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第16話 城壁の周りで

 次の日。朝ご飯を食べた後、城壁の外を数人で走っていた。

「走れ、走れ。足の指に肉刺が出来るまで走れ! クレアス正流名物。城壁周回だ!」

 俺とルック。目の前で館長とレサーナ、センクレイドの先頭グループ。

 そこにいる、センクレイドが俺達を焚きつけていた。

 ルックが、これ以上のスピードアップは無理だという表情だった。

 クレアス王国。王都ラムトメートの周りを囲むように建造された、城壁。

 戦争が起これば、鉄壁の守りとなる事だろう。

 相手からして。攻めにくいと言う事が、防衛の基本だからな。

 まさに一種の制止力だな。

「86km走りきった先に。強さの扉を叩く、権利を与えられるのだ!」

 かなりしつこい、センクレイド。

 センクレイドってこんなにも、個性派だったのか?

「はっ、は。全然先頭に立てねえ」

 ルックが、息を荒げて言った。

『ルックに、もっと早く行くかとは言えないな……』


 そういえば、ルックに小学校での体力測定から数日後に。

『学年最高得点だったぞ』と後から言われた。

 前世で学んだ、トレーニング法。

 それを、日頃から効率よく行った俺は、体力が自慢出来る物の1つとなっていた。

 紐と枝木で作った、即席ラダーなんて物もある。

 見た目は、梯子(はしご)だ。その枠の中で足を早く動かすのだ。

 他に、階段ダッシュ。後ろ走りや軽い筋トレをやってきた。

 それは、さておき。

 積み上げてきた差が、ここで出たようだな。

「悪いルック。俺は、先に行ってる」

 走るペースを上げ。先頭に合流する。

「待てー。レキス」と後ろの方からルックの声が、聞こえた。

 先頭の一番前に居たレサーナと並んで走る。

「まだ、余裕があるなら。もっと早く行ってもい良いけど?」

 レサーナが俺に問いかけてきた。

「行きましょう。もっと早く!」

「何だと? まだ余力を残していたのか」

 それにしても、館長。全然喋らないな……。

 少し、息が荒くなる。

「え? クラス!」

「レサーナ。久しぶりだな」

『お父さん? そう言えば。クレアス王国で、剣術の教官をやっていたな。完璧に忘れていた……』

「久しぶりね。あなた、話は走りながらしましょう」

 城壁よりにクラスがいた。基本的に精神が大人なので、そこまで感極(かんきわ)まらない。

『走りながら会話できるか?』

「あなた、剣術を教えるのは上手くいっていますか?」

「小粒ぞろいだけど。覚えは良い」

 基本的に今の走っている速度は、100mの短距離走並みだ。

『どれほどの体力が、あればそんなことが出来るんだよ!』

「お父さん。お久しぶりです」

「お! 元気にしてたか? レキス。随分大きくなったな!」

「始めまして。クラス・レイルックさん、おっと。昔の姓名を言ってしまった、申し訳ない」

「いえ、気にしないで良いですよ」

「今度こそ、速度を上げるわ」

 さらに早くなったレサーナには、クラスを除いて1人もついて行けなかった。

 俺も、何とか追いつこうとスピ-ドを上げる。

 走るのが、こんなにも楽しかったとは……。

 1周するまで、途中ペースを落としながら。3着で走り終えた。

 20分後、館長とセンクレイドが同着。

 その、32分後にルックがゴールした。

 次々と門下生が、走り終わる。

 1周を走り終えたら、帰って良いと館長から言われていた。

 レサーナとクラス、俺の3人で、晩ご飯を食べることに決める。




「日本の風亭」で晩ご飯を食べた後。これまでのことをクラスと話した。

「ホワイトゴブリン。本当に居たのか! 噂で聞いた程度の話だったか信じていなかったんだが」

「おっと。そろそろ、宿舎に戻らないといけない時間だ」

 食後に頼んだ。リンゴジュースを飲み干してから、クラスが立ち上がった。

「俺が、払うから。おやすみレサーナ、レキス」

「おやすみなさい。あなた」

 会計を済ませた。クラスが、外へと消えた。

 何か、忘れたような気がする。たぶん気のせいだと思うことにした。


 宿屋の裏手にある空き地に居た。

 レサーナが、1人宿屋の方へ向かった。

「我が力を変換し『灯火』」

『照らせを抜いても発動できるのか……』

 オレンジ色に白色が入った光が当たりを照らす。

『消えろ』と頭の中で思ったら、光が消えた。

 夏の薄暗い夜空の中。

 練習用刃無し剣をレサーナが、くるまで振り続けた。

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