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 少年が近辺を探し出すと、二十分ほどで手に抱えきれないくらいの赤身キノコが集まった。なんと赤身キノコは地中に生えていたのだ。

 なんだよそれ……それならそうと早く言ってくれよ。俺の苦労はなんだったんだよ……でも少年がいてくれてマジで助かったな。掘る手際も良かったし、赤身キノコも綺麗に掘り返していた。


「これだけあればMカゴ一杯はあると思うけど……」


「いやー、マジで助かったよ。えーっと名前なんだっけ」


「マズルだよ……」


「マズルくん、ありがとう!」


 因みにMカゴというのはギルドで規定されているサイズのカゴのことだ。

 カゴはSカゴやらLLカゴやら色々あり、そのカゴを基準に納品する量を決めているというのを受付で聞いていた。今回の赤身キノコの納品ノルマはMカゴ一杯分だ。


「別にこのくらいは……」


「ていうかなんであんな奴らとつるんでたんだよ。アンタかなりいい人そうに見えるぞ」


 俺は森の中を歩きながらも、つい気になり聞いてみた。


「……分からない。本当何でなんだろうね……最初はとにかくお金を稼がなきゃって思いで始めて……実際それなりには稼げてたし。でも今思えば本当にバカバカしいよ。あんな奴らと一緒にいたことで僕の品格まで一緒に下げることになってたってことに今気づいた」


「それは素晴らしい気付きだな。でもお金はそんなに稼がないとだめなのか?」


「……まぁそれも僕のエゴみたいなものなんだけど……田舎で僕を育ててくれたおばあちゃんが待ってるんだ。そのおばあちゃんにちょっとでも良い物を食べさせたくて、ビッグになって帰ってきてやろうって二年くらい前に飛び出して……でも結局才能がなくて無理だったし、それ以来一回も帰れてないけど」


「ふーん、どうでもいい話だな。でも思うんだがこれだけ採取がうまければそれだけでかなり稼げるんじゃないか?」


「別に普通のスキルだと思うけど……それは絶対に無理だよ。僕は弱いから、ゴブリン一匹にすら勝てるかどうかすら分からないし……だから雑用を極めて、強いパーティーの荷物持ちになるのが僕にとって一番手堅い路線なんだ」


「なるほどなー」


 まぁ一理ある話だと思った。

 結局は戦えなければ危ない場所にはいけない。そもそも依頼品は危ない場所に生えてたりするから依頼になるのであって、普通の一般人でも取れるような場所にあるなら希少価値は薄れて冒険者の依頼になんてならなくなる。結局は報酬と難易度は上手いバランスになっているのだ。強くなければ、いい依頼にはありつけない。

 その点少年のやり口は結構合理的なんじゃないか。ある意味寄生する感じだが、そのスキルや知識をパーティーが欲しているのならなんら問題はないだろう。そういう処世術もあるというわけだ。


「でももう冒険者は今日で終わりにするよ」


「なんで?」


「もう流石にコリゴリだよ。元々僕には向いてなかったんだ。それにお金も少しは溜まったし、あとは実家に帰って村の中でのんびり生きるとするよ」


「そうか、がんばれよ」


「……その、あなたは何者……なの?」


 恐る恐るといった調子でマズルが尋ねてくる。


「俺か? 俺はユウヒトという者だ」


「いや、そうじゃなくて、その、ものすごく強いから……」


「あぁ、そういうことか。まぁ将来的には魔王を倒す存在だからな。これくらいできて当たり前だな」


「なにそれ……でもユウヒトさんならできてもおかしくない気がする……でもなんでそんな人がキノコ狩りなんて?」


「お金がないからだな」



 そうして話しているうちに、森を抜けることができた。たまに小型の獣に襲われたが、槍で撃退した。

 その後しばらく歩き、俺たちはナメザメの街の南門に到着した。


「あぁ、なんとか帰れた……」


 マズルはほうっと息を吐き出す。

 披露が溜まっているのが明らかに見て取れた。

 俺も疲れたわ。


 冒険者カードを提示し、中に入る。

 門番からは特に何を聞かれるということもなかった。


「すっかり暗くなっちまったな!」


「うん、そうだね。でも送ってくれてありがとう。僕はこれから冒険者ギルドに寄ろうと思うんだけど、まさかここで殺したりとかはしないよね?」


「は? そういう約束だろ。俺は約束は守る男なんだ。だからマズルも俺のことは絶対に言うんじゃないぞ。家族にもだぞ」


「もちろん言わないよ。このことは胸にしまいこんでお墓まで持っていくから。ダグさんたちのことも魔物に襲われたってことで処理しとくよ」


「それは助かるな。じゃあ俺もついでだしギルドに寄っていこうかな」



 俺たちはそのままの足でギルドに向かった。

 ギルドはこの時間でもやっているらしく、明かりがついていた。


 中に入り、時計を見てみると、十九時を優に回っていた。


「緊張するな……」


 マズルはそう言いながらもてくてくと受付へ歩いていった。

 それはそうなのかもしれない、今からパーティーメンバーが死んだという報告をするのだから。その割には肝が座っているような気がしなくもないけど……俺よりも落ち着いてるじゃんないか下手したら。


 因みに依頼物の納品も同じ受付でするらしいので、マズルの次に依頼達成報告をしようと思い後ろに並んだ。


 マズルが、対応してくれていたポニーテールの二十後半くらいの受付嬢に事情を話すと、ギルド内にいたギルド職員たちは一時騒然となった。どうやらそれだけの大事だったらしい。因みにギルド内の酒場に数人の冒険者がいたが、彼らもかなり驚いている様子だった。あいつらそんなに凄い奴らだったのか。


 その後マズルだけギルドの奥の別室に呼ばれ、奥へと消えていった。

 その際こちらを振り向き少しだけ手を降ってくれた。

 これが最後の別れになるのかな。



 そうして少し経っておまたせしましたーと、先程の受付嬢だけ帰ってきて、俺の対応をしてくれた。

 マズルに貰った布袋に詰めていたキノコを渡すと、鑑定の為、すぐ隣のスペースに移りキノコを取り出して調べていた。


 しばらく経ち依頼完了の旨を伝えられ、報酬を受け取ることができた。

 あー、これでやっと依頼完了か、なんだか一日長かったぜ……。



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