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「す、すごい! 傷が治ってるぞ!」


 俺が回復させる魔法を使うと、寝込んでいた男はみるみる内に元気になった。

 男を包む光が完全になくなったところで、男はムクリと上体を上げた。


「……あ、あれ……」


「アレモグ!」


 周囲の男が男に飛びつき抱き合っていた。

 これは一部の女子にはたまらないイベントだな。まぁ何がとは言わないがな。


「ありがとうございます! あの、本当にあなたは一体……」


「僕のことは気になされないでください。それよりも他の方々を見届けて上げるのが先では?」


「あっ、そ、それはそうですね」


 男たちは、横たわっていた者たちを一箇所に集めていた。

 要するに死んでしまった者たちだ。


 今回の戦いで死者は五名出たらしい。実に半数が死んだことになるな。なんとも可愛そうに。

 まぁでも俺が来なければもっと死んでしまった可能性があると考えると、まぁ上々といったところなんじゃないかな、知らないけど。


「助けていただきありがとうございました」


 俺が回復魔法で回復させた男が、すっかり元気な様子で頭を下げてくる。

 因みに他の者達は出立の準備的なものをしていた。


「こんなのお安い御用ですよ。もちろん料金などはいただきません。僕が勝手にやったことですからね」


「あ、ありがとうございます」


 恩着せがましく金の話を絡ませておいた。

 まぁこれで俺への感謝度合いももう一つ増しただろう。


「これだけのことができるのです、さぞ高名な魔法使いなのでしょう。どうかお名前をお聞かせ願えますでしょうか?」


「俺か? 俺は有人ゆうひとだ」


「ユウヒト……様? すみません、寡聞につきあまり聞き慣れないお名前でして……」


「まぁ無理もないな、最近出てきたからな。これから人気になるだろうから、覚えておくとい。その武勇伝の冒頭にお前の存在も出してといてやろう」


「あ、ありがとうございます?」


 助けた男は首を傾げながらも礼を言った。


「ところで君たちはこれからどうするのだ?」


 さりげなく言葉遣いを変えているが、こっちのほうが英雄感が出るかなと思い変えた。もしかするとまた戻すかもしれない。


「我々はリザコの街に戻ります。誉れある死を迎えた同胞たちを弔わなければなりませんから」


「リザコの街……? それはこの道を辿った先にあるのか?」


「ええ、そのとおりです。ご存知ありませんか?」


「うむ、このあたりは初めてなものでな。じゃあここから一番近い街がそこだということか?」


「いえ、近さで言えば、本来我々が行こうとしていたシバの街が僅かに近いかと」


「なるほど」


 よしよし、これで俺の目的クリアに大きく近づいたな。

 やはり街は道を辿った先にあったのだ。

 となるとこいつらを無視して進んでいったとしてもどのみち街には辿り着けたってことだよな? そう考えると余計な手間を増やした感はあるが、まぁ魔法とかいろいろ試せたしな。それに人間を助けるといういいことをしたのだ、それだけで十分というものだろう。なに俺、ホント英雄みたい。


「じゃあ俺はシバの街とやらに行こうとしよう。方向はこっちであってるか?」


 戦いの最中に止まっていた馬車の進行方向側を指差す。


「その通りでございます。では我々はお別れということですか。おーい、ガルド」


 助けた男が、一番最初に話した青年の男を呼んできた。


 その後は特に何かあるというわけもなく、普通に別れの挨拶をして、俺はこの場を後にした。


 魔法で飛び立った瞬間歓声が湧いたのがかすかに聞こえた。

 この世界ではこういう光景は珍しいのかな? となるとこの空飛ぶ魔法は意外とレアなのかもしれない。人前であまり見せるのは良くないのかもな、できれば目立ちたくないし。


 その後俺は道なりに道をなぞって飛んでいった。

 おそらく時速六十キロくらいで飛行していたが、実際はもっとスピードを出そうと思えば出せた。

 だが急いでいるわけでもないのでそのままのスピードを保ったままにした。


 二十分ほどしたところで、前方に何やら建物が密集していそうな地帯を見つけた。

 なるほどあれが、シバの街かな?

 城壁で周囲をぐるりと囲まれていて、それなりに規模は大きそうだ。まぁこの世界の他の街を見たことがないから、世界基準で見れば果たして大きいサイズなのかということは分からないところではあるが。


 俺はそのまま城壁を越えて街に入ろうとしたが、それだとかなり目立つし、この世界の法的にどうなのかが分からない。もしかすると門で手続き的なものが必要かもしれない。

 そう考えた俺は、一旦少し離れたところに着地し、順当に道を歩いて街に入ることにした。


 道を進むと、その先に門のようなものがあり、その脇に詰め所のような小さな建物があった。

 あそこで入場の手続きをするということだろう。


「たのもう!」


 俺は詰め所の窓に向かい高らかに叫んだ。

 窓のすぐ向かい側には制服を着た男の人がいて、少しびっくりしていた。


「あ、ようこシバの街へ。ご入場手続きを行いますので、身分証明証等ありましたらご提示願います」


 男はそんなことを言ってきた。

 え、当然持ってませんけど? 無理やり突破しますか。

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