。

 この店、立地は良いのに客が1人も居なかった。

「いらっしゃいませ」

 店の左側にある、奥の部屋から出てきた。

 店主らしき人物に声を掛けられた。


「あ! レサーナさんとクラスさん、お久しぶりです」と店主がいった後に会釈(えしゃく)する。

「こちらこそ、お久しぶりです。クリヒヤさん」

「どんな物でも。仕入れますのでなんなりとお申し付けください」

『態度変わりすぎだろ!』

「ところで。ファリルは居ないかしら?」

「それなら。今日中には帰って()れる思いますが、妻だけじゃないので……」

「手紙を飛脚に渡し忘れて、いた為。伝え逃していたのですが。4年前に長女が生まれました」

「おめでたいわね!」

『全然。話についていけない……』

 俺は1人。

 店内をうろつくことにした。

「今日は、見てもらいたい。物があるわ」

 気になったので、店の棚から顔を少し出して覗き見る。

 鞄のボタンを外す音が、耳に届く。

 塊をレサーナお母さんが、ニット帽みたいなものを被った店主に渡す。

「これは、鉄礬(てつばん)石榴(ざくろ)石、別名ガーネットの原石ですね」

 続けて、口を開く。

「とてつもない、魔力保有量だ! 市場(しじょう)に出せば。3300万セイル以上の価値がある代物だ」

「普通、一般人では見ることも出来ない魔力をここまで可視化した物は、私も始めてよ」

()カットの原石だけでも。220万セイルの価値があるというのに……」

「この原石を、買い取ってくれない?」

 いつのまにか、宝石につられ近くに寄って見ていた。

 その原石はかなり大きく。

 漆黒の赤色だ。

 原石という物は、始めて見るがごつごつしていて形は所々、不規則で平らだった。

 一瞬、何かに当てられ目をつぶる。

 蒼白な何かが、頭の中で見えた気がした。


「バッタン」

 ドアが、行き成り開いて閉まった。

「ベルフさん。ただいま!」

「神速のファリル! そのファリルだったのか!」と嘘だろみたいな顔で、声をあげた。

 どうやら、父親も話についていってなかったようだ。

「ミファーネは、どうした!」

「馬車でゆっくり向かってるよ。安全優先で幻影杉(げんえいすぎ)街道(かいどう)を通って来ているから、あと3時間ぐらいで帰って来れると思うよ」

「なら、問題ないか」

 活発な少女って感じのファリルが俺を見つけた、獲物を捕捉したような目をして近づいてきた。

「君、名前は!」

「初めまして。レキス・アスリット、4さいです」

「偉い、偉い」とファリルさんに言われた。

 ファリルさんの特徴は、(あかね)色した短髪の判りやすくいえば、おかっぱスタイルで前髪にアクセントをつけている。

 上から下に逆スラッシュが入ったような髪型だった。

 確かこれは、レイヤーショートボブと言う名前だったと思う。

 前世で読んだ数ある異世界物小説で身に着けた知識だ。

 異世界物小説って、意外と役にたつな! 

 今ここで、数十年に亘る異世界ブームに感謝申し上げます。

「それ、凄く良いね!」

 ファリルさんが、興奮気味にベルフの宝石の原石を待っている手に目を近ずけて、手も添える。

『ファリスさんていったい今、何歳なんだよ~』

「おい。久しぶりに振りあったて、いう話がまだ途中だったよな?」

「彼女、天然な所があるから。でも、そろそろこっちを向いて貰いましょうか」

魔力(まりょく)流還(りゅうかん)!」と言った後、ファリスの肩にレサーナが右手で触れた。



「6年振りね、ファリル」

「ごめんなさい。気をつけては、いたんだけどね……」

「あなたの特異体質による物だと知っていますから、気にしないで」

「言わなければいけない事が山ほどありますけど、急ぎの用事から先にね。

 結婚報告の手紙ありがとう、そしておめでとうファリル。

 北魔境・パスト大陸に入る前に届いたから、出航前に返事を書いたけど届いた?」

「はい! ちゃんと受け取りました」

「良かった」

 安堵の表情を見せるレサーナ。

「これが、本題なんだけど宝石の原石を買い取って欲しいの。

 値段は、25万セイルで買ってくれない?」

 一瞬、ここに居る全員が固まった。

「え!」と本日二度目の驚愕の表情をしたのはクラス。

「幾らなんでもそれは……」と顔が引きつるベルフ・クリヒヤ。

「嘘だろ!?」とツッコミをいれてしまった俺。

「ほんとに、良いの!」唯一まともな答えの、ファリル・クリヒヤ。

「皆、落ち着いて。ガーネットは、一月の誕生石よ。そしてファリルの誕生日は、精暦1684年1月12日なの。だから、私からファリルへの28回目の誕生日の贈り物で、結婚記念品さらに出産祝い品になる。そういうことだから25万セイルで受け取ってくれない」

 間を置いてクラスが、口を開いた。

「3000万セイルの贈り物なんて、聞いたこともないぞ!」

「そう言うことは、お金を稼いできてから言ってください」

 クラスが沈黙した。

「本当に、ありがとう……」

 ファリルが涙目でそう呟くのだった。



 ベルフから25万セイルを受け取り、家に帰ってきた。

 家があるのは、フォスターマウント村のライツ区だ。

 フォスターマウント村は、4つの区に分けられている。

 その4区は、町とも言われている。

 大まかに言うと家族で住んでいるライツ区が住宅街にして、冒険者ギルドがあり、クリヒヤ第7商店がある。

 家から見て、ライツの右隣位置するのが、サンツ区で学業街と呼ばれている。

 サンツ区には。中、高の両方の学校があり数千人が勉学に励んでいるのだ。

 小学校という物も、この世界にはあり。それがあるのはアスリック王国に近くライツ区から前にずっと行くと行くとある、グレイツ区だ。

 家から、4kmほど直線で離れた区になる。

 この村は、4つの区。

 山あいのライツ区、建物が多いサンツ区、王国の王都に近いグレイツ区。

 言い忘れたが、ライツ区を更に左に行き。

 幻影杉街道を抜けると、ロロックス区。

 ロロックス区はアスリック王国とラナカトーサ王国とを繋ぐ貿易の拠点だ。

 

 お手洗いのすぐ近くにある洗面台で手を洗ったあと、前にある鏡を見る。

 鏡が、レキス・アスリットの顔を俺に見せた。

 今は、そこそこかわいくて髪型は、かっこよさを優先したような短髪だ。

 色は、黒に近い紫色。

 たしか、茄子紺(なすこん)と呼ばれていたと思う。

 なんとも、表現しにくい色をしていた。



 昼ご飯の後「1704年3月から学校に行くことになるから、その準備をしなくちゃ」とレサーナが話した。

 レサーナが言うには「小学校が6年間で中学校が3年、高校は志願制で3年から8年通えるわ」だと。


「高校より上は、ないんですか?」とレサーナに問いかけた。

「学校では、ないけど研究を行う機関。王国が運営しているアスリック王国研究機関みたいな研究機関は、各王国が待っていたと思うわ」

 まだ、正確に貴族制度がどうなっているのかよく解からなかった。

 レサーナに子供っぽく聞いてみたら。

 答えが返ってきたのだが……。


「貴族制度自体。今は、あって無いようなものね」

「精暦350年にある法案がクレアス王国議会に通り発効された。これは『貴族自己権力規制法』と言われる貴族から一定の権力を奪う法律よ。この法律は、他の王国でも真似られたほど。その時代、場合によっては、王国すら凌駕する資産、兵力を所持した貴族もいたの。その昔、一部の貴族が私利、私欲のために国家間を焚きつけて戦争を起こすことで、資産や権力を伸ばそうと考えた、155年から347年の間におきた数十回に及ぶ戦争の起きた時代。今、煉獄世紀と呼ばれている時代まで遡るわ――」


 レサーナの話は、晩御飯の準備を始めるまでざっと。

 4時間続いたのだった。

 この世界は一度、火がつくと延焼しやすいようだ。

 以後、気をつけようと思う。


 それにしても、今日は人生(前世を含めて)で1番濃厚な1日だった。

 床に直接敷かれた布団の中に潜り込み呼吸を整え、俺は眠るのだった。

 異世界データ。

 愛称

 状況確認を円滑にするため、名前を短縮して言うことをさす。


 魔力当たり

 症状、体の一部に痛みがあったり、なかったりする。

 基本的に、発熱がおこる。

 発症理由、取り込みすぎた魔力を外に出すためだと考えられている。

 発症後、次の日には、2日前より元気だ。

 効能、魔力保有備蓄総量の増加がある。

 子供に発症した場合、次の日にほめてあげましょう。

 子供が魔法・魔法術を使えるようになるための、第一関門なのですから。

 数500年前まで魔法・術使いにおける、一種の成長痛といわれていた。

 今では、全国民のあいだで起こる現象となった。

 理由のひとつに魔法・術の普及率の増加が考えられる。

 発症年齢、男7~10歳 女6~9歳の間に発症する

 いわゆる、外菌からおこるものではなく体の中に発症させる細胞があるとかんがえたのが、それを見つけたのが精暦1568年 ネースシャル・カレリス。

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