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5、レベルアップしたよ

 「何だ!いきなり出てくる魔物の種類が変化した!どうなっている…」


背中合わせで男たちは会話しながら戦っていた。


 「知らねえよ、こんなの初めてだもんよ!」

 「とにかく倒すしかないな!うりゃぁあぁー!!」


一緒に来ていた他のパーティーメンバーと逸れてしまった。

いや、俺達以外は()()()()飛ばされた?

ユリシスは二本の剣を器用に扱いながら、オーク達を次々倒している。


 「おい、ユリシス!キリがねえから、一旦引くぞ!」

 「引くって言ったって、何処へだ?」


二人は激しく戦いながら話しているが、お互いに妙案は出て来ない。


 「ハーツ、この階層の入り口どこか覚えているか?」

 「あー、多分な…」


撤退の意思を確認し、ルートを探そうと二人が思っていた矢先にその巨大なオークは現れた。


 「ちょっと待て!ありゃ、オークロードじゃねえか?」

 「何だって!!ホントか?」


今まで彼らが倒していたオークとは明らかに違う色の、黒っぽいオークが現れた。


 「あれは無理だ!しかも今は二人しかいない!」


ユリシスがオークを倒しながら、何とか突破口が無いものかと考えていた。


ドカッーー!!


鈍く響く音がユリシスの耳に聞こえた瞬間に、木の葉の様にオークロードに殴り飛ばされたハーツがその目の前を過ぎて行った。


 「ハーツ!!!???」


ユリシスはハーツが飛ばされた方を見る。

ハーツは倒れたまま微動だにしない。

早く行って回復してやらなければ……ハイポーションがあったはずだ。


 「待ってろ!すぐ…」


助けに行って……行けない!

オークロードがユリシスの背後まで迫っていた。

とっさに振り向くが、その目にはオークロードの振り下ろす斧が入った。


 (これまでか……)


せめて防御しようと上げた剣だったが、一向に衝撃が来ない。

気が付けば(つむ)っていた目を開けると、オークロードが苦しんでいる様に見える。


 「ユリシス!!!」


懐かしい声だった。


ガァ…ガガ、グァァ……、グフゥ………。


ズゥゥゥゥン…と地響きを立ててオークロードが倒れた。

どうやら死んだみたいだ。


 「ユリシス、大丈夫か?」

 「あ、兄貴?アースあにき?」

 「ああ、俺だ!アースだ!」

 「ホントに?……ハーツ?そうだ、ハーツを助けに!」

 「オークロードが苦しんでる間に、ポーションを持って行ったから大丈夫だ!」


オークロードが倒されたのを見ていたオーク達が逃げていく。

ようやく体が少し回復したのか、ハーツがこちらへ来るのが見えた。


 「ハーツ!大丈夫だったのか?」

 「そこのお兄さんのおかげでね。派手に吹っ飛びはしたが、かすり傷だよ!」


オークロードはホントに死んでるみたいでピクリとも動かないが、魔物除けになるのでその近くでとりあえず腰を下ろして三人は休む事にした。


 「君の体は頑丈だな!吹っ飛ぶところを見ていたが、肝が冷えたよ!」

 「ああ、俺はジョブが重戦士だからさ!簡単にはやられねえよ!あんたすげえな?オークロードを武器も無しでやっつけちまうなんてよ!」

 「え、素手で?」


アースはどう説明しようかと悩んだが、そのまま伝える事にした。


 「俺のスキルは『硬化不硬化(フェイズルール)』って言うんだ。まあ物の硬さを変える事が出来るってだけの、戦闘には使えないスキルなのさ。さっきはオークロードの注意がユリシスに向いてたから奴の頭部に引っ付いて、体の中の血を固めてやったのさ!上手くいって良かったよ」


イメージとして()()()()()は出来ないが、硬化物の指定は出来るんじゃないかと必死の中で思いついてやってみたら…出来た!

また幸運な事に頭部に手を触れていたので、手に近い部分の血から硬化していった。

しかもアースの魔力が少ないが故に脳の血管()()が詰まり、結果オークロードは死に至ったのであった。

 

 「オークロードを倒せたおかげで、俺のレベルも少しは上がったよ!」


アースは『少し』と言っていたがジョブレベルは107に、スキルレベルも92まで上がっていた。

魔力に至っては最大値690にもなっていた。

王都で最強と言われる冒険者のジョブレベルが112なので、それに匹敵するくらいの数値である。


 「災害級の魔物を倒せるとか、アース兄貴は凄いな!それで、どうしてこの階層にいるの?さっきの揺れでどこかから飛ばされた?」

 「いやユリシスを助けにここまで潜って来たんだよ。グールナットへはマッサージ屋をやるために戻って来たんだけどな!」

 「「マッサージ屋?」」


ハーツとユリシスの声が重なった。


 「そう、マッサージ屋だ!」




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