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 シバの街とやらに着いた俺は身分証明証とやらを見せろと言われた。

 え、なんですかそれ、食べれるの?

 でも見せないと中には入れないんだもんな。えー、どうしよう、いっそのこと門番殺ってしまうか? それは流石に目立つか。そもそも異世界転生でキルムーブはどうかと思うしな。もし本当に俺を怒らせるようなことがあれば考える余地はあるのかもしれないが、基本そんな極悪外道なことはしたくない。穏便に済むなら済むにこしたことはないのだ。


「すみません、その身分証明証とやらを持っていないのですが……僕はもう入れないのでしょうか」


 よって下手に出てみることにした。

 駄目なら駄目なときでまた考えればいい。


「いえ、大丈夫ですよ」


 しかし門番の男も慣れたものなのかにっこりと微笑んでくれる。


「必要手順を踏んでいただければ問題なくご入場できます」


「お金取られたりとかするんですか?」


「当然、借金という形で残りますね」


「え」


 話を聞いてみると、仮身分証というものを発行し、この街限定で出入りできるカードを貰えるらしい。そしてそれを作る際にお金がかかり、実に1500シブハル必要だとのことだ。シブハルというのがどれだけの価値ある単位なのか分からないが、感覚で言えばそれ相応にデカい気がする。

 まぁともかく借金を背負わないといけないというわけだ。


 俺はどうするか迷ったが、ここでケチって入らないというのもしょうもないのできちんと発行してもらうことにした。


 これが結構かかり、まずは紙に必要事項を記入。

 この時異世界の文字が書けなかったので、異世界の文字を書けるようになる魔法を唱え、書けるようにした。日本語で書くと、自動的に異世界語を書いたことになるのだ。どういう原理かは知らないが、傍から見ていた門番の男が不思議な顔ひとつしていなかったので、この世界では整合性が取れるようになっているのだろう。まぁあまり深く考察しても仕方がないことだ。別に俺は魔法の探求者でもなんでもない。ただの魔王討伐者だ。


 その後指紋やら身体チェックやらを受け、合計でたっぷり十五分ほど時間を使い手続きは完了した。はぁまじで長いわ。途中で全てを破壊しそうになったぞ。もちろん俺は短気じゃないのでそんなことはしないがな。


「こちらが仮身分証になります。紛失した際の再発行には同じ代金がかかりますのでご注意ください」


「ありがとうございます」


 俺は大人しく受け取った。分厚いカードのようなものかと思えば、薄っぺらいゴワゴワした質の悪い紙を渡されただけだった。なんだこれ、ゴミと勘違いしそうだわ。なんか俺の名前とかそれっぽいものは書いてるけどさ。

 因みに名前は下の名前でユウヒトとしておいた。まぁ変な名前にする必要もないしな。シンプルで馴染みある名前の方がいいというものだ。異世界でもこの名を継いでいこう。


「それではご入場いただけます、どうぞ」


「けっ!」


 にっこりと送り出してくれる男に対し、俺は悪態をついておいた。

 借金を背負わせやがった分だ。

 もう顔も見たくないよーだ。



「さてさて、とりあえずミッション完了なのか」


 俺は街に入った。

 ひとまず俺は人間の街に辿り着くことをミッションにしていた。

 魔王を倒すにも旅支度が必要だと思ったからだ。


「旅支度って言ってもどうするかだよなぁ」


 だが具体的に何をするかなどはまだ一切決めていない。

 どうしましょうか。


 じっとしていても仕方がないので、俺は考えるついでに街をぶらぶらすることにする。

 文明レベルは相当に劣ると聞いていたのでかなり古ぼけた街なのかなと予想していたが、立ち並ぶ建物は結構立派で、街道の脇に所狭しと並んでいた。まさに中世ヨーロッパ、異世界とはこれぞという景観だ。


「結構な人口が住んでないか? 活気もありそうだしそんなに悪くないじゃん」


 いい意味で拍子抜けしてしまった。

 これだと宿屋とか食べ物とかもまぁまぁマシなのではないか。

 あれだな、魔王討伐ももちろんだけど、異世界を満喫するってのも案外ありなんじゃないか? それだと俺のモチベも上がるし、その過程で異世界のことも知れて情報収集にも丁度いい気がする。まぁただ遊びたいだけの口実だけども。でも結局は異世界で過ごしていくことでしかリアルな情報は得られないわけだからあながち的は得てるとは思うけどな。


「とりあえず腹も減ったし、あの串カツでも食うか!」


 街道の端の方では所々で屋台のようなものがあり、そこで店員たちがこぞって売り文句を並べていた。

 そのうちの一つに串カツと書いてる屋台を見つける。

 列もできているし、凄く美味しそうだ。

 ひとまずファースト異世界フードはあそこで決定だな!


 俺はそう思い列に並んだ。

 とはいっても前には四人ほどしかいなかった。

 よってすぐに順番は回ってきた。


「へいおまちどうさん、自慢のアルダック串カツ、何本いるかい?」


「ひとまず二本で!」


「あいよ、それじゃあ600シブハルだ」


 そんなことを言ってきた。

 え、やばい、俺お金持ってないじゃん。


「すみません、お金持ってないんですが、ただではだめですか?」


「だめに決まっとるだろバカタレ! 帰りやがれ!」


 そ、そんなぁ……。

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