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 大男が倒れてしまった。

 なんでだろう、こんなことするつもりなかったのに。

 俺はただツッコんだ。それだけだ。それだけで死ぬならそれだけの男だったということだ。


「きゃあああああああーー!!」


 誰のものかも分からない悲鳴が店中に鳴り響く。

 こんなことなら家で帰って寝てればよかった。

 いや、ここはもう異世界だ。俺の家はない。じゃあこの理論は通用しないな、はぁ。


「な、なんてことをッ!」


 先程のおばさんは血相を変えた目で俺を見てくる。あれ、もしかして男の奥さんとかだったのかな? 歳はそこそこ離れてるっぽかったけど、まぁいろいろな結婚の形はあるしな。


「おりゃ」


 食ってかかってきそうな勢いだったので、大砲で頭を吹き飛ばしておいた。

 俺に仇なす可能性のあるやつは排除しておかないとな。


「あれ?」


 気づけば店中の客はいなくなっていた。

 外に逃げ出したのか。

 でもこれならお金も盗み放題じゃないか? 凄いいい結果を生み出せたようだな。なんなら野菜なんかの品もごっそりと貰っておこう。


「貴様か! 止まれ!」


 するとそこで唐突に声を掛けられた。

 男二人組だった。

 両者ともに短い棒のようなものを構え、俺を睨んできている。


「止まる? いやですね。僕はお金がなんとしてもいるんです。というかおふたりとも誰なんです?」


「ちっ、イカれてるタイプのやつか。我々は駐屯部隊第四小隊だ。武器を捨て大人しく降伏しろ! どの道ただではすまんとは思うが、お前だってこんなことしたくないだろう? なあ?」


 どうやら降伏を促されているようだ。

 いやいや、俺はお金を得るためにここまでやってるわけで、降伏なんかでお金は手に入らないだろ? それに武器なんて持ってないから捨てようがないし、まぁ何れにせよ降伏は無理だな。


「そうだな、大金を用意してくれるならやめるのも一興でしょうね。ただそうではなさそうだ、ならば私は戦う」


「グリゾ、実力行使だ」


「は、はい!」


 そうして目の前の二人が、少しずつにじり寄ってきた。

 はぁ、なんか頑張ろうとしてるけど所詮街の衛兵とかだろ。制服とか着てなくて普通っぽい私服だからわかりにくかったがどうやらそうらしいし。有象無象が強いパターンとかありえないだろ。どうせ俺の敵じゃない、どんな異世界なんだって話になるしな。……そうだとする可能性があるとしたら? 圧倒的な戦闘力を誇る集団で街を守ってる説はあるんじゃないか? やばいな、今のうちに降伏しといたほうが身のためかもしれない。


「す、すみません、やっぱり降伏しようかなと」


「騙されるなぁ! 確保おおおお!!」


 そう言って二人で突っ込んできた。

 おいおい話くらい聞いてくれよ。大人二人でいじめてきやがって。

 くっそーこうなったらやるしかない!


「連続アロー!!」


 俺は光の槍をひたすら連発する魔法を放った。

 狙いを付ける必要がないので純粋な火力勝負ができる。


 そして結果だが、槍とは言っても人間の身長ほどのサイズはあるし、スピードもそれなりに出ている。

 男たちは当たった傍から穿たれ、消し飛んだ。


「なんだ、こんなもんか」


 大口叩いていたわりには大した事なさすぎて拍子抜けだ。

 この世界の人達のマックスがこれくらいだったりするのか? いや、でも他のやつらが使う魔法とかまだ見てないしな。決めつけるのは早計か。


「とりあえずお金お金ーっと」


 俺は目的を思い出し、会計のテーブルを乗り越え店員さんゾーンの方へ入る。

 ごそごそと探すと、棚の中に硬貨らしき金属が入っていた。

 種類ごとに丁寧に分けられている。

 うん、たぶんこれがお金だよな。お金じゃなければなんなのかって話だ。

 俺はひとまずそれらを手に取った。

 ただ俺の手の平のサイズは限られている。

 とても全て持ち出せそうもない。

 うーん、そういや袋用意してなかったな。

 レジ袋とかないか? あるわけないか、異世界にプラスチックを生産する技術とかあるわけないしな。


「となると一番価値があるやつを持っていきたいが……」


 うむ、わからん。札とかもなく全部金属でできているであろう硬貨だし、知識もないからどれがいくら分なのかとかも一切分からない。

 でもサイズ的に一番大きいのはこのくすんだ青っぽい色の硬貨だ、順当に考えればこれが価値があるんじゃないか? いや、逆にこの一番小さいのがレアってこともあるかもしれない。色も少しくすんだ金って感じだし。くっそー、わかんねええええ。


「そこまでよ!」


 俺が頭を掻きむしっていると、背後から声がかかった。

 なんだ? またかよー……今すごくイライラしてるんだが。


「次はなんなんだ」


 ゆっくりと背後を見ると、そこには複数人の武装した人間がいた。

 先陣を切っているのは一人の少女だった。

 赤毛の髪を後ろで結わえ、瞳は紫、肌は白い。

 快活な雰囲気を纏うその少女は腕を組み、俺を見据えてきていた。


 おお、女子じゃん。女の子も戦ったりするのか、おっかない世の中なんだな。まぁ魔王が暴れてるとかいう話だし、のんびりもしてられないのか。まぁ俺が倒す予定だから慌てなくて大丈夫なんだけどな。はぁ、でも面倒だなこれ……

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