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第10話 歴史学

 黒板に白いチョークで先生が中央大陸を描いて行く。

 家のある、フォスターマウント山。その左にアスリット王国。

 さらにその左に、クレアス王国。

 かなり離れて、右にラナカトーサ王国が描かれた。

 クレアス王国の下に追憶の草原。チョークを黒板に連打して描く。

 暫く。農地が広がっていて、一際(ひときわ)。大きい領土。

 覇権主義的、ギガント王国。

 今は、無いがその流れを()む。ガットン王国が姿を現した。

 その左に海を挟んで、エルフ種が大多数を占める。

 精霊慧(せいれいけい)大陸だ。

 エルフの王国。グロラウージュ王国は、黒板に全体が入りきらないので、少しだけ描かれた。

 中央大陸の少し上に、北魔境パスト大陸と海を挟んで文字だけで書く。

「これが、大まかな世界地図です」

 シティア先生がチョークで黒板を指す。

「精暦203年。クレアス王国で、家名基本法が発行。制定された事は、2年生の時に習ったと思いますが、正確に答えられる人」

 手を上げたのは独り、俺だけだった。

「レキス君、どうぞ」

 シティア先生が手を向けて答えるよう促す。

「家名基本法は、その昔。平民から農奴(のうど)まで、家名税を納めれば使うことが出来た。紀元前645年前からある、旧家名法を下級市民に使わせることで、収入税を得ようとした。王国の戦後財政再建策の1つです」

「その通りです。次は――」



 家路をルッセントこと、ルックと一緒に帰っていた。

「それにしても、レキスは何でも知っているな! ここまで何でも知っていると、これは天才だよ」

「この世に天才なんて俺は、居ないと思う。努力家が居るだけだろ?」

『たぶん……』

「まっ。いくら努力しても、超えられない女の子が居るんだよな……」

「誰だ?」

 そんな話は、初耳だが……。

「居るんだよ。努力も才能も兼ね備えた奴が、同じ学校。同じ学年にな!」

「有名人だぞ! そりゃ。レキスが授業終わったら直ぐに帰っていたから知らなかいようだが、名前はー。確か」

「おっ、家についてた。じゃあな」

『誰だよ! かなり気になる!』

 ルッセント・ワークが、2階建ての木造建築に入って行った。

 サンツ区に向かう馬車広場からの道。

 そこを、進んで行く。サンツ区に入る前に、フォスターマウント小学校がある。

 俺は、家路を急いだ。



「お帰り、レキス」

「ただいま。レヴァン曾お爺ちゃん」

「お帰りなさい。レキス」

「お母さん。ただいま、帰りました」

 レサーナが、両手に木剣を持っていた。

「晩御飯は、お爺ちゃんが作ってくれるから。私達は、剣術の練習ね」

 木剣を受け取り、玄関の外に出た。

 夏休みが終わってから、毎日。レサーナに、剣術を教えて貰っていた。



「防御用振り下ろしは、3つ。真ん中と右、左」

 最初に、真ん中に振り下ろす。

「剣を下げ過ぎない!」

「はい」

 中段で剣を止める。

「早く、次」

 右に木剣を持ち上げ、短く振り下ろす。

 左に木剣を持ち上げ、短く振り下ろす。

上腕(じょうわん)を使い過ぎ! 前腕(ぜんわん)だけで振るようにするけど、体の全体を使う事!」

 三方面に振り下ろし、逆三角形を空間に描く。

「最終的に。手首の稼働だけで、動かす事が出来れば完璧」

「もう一度」

「はい!」

「腕に力を込め過ぎない。基本的に、最後の敵を倒す時でも余力を残しておく事」

 前に振り下ろす。右に振り下ろす。左に振り下ろす。

「痛っ!」

「手を頑丈にするには、振り続けるしかないわ」

「オス!」

「おはようございますを短縮してどうするの? もう一回」

 暫く、同じ動きを何度も繰り返した。


「腕が上がりません……」

「冷やしてあげるから、手を出して」

 両手を前に出す。

 レサーナが左手を手の上に、持って来る。

「我が力、変換し『氷』ここに発動せよ」

 手の上に現れた、氷から流れ出る。冷気が俺の腕を癒してくれる。

 冷たい。

 冷気が、空気中の塵や水蒸気を絡め取る。

 それにより、冷たく白い湯気が溢れて来る。

「所で、氷は冷たくないんですか? お母さん」

「発動者の魔力が熱や寒さを一部だけ、遮断してるの。これも、高校で勉強する内容」

「そうでしたか……」

 後ろから、老人の声が耳に届く。

「レサーナ。レキス、晩御飯。出来たよー」

「終わりにしましょう」

「ありがとうございました」

 レサーナに一礼。

 左掌を見る。

 右手の人差し指の、付け根あたりに出来た。肉刺(まめ)と小指の付け根に出来た。肉刺がやぶれて、痛い。

 右手は、指関節を少し曲げるだけでも、痛い。

 玄関口で、絆創膏と消毒液を準備した。レヴァンに捕まって、消毒液地獄を味わった。

 お箸に関しては、両利き手で(きわ)めた感がある。

 左手で、お箸を使い。鳥のから揚げを食べた。

 下味につけた、醤油。量が多かったのか、味が()いから揚げだった。

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