ありがとう、理恵
あれからというもの、咲陽は翔と話せなくなってしまいました。お互い気まずく、緊張して上手く話せていません。そんな、やり切れない日々を過ごしていた咲陽は、気分転換に親友の理恵と遊ぶ約束をしていました。
理恵は私の部屋に着いて一言。
「うわーすごい雨。家に呼んでくれて良かった、ありがと!」
いつもの理恵になんだか安心し、コクっと頷く。
しばらくゲームをしていると、
「ねー咲陽、咲陽!知ってる?」
いきなり主語のない質問をされたので「主語がない!」と突っ込んでやりたくなったが、
なんのことか気になるので
「ん?何を?」
とシンプルに聞いてみた。
「えっとー中3で転校生来るって。」
「ええええ!?テンコーセイ!?」
「驚きすぎw」
中3から来るなんて、どんな子だろうか。高校受験も控えているのに、転校してきて、大丈夫なのだろうか。
「どんな子?」
気になったので聞いてみた。
「えーっと、噂によると美人で、私立から来た才女らしいよーん」
羨ましい、と思ったと同時に、そんな子がいるのだろうか。完璧すぎやしないか!?
そんな子がどうして…と深く考えそうになったが、ノリのいい理恵に合わせるために無理矢理話を進めようとした。
「てっ天は二物を与えるんだね……てかあんた本当情報通だなーーー」
理恵は出会った頃(小1)から情報通で、学校の情勢に関してはわりとなんでも知っていたのだ。
「あざーっす。ていうか、咲陽さ〜ん笑。二物を持った女の子なら、翔取っちゃうかもですよお?」
理恵は今1番気にしている事柄だと知っていて、不謹慎なことを言ってきた。
嫌なことを言われたので対抗するため、出来るだけ、今の一言で傷つきました感を出す。
「さ、最低っ!悩んでるのに…私だってっ」
「あのさあ……好きなんでしょっ!最低なのはどっち!?」
「えっ…」
いつも明るくふざけているような理恵が声を荒らげた。土砂降りの雨の中でもはっきり聞こえた。今までにないくらい大きい声だった。
「好きな人なんでしょ!?取られたくないんでしょ!?なのに無視したり、冷たい態度とってて…」
「っ…」
「そんなの自己中だよ!自分が今できる最高を尽くさなきゃ、後悔するよ!?」
理恵から本気で叱られるのは、初めてだった。
でも良かったと思った。
理恵が、私を叱ってくれて目が覚めたような気がした。
しばらくの沈黙のあと、
「……。私……諦めてたんだ。怖くて、踏み出せなかったの。諦めてたの。ごめんなさい翔…」
泣きそうになりながら、一つ一つ、言葉を噛み締める。
理恵はほっとした、という表情になり、
「まだ、やり直せるよ。頑張りな!……それと、声大きくして怒ってごめん」
「ううん。めざめた。ありがとう。」
「目覚めたってなんだよwwエナドリか!」
「笑笑笑」
ツッコミを喰らったが、あの、怒った時の理恵は消えていて、いつも通りのリアクションに安心した。
2人で笑い合いそっと外を見ると、雨は上がり、虹が出ていた。
ご覧いただきありがとうございました!本気で怒ってくれた理恵に感謝ですね!
転校生も気になります!恋の行方はどうなるのかー?!




