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 横を通り過ぎていったおばちゃんに聞いた所、冒険者についてはあまり知らなかった。

 だがこの街に冒険者ギルドなるものがあるということは教えてくれた。

 まぁこんな歳を取ってる人がエネルギッシュなことをするわけないし、詳しく知らなくても当然だとは尋ねた後に思ったけども。

 でもそういう場所があると聞けただけありがたいよな、感謝だ。


「お姉さん、ありがとう」


「いえいえいいのよ。でも今からお出かけするなら気をつけた方がいいわよ、もうじき降るかもしれないから」


「降る……?」


「さっき聞こえなかった? 遠くの方ですごい音の雷がなってたんだけど。もしかしたら酷い雨になるかもしれないから、早めに家に入った方がいいわ」


 遠くで雷……? そんなの聞こえなかったな。この街に来る前の話か? まぁなんだっていいや、今のところ空は晴れてるし、雨なんて気にしてちゃ男じゃねぇからな。


 そんなこんなで親切なおばちゃんと別れた後、俺は早速冒険者ギルドを訪れた。


 普通に歩いていき二十分くらいは掛かっただろうか。

 通りを何度か曲がり、若干迷いかけながらもなんとか着いた。地図必須だなこりゃ。

 空を飛んでいけば早いのだろうが、目立つことをして目をつけられても面倒だ。街の日常に溶け込めるなら溶け込んでおくに越したことはない。元の街の騒動で学んだのさ。


「意外と大きいんだなぁ」


 冒険者ギルドは大きかった。とてもとても大きかった。そう、例えるならお父さんくらい大きい。立ち上がったときのお父さんだ。


「たのもう!」


 俺は入り口らしきところから中へと入った。

 入り口にはカウボーイの酒場みたいな羽扉がついており、半開放状態だった。これだと強風が吹いた時に中に砂が入って掃除が大変じゃないのだろうか。


「えーっとぉ」


 入ったところで立ち止まり中を見回す。

 見回すことはとても大事だ。なぜならここはアウェーな空間、全てを理解し、全てに対策する必要がある。


 まず中も外観に違わずかなり広かった。突き当たったところに受付がずらりと並んでいて、俺から見て右側のスペースには椅子と机がいくつも並んでいる。ジョッキのような者を手にしている奴が一人いるな。あいつは酒を飲んでいるのか? おっさんだから興味ないわ。


 とりあえず俺はそのまま前へと進んだ。

 どこに声をかければ冒険者になれるのか分からなかったが、とりあえず目の前の受付が案内的な役割も果たしているのではないかと睨み実行した。


「すみません!」


 俺は大きな声で話しかけた。


「はい、ようこそ冒険者ギルド、ナメザメ支店へ! どのようなご要件ですか?」


「冒険者に、成りたくて!」


「分かりました。冒険者登録をご希望ですね。それではこちらの用紙に必要事項をご記入ください」


 そういって受付のお姉さんに一枚の紙とペンを渡された。

 この街ではいちいち紙に書かないとだめなのか? まぁ日本ではかなり電子化が進んでて紙に何か書く機会なんて減ってたからな……もっぱら画面上にキーボードでかしゃかしゃだったもん。まぁ流石異世界不便ではあるが、これはこれでこの世界の特色を味わえているということで勘弁してやろう。


 用紙には名前と特技、希望する職業の欄と、後はいくつかの選択式のアンケートが並んでいるだけだった。アンケートは要約すると死ぬ覚悟はあるのかや、いかなる最後を遂げたとしても賠償金や補償などは払わないと言った内容のものだった。結局ここで保険をはってるんだろうな、後から何か言われてもこの紙を見せて「ほら、同意してるでしょ」と言えばかなりの圧になるだろうし。


 俺は名前はシバの街に入った時同様、ユウヒト。

 特技はかげぶんしん。

 希望する職業は冒険者と書いておいた。

 アンケートも全て「はい」の方に丸をした。


「あ、職業というのは、なんと言いますか個々人の戦闘スタイルを簡単にカテゴライズしたものです」


「戦闘スタイル?」


 どうやら書き方を間違えたらしい。

 なんでも剣士や修道士など、戦い方に合わせて名称が決められているらしい。そんなものがあるなら早く言ってくれ。恥を書いたじゃないか。


 俺は腹いせに、職業の欄は、歯ブラシマンと書いておいた。


「……? えと、このご職業は……?」


「僕の住んでいた地方のメジャーな職業ですよ。覚えておいてください」


 受付のお姉さんには通用していないようだった。なんだよ知っとけよな、まぁ俺ですら知らないから当たり前かもしれないけど。どういう風に翻訳されてるんだろうな、逆に気になるな。


「それでは冒険者カードを発行いたしますので少々お待ちください。その間に冒険者ギルドについての基本事項を説明させていただこうかと思います」


「お願いします」



 そうして俺はその場で簡単な講義を受けた。

 基本的には冒険者は何をするかというところから始まり、依頼の受け方や、依頼証明の仕方、アイテムの換金などについてのレクチャーなど、最低限のことについて学んだ。

 時間は十分ほどだった。

 眠くなってきていたので後半半分くらいは聞いていない。早くお金ゲットして寝たい、ぐぅ。

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