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第4話:第2部 告白と迷い

立ち飲み屋に通うようになって半月が過ぎた。

周りは私が彼女に好意を持っているのを察したのか、「あんた、あの子のこと好きなんやろ?」と冷やかしてきた。しかし、私はかたくなに否定した。そんな態度をとることで、周りの反感を買わずに済んでいたし、何より自分の心のペースを保つためでもあった。


ある日、立ち飲み屋で映画の話になった。上映予定の作品を話題にしたとき、軽い気持ちで「一緒に行かない?」と誘ってみた。断られるだろうと覚悟していたが、意外にも彼女はすぐに「いいよ」と答えた。胸が高鳴ると同時に、心の奥で小さな希望が芽生えた。


映画デートをきっかけに、二人の距離はぐんと近づいた。毎日「おはよう」とその日の報告、「おやすみ」といったLINEを交わすようになり、彼女の家は立ち飲み屋から近いため、バイトの終わり際に迎えに行くことも増えた。二人で歩く帰り道、日常の何気ない時間が特別なひとときに変わる感覚を、私は確かに感じていた。


友達以上、恋人未満の関係が1年近く続き、彼女は大学を卒業して大手企業に就職した。その節目を祝おうと、私は卒業祝いと就職祝いを兼ねて少し高級なレストランに誘った。美味しい料理と会話の中で、私は胸の奥に秘めていた「告白」のタイミングを慎重に計っていた。


食事を終え、最寄り駅まで彼女を送る道すがら、私は深呼吸をして言葉を紡ぐ。

「良ければ、僕と付き合ってほしい」


彼女は少し戸惑ったように目を伏せた。唇の端がわずかに上がるものの、答えはまだ出せないようだった。

「ごめん、ちょっと考える時間がほしい…」


その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で小さな希望と不安が入り混じった。初めての恋愛に向き合う彼女にとって、答えを出すのは簡単ではないのだろう。しかし、目の奥に迷いと期待が混ざったその光を見た私は、少しだけ安心した。心の中で、私は静かにその答えを待つことにした。

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