表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者の騎士様に放置されたので異世界で日本酒を楽しみます~本当に好きなお相手とどうぞお幸せに~  作者: 千早 朔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/59

婚約破棄の準備中ですのでお気遣い不要です

「こうしてゆっくりと話をする機会が持てて良かったです。急な任務でしたし、出立前も、なかなかタイミングが合いませんでしたから。遅くなりましたが、"剣姫選定の儀"の選出おめでとうございます。それで、あの……リアナ嬢さえ良ければ、建国祭のドレスを一緒に選びに行きませんか」


「建国祭のドレスを、ですか?」


「はい。まだどこの仕立て師とも連絡をとっていないようだと聞きました。一から仕立てるには時間が足りないので、既存の物に変更を加える形になってしまうかと思いますが、新しいドレスを用意しましょう」


(そんな、フレデリック様が私のドレスを気にされるだなんて)


 思ってもいなかった事態に、急ぎ「申し訳ありません」と頭を下げる。


「建国祭のドレスは先日、マルガレット様がご愛用されている仕立て屋に依頼をさせていただいておりまして……」


「え? ですが、帳簿には……」


「まだほとんど袖を通していないドレスがあるので、建国祭ではそれを使う予定だと話しましたら、マルガレット様が"剣姫選定の儀"に選ばれたお祝いにプレゼントしてくださるとおっしゃって手配してくださったのです」


 特に今回は"キリコグラス"の件もあるから、出来るだけ目立つ姿で話題性を高めなければいけない、と言われ、ありがたくお願いさせていただいたのだけれど。


(これまで私のドレスなんて気にされたことなかったのに……)


 やっぱり、"剣姫選定の儀"に選ばれたとなると、事情が変わるのかしら。

 と、フレデリック様は「な、なら!」とどこか焦りを滲ませつつ、


「そのドレスに合うジュエリーを見繕いに行くのはどうですか? 靴でもいいですね」


「それが……ファッションは全身での調和が大切だからと、一式でご注文いただいているのです」


「一式……」


 唖然と口を開くフレデリック様の心中は、よく分かる。

 私だって、マルガレット様の邸宅でいくつも試着させていただいた際、「これを全てドレスと共に送ってくれ」とあっさり言われた時には驚いてしまったもの。


 ルーベンス様には何度も買ってあげたことがあるから、特別なことではない。

 女の子のドレスを用意してやるという憧れを叶えさせてほしい、なんて言われてしまったら、断れないわ。

 どこか戸惑ったような様相のフレデリック様に、私ははたと気が付き、


「もしかして、ベスティ侯爵家としての規律がありましたでしょうか」


「いえ、そういったものはないのですが……。マルガレット夫人と、ドレスを一式贈られるほどに親交が深まっているとは、思わなかったので」


 確かに、マルガレット様との親交が深まったのは、フレデリック様が出立された後だった。

 それからは本当に早かったものだから、フレデリック様が戸惑うのも無理はないわ。


(この点に関しては、私にも責があるわよね)


 私は「フレデリック様」と背筋を正し、


「簡単なご報告しか出来ておりませんでしたが、マルガレット様にご指南いただき、ガラスグラスの事業を始めております。侯爵家より私用にと支給いただいている予算の範囲内でやりますし、マルガレット様にも投資いただいておりますので、フレデリック様にはご迷惑をおかけしないように致します」


「……反対しているわけではないですが、どうして急に、事業など? お金が足りないようでしたら、予算を増やしますが」


「いいえ、それでは意味がありません。私の金銭的な自立を目的としていますので」


「リアナ嬢の金銭的な自立、ですか……?」


(いい機会だし、はっきりと伝えておいたほうが互いのためよね)


 今だ困惑の色が強いブルーの瞳をしっかりと見据え、


「本当の想いを隠されたまま私を"婚約者"として迎え、領地にも気を配ってくださったこと、本当に感謝しております。ですのでフレデリック様には、心から愛している方と結婚していただいきたいのです……! 安心して私との婚約を破棄できるよう、必ず成功させてみせますので、フレデリック様も応援してくださると嬉しいです」


「……はい? リアナ嬢、いったい何を――」


「全てわかっておりますから、無理に言葉にされる必要はありません。それと、建国祭の後に行われるパーティーでは、昨年と同じく見回りの任務がありますわよね? 私も昨年までは挨拶だけで帰宅しておりましたが、今年はマルガレット様がご配慮くださり、ご婦人の甥であらせられるルーベンス様がエスコートを務めてくださることになりました。当日は少々帰宅が遅くなると思いますので、私へのお気遣いは不要です」


「な……っ!」


(ふう、やっと伝えられたわ!)


 すっきりとした爽快感を自覚したとたん、なんだかお腹が空いてきた。

 マルガレット様のレストランで食べたお料理はどれも格別だったけれど、すっかり慣れ親しんでしまった侯爵邸のお料理は、美味しいうえに安心感がある。


(後で料理人の皆にお礼をしなきゃ)


 気分良くぱくぱくと食べ始めた私とは対照的に、フレデリック様はなにやら顔色が悪い。

 きっと昨晩は久しぶりの帰宅で、ワインを飲み過ぎてしまったのね。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます!

気に入りましたら、ブックマークや下部の☆→★にて応援頂けますと励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ