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第1話:年上の夏 (1人目の彼女・工場での出会い)
蒸し暑い夏の日、僕は工場のラインで初めて彼女を見た。
作業着の袖をまくり上げ、真剣な眼差しで機械を操作するその姿は、ただの先輩ではなく、大人の魅力をまとった存在に映った。
「よろしくお願いします」
僕が挨拶すると、彼女は軽く微笑んだ。その笑顔には、不思議な安心感と少しの緊張感が入り混じっていた。
バイト仲間と仕事終わりに飲みに行った夜。
酔いの勢いで、友達と笑いながら歩いている途中、僕は思い切って電話をかけた。
「……付き合ってくれへん?」
彼女は少し驚いた声で笑いながら答えた。
「……え、いいよ」
こうして、短期バイトの期間限定の恋が始まった。
付き合ったと言っても、日常に大きなドラマはなく、淡く、ほんの少しだけ特別な時間が流れた。
そしてバイトが終わった日、僕は自然と連絡を取ることもなく、彼女との関係は静かに終わった。
初めての恋は、酔った勢いで始まり、短い間だけ僕の胸に甘く残った。
次回、第2話ではもっと波乱の恋が始まる――。
同棲生活、心の揺れ、そして想像を超える事件が待ち受ける。
お楽しみに。