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婚約者の騎士様に放置されたので異世界で日本酒を楽しみます~本当に好きなお相手とどうぞお幸せに~  作者: 千早 朔


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過ちを正せば関係修復できる、はずなのに

「どうしてそうなる」


「これまでの"噂"を考慮すれば一、番自然な流れだと思うけど? ゼシカ嬢のことはともかく、ギル卿のことは昔から慕ってるだろ、お前」


「婚約破棄などしない。たとえギル卿に頼まれても、だ」


 俺がきっぱりと言い切ると、セドは「なーんだ」とどこか残念そうにして、


「婚約者ちゃんがフリーになるなら、俺が婚約を申し込もうと思ったのに」


「どうしてそうなる……!」


「えー、だって彼女、"ベスティ侯爵家"に選ばれた上に、現侯爵夫妻が領地から戻ってこなくても支障がないほど夫人教育も優秀らしいじゃん? よく見れば素朴な可憐さがあるし、ちょーっと社交活動が苦手なのも、派手な噂好きより安心感があるし。何より、フレデリックが気に入ってるって時点で、いい子なのは確定でしょ。大丈夫、大事にするよ」


「婚約破棄などしない! 彼女の婚約者は俺だ!」


「なら、どうしてこんな事態になるまで、彼女をないがしろにしてたんだよ?」


「ないがしろにしていたつもりは……」


 いや、結局は周囲からそう見えていたのだから、いくら言い訳をしたところで無意味だろう。

 俺はぐっと拳を握り、


「……昨晩のことで、これまでの俺の振る舞いは過ちだったと痛感した。ゼシカ嬢にも、リアナ嬢との婚約を不満に思ったことは一度もないとはっきり伝えて来た」


「へえ? フレデリックにしては頑張ったじゃん」


「今後はゼシカ嬢と距離を置くつもりだ。リアナ嬢とも、"婚約者"としての時間を持とうと考えている。すまないが、手を貸してくれ」


「そりゃあ、親愛なる友人の頼みとなれば、全力で協力するけれどさ」


 セドはまるで慰めるような顔で、俺の肩をトンと叩く。


「俺の勘では、もはやそう簡単な話じゃないと思うけどな。ゼシカ嬢はもちろん、婚約者ちゃんのほうも。ま、頑張れよ、フレデリック」


「…………」


(リアナ嬢も、とは、どういう意味だ?)


 確かに今朝の件も含め、彼女とはすれ違ってばかりで、ゆっくりと話をする機会も作れない。

 だが、この程度は些細な問題に過ぎない。

 なぜなら俺達は、同じ屋敷で生活を共にしているのだから。


(リアナ嬢は、そろそろ午後のティータイムのはずだな)


 茶会や外出の予定はないと、今朝の出立前にノイマンに確認した。

 ならきっと、共にお茶が出来るだろう。


 そう考えた俺は急ぎ屋敷に戻り、ノイマンに顔を見せるよりも先に中庭へ向かった。

 近頃のリアナ嬢は、天気の良い日はよく中庭のガゼポで庭園を眺めながら休息を取ると聞いたからだ。

 すると、ほどなくして庭園を横切るリアナ嬢の姿を見つけた。


(間に合ったようだな)


 俺は安堵に内心嬉々としながら、「リアナ嬢」と呼びかける。

 不思議そうにして立ち止まり、周囲を見渡し俺に気が付いた彼女は、心底驚いたように目を見開いた。


「フレデリック様? お帰りになられたのですか?」


「いえ、休息のために立ち寄りました。よろしければ、お茶の時間をご一緒しても?」


「お茶、ですか」


(ん?)


 戸惑いを露わにするリアナ嬢に、背にヒヤリと緊張が走る。

 と、彼女はちらりと庭園の先にあるガゼポへと視線を向け、


「ごめんなさい。今は友人たちと、お茶会の最中でして……」


「え?」


 ぱっとガゼポを見遣ると、確かに着飾ったご令嬢が二名、こちらへと視線を向けている。


(お茶会の予定はなかったんじゃなかったのか!?)


「せ、せっかくの時間を遮ってしまって、すみませんでした。どうぞ、ゆっくり楽しんでください。俺は中で少し休んだら戻ります」


「本当にごめんなさい、フレデリック様。どうぞ、お気を付けて」


 にこりと微笑む彼女と別れ、逃げるようにして屋敷の扉をくぐる。

 突然帰宅した俺に驚くノイマンに茶を一杯用意するよう頼み、応接間のソファーに腰を落とす。


(ただ話をしたいだけなのに、どうしてこうも上手くいかないんだ)


 即座に戻ってきたノイマンに「茶会の予定はなかったんじゃないのか」とうなだれるようにして尋ねると、ノイマンは机上に置いたティーカップに紅茶を注ぎながら、


「昼前に手紙が届きまして、急遽お招きすることになったのです」


「……リアナ嬢は、あの二人を"友人"だと言っていた。間違いないのか」


「バレンティン侯爵家がご息女アシェル様と、レクト伯爵家がご息女、エステラ様にございます。お二人とも、リアナお嬢様とは以前より親睦を深めていらっしゃいまして、茶会などでも何度も手助けいただいていると伺っております」


「……そうか」


(懇意にしている"友人"がいたことすら、知らなかった)


 あらゆる茶会の招待を断っている最中でも家に招くほど、気を許している相手なのだろう。

 リアナ嬢にそのような相手がいたことは、喜ばしいことだ。なのに。


(なぜ、こんなにも釈然としないんだ?)


 リアナ嬢をとられたように感じるだなど、そんなこと。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます!

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