第19話 髪の色は勿忘草色の少女
放課後、教室を後にし家に一度帰宅。
リーズ・マサドリ貸本屋の中にある。飲食店で、話をしていた。
さつま芋チップスとリンゴジュースで合計3人分。
先払いで、960セイルが飛んでいった。
「悪いな、レキス」
「私達。自由に使えるお金が、余りないから。ありがとう、レキスさん」
「情報料だと思う事にする」
「青い3帝について知りたいのね」
「そうだ」
ルックが、手を前に出して話を止めた。
「まずは、6帝から説明してやってくれ。あと、レキス話が終わるまで質問禁止だ」
「お、おう」
リンゴジュースが注がれた。ガラスのコップを掴み口に含む。
甘い。
「6帝は、火炎の3帝と青い3帝を合わせて言ったもの。火炎の3帝は、私達3人のことで」
「青い3帝は、ミファーネちゃん。トリシア・ミツカユ、フェアレス・イルーク。その3人です」
(ミファーネ? どこかで聞いた事が、あるような。名前だ)
「姓名は、なんて言うんだ?」
「クリヒヤさんです」
「ベルフ・クリヒヤがお父さん?」
「そうですよ。知っていたんじゃ、ないんですか」
「解かった。ベルフ・クリヒヤさんの子どもだ!」
「それだけしか、知らないんですか!」
「俺が解かったのは、それだけだ」
ルックが、さつま芋チップスを2枚同時に口の中に入れた。
「青い3帝を詳しく教えてやってくれ。レリス」
「はい。青い3帝の3人は、中級の魔法、魔法術を使えます。
特に凄いのが、ミファーネちゃんです」
俺は、驚愕しながら言う。
「そんなに、中級の魔法術を使える奴がいたのか……」
落ち込んでいた。俺に、更なる衝撃をレリスが与える。
「ミファーネちゃんは、上級の魔法術も使えますよ」
「そんなことは、あり得ない! 人なのか……」
レリスが木製の机を、両手で叩く。
レリスが、早口で話を捲くし立てた。
「ミファーネちゃんは、可愛い女の子です! 髪だって青いし。
髪が勿忘草色ですよ!」
興奮気味のレリス。
ルックが俺の耳元で、口を開いて呟く。
「レリスは、青色が好きなんだ。あと、ミファーネとは、友達だ」
レリスが落ち着くまで、周りを見る事にした。
店には、ガラスも扉さえない。高価な魔力起動家具、魔家具。
「光球」が大量に吊るされていた。
この店、1階にリーズ飲食店と貸本屋の1部。文具店。
その一階の総面積が635坪。解かり易い言えば、とてつもなく広いだ。
2階も貸本屋で、3階が書店だ。
「勿忘草色を解かりやすく言うと。青に白色を足して、空色より少し青い。それが、勿忘草色です」
元に戻った、レリスが言った。
「そして、ミファーネちゃんの凄い所は。なんと言っても」
一呼吸置いて、レリスが口を開く。
「髪です!」
椅子に座って前に乗り出そうとしていたせいで、テーブルに頭をぶつけそうになった。
「はっはっ、は。はーー」
ルックが笑いながらの苦笑い。
拳を振り上げて、レリスが突如静止した。
動かない。
レリスが、動かない。
特徴的な髪色に、俺は気づいた。
ルックも同じように、気づく。
『噂をすれば。か……』
ルックが安っぽい商人みたいに、手を揉みだし。
頭を下げながら、既に貫禄がある。女の子2人と男の子1人に近づいた。
「お久しぶりです。ミファーネさん、ミツカユさん。イルークさん」
「久しぶり。ワークさん」
「ふん。大げさだぞ、ルック」
「久しぶりね。ルック君、レリスちゃん元気にしてた?」
「はい! 元気です」
レリスが、大げさに言った。
1番左に、居たのがたぶん。トリシア・ミツカユ。
服は、カーキ色のカーディガン風のジャケットと珊瑚色のフレアスカートを着ていた。
真ん中に、勿忘草色の少女。
ミファーネ・クリヒヤ。可愛い! 綺麗! 美しい!
服は、スカーレット色にクリームイエローのフリルを袖に付けた。
丸ヨークブラウスとその下に、服を着ていて。
半袖のブラウスからアイボリー色が見え。
象牙色の長袖だった。
そして、グレーのパンツを穿いていた。
『可愛い。ファッションセンスも高く、顔も整っていて。さらに戦闘力も高いだと』
もし、俺が主役だったら。喜んで、主役を譲ります。
「茄子紺色。レキスさんですか?」
俺には、天使みたいな声に聞こえた。
高音すぎす、ロリ声より大人っぽく。
それでいて。
きつくない声。
性格の良さそうだし。まさに、パーフェクトガール。
現実に意識を戻し、挨拶。
「初めまして。レキス・アスリット、10歳です」
観察する。
「初めまして。ミファーネ・クリヒヤです」
それにしても体のバランスが観ただけで、優れていると思う。
戦闘においてバランス感覚は大事だからな。
「これから、一緒にどうですか。読書でも」
ミファーネが、俺達をさそう。
「断る理由も無いので、読書しましょう」
即答。
「魔法術だけど、大丈夫?」
「俺達が、火炎の3帝と言う事をお忘れかな?」
「魔法術は、得意ですよ」
無言で、俺は歩き出したミファーネ達について行こうとしたその時。
外から、なにか爆発したような音が。
聴こえた気がした。
「なんだ?」
ルックが首を傾けて言った。
「外で、何かかあったのかもです」
レリスが、慌てながら言った。
「また、ゴブリンが出たとか……」
そこまで言った瞬間に、ミファーネが走り出す。
するとあっという間に貸本屋の出口に着き、扉を開け外に出た。
「俺達も行くぞ。ルック、レリス。前に教えた、戦闘心構えを思い出せ!」
「「了解」」
「今回は、援護に徹してくれ!」
そこまで言って、俺達は出口に向かって走り出した。
次話 ブラックゴブリン
ゴブリン強化種。
ゴブリンとは違うのだよ、ゴブリンとは。