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 俺は門番に紹介してもらった宿屋に行くことにした。

 今、頑張って夜道を歩いています。

 あー、マジで眠いわもう。しかも腹も減ったし本当最悪。でもどっちかと言えば眠気の方が大きいかも。前世でも夜更かしはそんなにしないように気をつけてたからな、まぁたまにはしてたけど。こっちでも規則正しい生活ができればいいなぁ。


 夜の街並みは正直言って暗かったが、星明かりがあり絶望的に見えないというわけではなかった。この辺はやはり文明の差というものが出ているのかもしれないが、この世界では電気など発明されてるわけもなさそうなのでまぁこんなものだろう。



 そうこう考えているうちに、門番の男に案内された場所に着いた。結構裏路地気味のところにあるんだけど大丈夫だろうか。


「ここだな」


 見上げた建物の看板には『明るく元気亭』と書かれていた。間違いない、教えて貰った名前と一致する。でもこの建物結構古そうだぞ……規模的にはその辺の民家よりは一回り大きそうだけど、そんなホテル並みにデカいとかそんなことはない。これ大丈夫かな……俺騙されたりしてない?


 不安はよぎったが、立ち止まっていても始まらない。

 そんなことよりも眠さが勝ってくる。

 もうなるようになれだ。


「すみませーん……」


 ガラガラガラ。


 小さくなりながら引き戸を開け中に入ってみる。

 一応夜ということもあったので、元気に挨拶することは憚られた。俺の長所が一つ消える行為だが、流石に空気は読める男なのだ。


 中はほのかにランプが照らされており、そこそこゆったりとした広い玄関がハッキリと見て取れた。へー、意外と内装はちゃんとしてるのかな。旅館ぽいというかなんというか。


「うーん、こんな時間にかー」


 すると奥の方から一人の人物が歩いてきた。

 その人は四十代くらいのおばさんだった。


「あ、あのー……」


「なんだい? 今日なら宿はやってないよ。よそをあたんな」


 おばさんはしっしとばかりに追い払う仕草を見せた。

 えー、一応訪問した客にそんな態度はなくないか? しかも服装も適当な市民的なものだし、あの門番適当なこと言いやがったな。でもホントに眠いし一応粘ってみるか。


「実はとある門番さんの紹介でやってきたのですが……」


「門番だ? なんていう名前だい?」


「いえ、名前まではわかりませんが、ちょっとだらしな……なんとなく自由な感じの四十歳くらいの男の人なんですが」


「あー、分かった。あいつか」


 途端に声のトーンがあがるおばさん。


「ラズコットだね。無精髭が似合ってない下っ端兵だろ?」


「まぁそんな感じだったかもしれません」


「なるほどね、全く、ほんと普段ズボラなくせにたまに働いたと思えば厄介事を押し付けてきて、はた迷惑なやつだねあいつも」


 そう吐き捨てた後、おばさんは俺に背中を向けてしまう。


「あれは一応あたしの親戚だ。そいつの紹介ってなら断れない、便宜してやる付いてきな」


 そう言って歩き出した。

 え、泊めてくれるってこと? なんか知らないけどラッキー。


 俺は後に続いた。


「金はあるんだろうね」


「宿泊代はいくらなんですか?」


「うちは人数加算制を敷いててね、一部屋一人3000シブハル。同部屋に一人追加につきプラス1500シブハルさ。朝食付き前払い。どうする」


「あ、それなら十分足ります。一人分でお願いできますか?」


「一泊かい?」


「はい、とりあえず一泊で」


「ふむ、んじゃ料金を先にいただこうか。3000シブハルだ」


 いくつかテーブルが並んでいるところを尻目に、カウンターみたいな場所に着く。おばさんが手を軽く差し出してくるので銀貨三枚をそのまま手渡した。これで大丈夫なはずだ。


「ふむ、いいだろう。一応朝食は朝五時から七時までの間でやってる。それまでに一階にこなけりゃ朝飯は抜きだ。料金の返却はしない。チェックアウトは十二時まで。それ以降も部屋で寝てるようなら当然窓から蹴り出すからね。もし連泊する場合はその時間までに申し出て料金を支払うこと。その場合掃除が十二時から十五時の間のどこかで入るから来たらどくように。後はオプションなんかもやってる、詳しいことはここに書いてるから見な」


 そう言って指した先には一枚の紙があった。

 読んでみる。


 水、桶一杯200シブハル……湯……桶一杯800シブハル……カンテラ貸出一晩用600シブハル……等々、なるほど、追加で欲しい物をいろいろ頼めるってわけか。まぁとにかく寝れればいいから関係ないかな。


「説明は二度はしないけど理解できたかい?」


「あ、はい、大体は」


「それじゃこれが部屋のカギさ。欠損させたり紛失した場合は別途5000シブハルいただくからね」


 カギを貰った。

 文字が書かれていて、読んでみると『02』と書かれていた。部屋番号なのかな。


「それじゃあ案内するから付いてきな」


 そう言って再び歩き始めたので、ありがたく後ろについていくことにした。ふぅ、なんとか泊まれそうで良かった。接客はゴミだけど意外と良心的な価格設定のように思えるし総合すれば悪くないのかもしれない。俺は接客気にしない派だし、意外と俺に合ってるのかもな。まぁまだ油断はできないけども。


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