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第18話 師匠の気持ち

 クレアス王国。王都ラムトメートに行ってから、11ヶ月後の11月。

 俺は、小学4年生になっていた。

「中級魔法術を発動出来ないのは、レキスだけになった」

 グラオ・ガイナス先生が残念そうに言った。

「3人しか、いないんですよ! 俺とルック。レリスさんしかこの特別進学枠にいないじゃないですか」

「まあ、そう怒るな……。まだ10歳だろ、人生まだ残っているんだから。気長に行こうぜ」

『急かしたのお前だろ!』

「魔法術を発動するから。さがってください」


 グラオ・ガイナス先生、ルックとレリスが見守る中。

 魔法術の詠唱に入る前に、レリス。レシアー・カレリスを見る。

 レリスの顔は、平均的な女の子より可愛い。

 最近、ルックがレリスの事を意識しているような気がした。

 特に胸に対して。そう、胸だ。

 視線が、段々。

 体の上体に向いていく。

 進学してから、胸がふくよかになり始めた。レリス。

 目が合った。

「なんですか?」

 レリスが集中する。

『不味い!』俺は、両足指だけを真ん中に寄せる。

「風撃!」

 詠唱文無詠唱の魔法術。

 可視化された風が、俺を襲う。

 空手の、三戦(さんちん)立ちで受け止める。

 手加減してくれたのか、顔が吹き飛ぶことは無かった。

 風撃が俺に当たった、顔が痛い。

 俺。エロいことして、痛い目見るキャラじゃないのに……。

 これも、怪しい顔や行動したやつに先制攻撃をするよう言っておいた俺のせいだ。


 行き成りで、なんだが。

 俺が思うに、ルックとレリスは両思いだ。

 右手を鼻にあて、鼻をこする。

「今から魔法術を、発動します」

「我が力を変換し、て。血が出てる!」

 広げた、両手の右側に血がついていた。

 鼻から血が溢れてくる。

「まじゅい。まじゅいです」

 鼻を伝って、口の中に鼻血が流れ込んできて。うまく喋れない。

「大丈夫か」

 ルックに尋ねられた。

 


 数10分程度で、鼻血は止まった。

 顔を洗って、復帰する。。

「仕切りなおして、魔法術を発動します」

 俺を抜いて3人が、沈黙していた。


『我が力を』

 そこまでのあいだに、火炎柵(かえんざく)を発動する。予定の場所に魔力を注ぐ。

『変換し』

 魔力を数cmの球体。そのイメージで加速、回転を加える。

『火炎柵』

 魔力で作った楕円(だえん)形のドームを3つ、連結させる。

「我が力を変換し『火炎柵』発動せよ」

 過剰なほどの、魔力を注いだ。

 突如。先端が鋭利で細い十字状、3本セットの火炎柵が出現した。

 数10mの火柱だ。

「レキス、『詠唱文無詠唱』と『二重詠唱』をつかったようだが。中級魔法術ていどの発動に時間をかけすぎだ」

 火炎柵が地面に引っ込むように消えた。

 グラオ・ガイナス先生が、駆け寄ってくる。

「まあ。なんだ」

「待ってください。もう1つ、試しても良いですか?」

「1度の詠唱と魔力操作で、発動しろよ」

「解かっています。1度の詠唱だけで発動します」

 両手を前に突き出す。

 ガイナス先生が俺から、離れた。

 最近、手に水が流れるような感覚。

 魔法、魔法術の発動時に感じるようになっていた。

 深呼吸。息を整える。

「我が力を『火炎柵』へ変換し。発動せよ」

 最初に魔力を注ぎ、後でじっくり変換する。

 これこそ俺が、最近見つけた。新しい発動法だ。

 火炎柵が出現した。

 一呼吸置いて。魔法術を消す。

 ルッセント・ワークが、駆け寄ってくる。

「やったな。レキス!」

「よし!」

 それだけで良い。俺は、もっと先を見ないといけないから。

「おめでとうございます」

 レシアー・カレリスも、祝ってくれた。

 ルックが、両手を上げて一言。

「こい!」

「パァチィ」

 頭の上で、タッチ。

「私も言いですか?」

 ハイタッチ。

 手を叩き合わせた瞬間に、推定Cカップの胸が弾んだ。

 ブラジャーは、どうした。着けていないだと!

 カップと言えば。カップは、女性のバスト全般を指す言葉では無い。

 ブラジャーの胸を覆う部分。それがカップな訳で……。

『なに言ってるんだ。俺は』

 余談はさておき、本題に戻ろう。

 真顔をし過ぎたせいか、レリスが顔に疑問符を浮かべていた。

「これでやっと。お母さんから、上級の魔法と魔法術を教えて貰える!」

「教えて貰えったら。私達にも、教えてくださいね」

 レリスが、可愛く言った。

「物事を理解せよ。私は力を求めん、さすれば技の真髄(しんずい)開くであろう」

 ルックが、ライモスタ・アスリット魔導師の言葉を引用した。

「意味知っているのか? ルック」

 ルックが頷く。

「知識こそ力なり。敵を打ち倒すだけが、強さじゃないんだ」

 俺は、この時思った。

『この2人は、俺のほぼ全ての知識を吸収させた。今の俺には剣術とバカみたいな体力しか誇れるものがないが。この2人こそが俺の宝物だと……』

 学校のチャイムがなる。

 いつの間にか、消えていた。グラオ・ガイナス先生。

 俺達は、教室へと向かった。



 教室で、3時限目の国語。

 授業が終わり、給食を食べてからの昼休み。

 いつものグループで、話していた。

「これで、一緒に飛び級出来るな!」

「そうだな……」

「なんだ。素っ気ない返事して」

「あっ、いや。何でもない……」

 ルックが目の前で、大きく溜め息を吐いた。

「レキスの悪い癖だぜ。悩みや相談は、いつでも聴いてやるからな」

「溜め込むのは、医学的にも良くないです」

 決心して、言うことにした。

「青い3(てい)ってなんだ?」

 ルックとレリスが、膝を落として地面に沈んだ。

 現実でも、こんな事が起こるんだな……。


「本当に知らないのか?」

「そんな!」

「レキス。お前、学校の中で起こっていることにまったく興味ないだろ」

 よく考えたら、俺。この二人以外に交友関係が、ある生徒。

 居なくないか?

「そういえば、よく3帝。3帝言っていたな」

「緊急会議を、開く必要がある。3帝について、説明してやるから。

 リーズ・マサドリ貸本屋へ家に帰ったあと。行こう」

 ルックが、深刻そうに言った。

「貸本屋が出来てから。特に、レキス。人と関わらなくなっているぞ。

 3帝の続きは、貸本屋で話そう」

「解かった」

「3人で、マサドリ貸本屋ね。放課後直ぐ、家に帰って集合しましょう」

「レキスの(おご)りだからな」

「解かった、解かった。マサドリ貸本屋だな」

 ちょうど、学校のチャイムが鳴った。


 数分後、先生が教室の中に足をふみいれた。

 先生が入ってきた。

「理科の授業を始めます。レシアーちゃん、始める前の挨拶を」

「今から、理科の水蒸気についての授業を始めます。起立、礼」

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