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第6話:第2部 夜に寄り添う時間

コンカフェに通い詰めてから半年ほど経ったある日のことだった。いつものようにカウンターに座り、二人きりで話していると、店内が少し落ち着いた空気に包まれた瞬間があった。ふと目が合い、彼女の笑顔がいつもより柔らかく感じられる。そんな些細な瞬間に、心がざわつく自分を感じた。


「このあと、ちょっと飲みに行かない?」

思わず口から出たその言葉に、彼女は少し考えたあと、笑顔で頷いた。

「いいよ、行こうか」


その夜は、彼女がバイトの制服を脱ぎ、私服姿で現れた。コンカフェのときとは違い、カジュアルで自然な雰囲気の彼女に、思わず目を奪われる。柔らかな色のシャツとデニム、無造作にまとめた髪。肩の力が抜けた素の笑顔に、胸の奥がふわりと温かくなるのを感じた。


私たちは店を出て、少し歩いたところにある静かなバーへ向かった。薄暗い照明と落ち着いた音楽が流れる空間に、自然と二人の距離が縮まる。カウンターに並んで座り、グラスを傾けながら今日あったことや学校、バイトでの些細な出来事を話す。小皿をつつきながら過ごす時間はゆっくりと流れ、彼女の笑い声や無防備な表情に心が和む。隣にいるだけで満たされていると、私は静かに感じた。


店を出ると、夜の街の空気が肌に冷たく心地よかった。周囲の喧騒から離れ、二人だけの時間が流れる。私は少し胸が高鳴るのを感じながら、彼女の横顔を見つめる。普段の明るさと、ほんの少し見せる照れた表情が混ざり合い、心が柔らかくほどけていく。手をつなぐ勇気はまだ出なかったけれど、自然に隣を歩く感覚が心地よく、距離の近さを感じた。


その後も、彼女のバイト終わりに待ち合わせ、行きつけのバーや居酒屋を巡るのが定番になった。店の人に気づかれないよう少し離れた場所で待ち合わせたり、静かな時間を楽しむこともあった。終電までの短い時間でも、私は彼女と過ごすその瞬間が何より大切だった。


夜道を歩きながら、ふとした会話でお互いのことを少しずつ知る。大学生活やバイト先での悩み、趣味や夢のこと。話すたびに、彼女の存在が私の中で確かに大きくなっていくのを感じた。特別な告白はなくても、この時間の積み重ねが、確かな距離の近さを生んでいた。


制服姿では見えなかった素の彼女に触れることで、私の心は少しずつ軽くなっていった。そんな感覚を抱きながら、私は夜の時間を静かに心に刻んだ。

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