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第2話:第2部 初めての夜

休日、彼女と街に出かけた。

以前から欲しがっていたネックレスを見つけ、僕は迷わず購入した。


彼女の家に着くと、僕はふと笑みを浮かべて言った。

「目を閉じて」


目をつぶった彼女の耳元でそっとネックレスをかけると、彼女は顔を輝かせ、そして突然泣き出した。

「わあ……嬉しい……!」

小さく抱きつかれた瞬間、僕は少し胸が熱くなった。

普段あまり自分の愛情表現をしないこともあり、ネックレスは僕の気持ちの代わりでもあった。

彼女の涙は、僕がこれまで伝えられなかった気持ちの温度を物語っているように感じられた。


その夜、彼女は僕の手をぎゅっと握り、少し眉をひそめながらも真剣な目で言った。

「……ねえ、お願い、今夜、絶対に……一緒にしたいの」


押しに負けた僕は、提案した。

「じゃあ、高級ホテルでしよう」


僕自身、性行為の経験はなく、どう振る舞えばいいか分からなかった。

でも、そんなことを口に出す勇気もなく、ただ頷くしかなかった。


ホテルの部屋に入り、香るアロマ、柔らかな照明。

ふとした雰囲気が高まる中、僕は決心がつかず、ただ立ち尽くしていた。


彼女はにっこり笑いながらお風呂に入り、蒸気の向こうで体を温めている。

戻ってきた彼女は、柔らかなタオルに包まれながらも、いつも通りの優しい笑顔で僕を迎え、部屋の中を軽やかに動き回る。


その姿を見て、胸が締めつけられるような感覚があった。

「どうすればいいんだ……」

頭の中で何度も反芻するのは、行為の手順やタイミングではなく、ただただ自分の未熟さと、彼女の期待を裏切ってしまうかもしれないという恐怖だった。


言葉に出せないまま、僕は彼女の近くで立ち尽くす。

手は震え、心臓は早鐘のように打つ。彼女は何も言わず、ただ僕を見つめ、微笑むだけ。

その温もりと信頼に押されながらも、どう動けばいいのか分からず、時間だけが過ぎていく。


結局、僕は何もできず、ただ彼女と同じベッドに横たわるだけだった。

隣で寝息を立てる彼女の存在に胸が痛み、同時に罪悪感と戸惑いでいっぱいになる。

「まだ、僕は彼女に応えられない……」

そう自分に言い聞かせながらも、彼女の体温を感じ、心がざわつく夜――

それが、僕たちの「初めての夜」だった。

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