第15話 魔力流気
俺は、今。夏野菜と鶏肉の丼を食べていた。
ルックが豚の生姜焼き。ルックの父親は、焼肉定食を食べ。
レサーナは夏野菜と豚の湯通し定食なる。調味料が、かかっていなくて。食材の味しか、しないようなものを食べていた。
先に食べ終わる。
ルックも食べ終わった。
ルックと俺は、これまでの修行について語り始めた。
「肉刺出来てんのに。まだ振れって言うんだぜ、で。この通りよ」
ルックが絆創膏だらけの両手を見せる。
レサーナが「ごちそうさまでした」と言い、会話に入ってきた。
「肉刺が出来るのは、同じ場所に力をかけ過ぎているから。その内、どれだけ剣を振っても。肉刺なんか出来なくなるわ」
右の方で、冒険者風の男が1人。小さなグラス、ショットグラスにアルコール度数の強そうなお酒を注ぎ、ストレートで飲んでいた。
この知識も、勿論。異世界もの小説だ。
1番最後に食べ終わった、センクレイドが話に参加した。
「技術的な成長や手が、頑丈になった先に『気』がある。例えばこれ」
センクレイドが、右腰のベルトに紐で装備していた。大型ナイフを抜き、左手に突き立てた。
ナイフが刺さらない。
「嘘だろ……。そんな、強くなる方法があるなら教えてくれよ!」
ルックが早口で捲くし立てた。
半透明な、何かに拒まれ。大型ナイフが、右掌で静止した。
センクレイドが「やれやれ」と首を左右に振って言った。
「まず、剣を振っただけで肉刺が出来るような奴には使えない。
しかも、ルックやレキス君より強い人でも『気』を使えないんだぞ。
さらに、魔法術を使えない人間には『気』の習得は無理だ。説明する。
その前に1つ。これは『気』と呼ばれているが。
魔力を体の表面に出した現象だ。
これからは『魔力流気』と言った方が、良いかもしれない」
「説明良いかしら?」
訊ねられた、センクレイドが「頼む」と言いながら頷いた。
「『気』と呼ばれているけど、本当は。
魔力を特殊な変換方法で変換して、体に作用させているから。
一部の人が、生命エネルギーや精神力がなせる業だと。
勘違いしたことから、『気』と言われるようになっていたわ」
センクレイドが、リンゴジュースを飲んでから言った。
「まさに、その通りだ。『気』に拘り過ぎて、精神がいかれちまった奴もいるからな」
「その精神がいかれた人は、どんな事したんですか?」
俺が質問した。
ジュースを飲む。
リンゴジュースを飲み干し、センクレイドが話を再開した。
「2週間、何も飲まず食わずで過ごし。
発狂した奴や、幻覚が見えた奴や。
天に行けば、答えが解かるとほざき。
風属性集積魔法術を自分に対して発動し、落下して死んだ奴もいた」
「まじかよ……」
ルックが、顔を強張らせて言った。
「そして、物理的ダメージを殺す『魔力流気』を『流内気』。体の外に張って、剣の刃を止めるのが『外気』だ」
「以外に知られていないが、魔力保有総量。M指数が高いほど。
『魔力流気』の性能が上がって行くんだ」
「これらをまとめて。『人体防御装甲』と言う。
大きい順に言うとまず『人体防御装甲』。
『魔力流気』で『流内気』次が『外気』『剛気』となる」
一呼吸。
「これは、発展系だが。人や物に『魔力流気』を流す事が『流外気』だ」
センクレイドが、木製のテーブルに触れる。
徐々に、半透明な膜にテーブルが覆われていった。
「ま、なんだ。限界だと思った先に、本当の限界があるって言うことだ」
「その『魔力流気』の先にもっと凄い力があると言う。伝説もあるわ」
一呼吸置いて、レサーナが一言。
「この辺で、解散しましょう。明日も剣術の練習ですから」
「そうだな」
センクレイドが、椅子から立ち「会計」と言い人を呼んだ。
「ありがとうございました」
白と黒色の縦線が入った服を着た店員が、和やかに言った。
日本の風亭の、外に出る。
「じゃあな。レキス、レサーナさん。さようなら」
ルックが、名残惜しく言った。
『明日も会うのに……』
「レキス君。レサーナさん、また明日」
「センクレイドさん。ルッセント君、また明日会いましょう」
「さようなら!」
王国の王都、その中心にある城よりの宿舎を目指して。
ルックの父親が行ってしまった。
俺は、レサーナの後についていった。
「所で、どこに泊まるんですか?」
「宿屋の外。せっかく、テントと寝袋持ってきたんだから。外で寝るのよ」
「外で寝るんですか! 目の前に宿屋が、ありますけど」
「冒険者なら。野宿ぐらい出来ないとね」
レサーナが魔法発動鞄から、テント用の大きい布地を出す。数本の柱、見たいなものを出し、釘みたいなものを出した。
大きさの違う布地を、取り出した。
テントを組み立てる。
大きい布地。それを一緒に広げた。
テントを、組み立て終わった。
組み立て終わった時の、達成感といったら……。
これは1度やったら、はまりそうだな。
テントの中で、涼しい寝袋の中に入っていた。俺は、作業途中のレサーナと魔法発動鞄について話していた。
「空間形成魔法、なん年発動型鞄。ですか」
「年の前に、発動期間が入り。10年から85年発動型まであるわ」
「この鞄は、65年発動型。確か、298万セイルだったと思うわ」
「冒険者って、お金かかりますね……」
右隣に置いた。寝袋にレサーナが入る。
「そうね。おやすみなさい、レキス」
目蓋を閉じたら、直ぐに眠りについた。
アスリック王国統計局、第801号報告書より
ホワイトゴブリンの危険度は最高ランクのレベル1に認定。
賢者協議に不穏な動きあり、警戒度レベル2に認定。
アルバレス商会に王国魔法術師が入った模様、アルバレス商会の警戒レベルを警戒度レベル3から警戒度レベル2に引き上げ。
目安。
危険度レベル1~10。数字が低いほど危険度高し。
警戒度レベル1~20。同上。
特別調査官名。極秘、開示不許可