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序章 あなた、あの時の老人?

 なぜ九時にアクセスが集中したのか?偶然にも読者様のアクセスが重なっただけなのか?ひょっとしてこれは…! 皆さまの熱意によって私は動かされました。(こんな作品ですみません。)

 とにかく、シャンドレーを一度読んだ方には楽しんでいただけると思います。たぶん。もちろん、いきなりこの作品から読まれる方にも、物語の流れが理解できる内容となっております。

 念を押すようですが、これは遊びですよ?遊びなんです。気が向いたら更新します。というわけで、なぜか九時にアクセス集中記念、スタートです。

 ここは1820年のフランス。


 そのとある港町のシャンドレーは、もうすぐ冬を迎えようとしていた。


 そんな街に、小さな少女の姿があった。


 リディルは七歳になる女の子。


 活発なときもあれば、心優しく、少しばかり内気な面もあった。


 いつも茶色い長髪を揺らして、父のアンドリューにくっついて、社交界にやってきたのだが、ふと不思議な現象に気づいた。


 「お父様、あれはなあに?」


 「ん?」


 アンドリューは彼女にたずねられて、指をさされた方向を見た。


 ここは上流貴族が集まる社交界のはずなのに、なぜか一人だけボロボロの服を着て、今にも死にそうな目で口をパクパクさせている老人がいた。


 一瞬ぞっとしたが、よく見ると彼が以前牢屋に捕まったことがあったのだが、その時に突然姿をくらました囚人だと気づいた。


 しかしおかしなことに、老人の姿に人々は目もくれない。


 そもそも、パーティー会場に入るときに警官のチェックを受けなければいけないはずなのに、どうやってもぐりこんだのだろう?


 「やだ、何あの人。」


 横にいたのは、リディルと同い年のシャルロット。


 金髪が後ろの方で一本の三つ編みにしてある、貴族生まれのお嬢様だ。


 彼女もまたとある事情があって、アンドリューの娘になっていた。


 お嬢様だけになんともいたずら好きで、負けず嫌いなタイプだった。


 そんな彼女も老人の方を指さす。


 アンドリューは久しぶりに再会した老人に、声をかけてみようかと思ったのだが、こんな大勢の前では、どうも浮いている存在に話しかけるのは勇気がいる。


 どうしようかと迷っていたが、その迷いは老人の行動によって断ち切られた。


 なんと彼はシャルロットの方を向いて、にやりと笑って、大声で叫んだのだ。


 「みぃーつけた。 はははははは!」


 「な、なんなの?」


 彼女はアンドリューの後ろに隠れようとしたが、父の様子がおかしいと気づいた。


 石のように固まって動かないアンドリュー、リディル、それに社交界に来ている人々。


 「みんな、どうしちゃったの?」


 シャルロットだけがその老人の動きを読み取ることができ、意識があるのだ。


 「こ、来ないで!」


 彼女は近寄ってくる老人から逃げようとしたが、足がすくんで動けなくなってしまった。


 「しゃーるーろっとー…」


 なぜ自分の名前を知っているのかすら分からないまま、ついに彼女の手に老人が触れる。


 「やだっ!」


 思わず殺されるのかと思い、目をつぶったシャルロットだったが、リディルの常に持ち歩いていた日記帳にに目を付けた老人が、それを奪ったことに気づいて、目を開けた。


 「返して! それはリディルのものよ!」


 彼女は老人に触れようとする。


 しかし…


 「え…」


 老人の体に触れようとするシャルロットの手は、彼の胴体をすり抜けた。


 恐くなって彼女は老人を見上げる。


 目を大きく開き、老人は日記帳のあるページを開いた。


 「うそ、でしょ?」


 シャルロットがおどろくのも無理はない。


 そこには、確かに彼女の筆跡で見たこともないような文字が書かれていたからだ。


 突然、その文字はまばゆいばかりの光を放ち、老人の口内が光る!


 なぜ口内なのかは不明だが、とにかく不気味に白く光って、口のなかは何も見えない。


 「うっ…」


 その輝きに片目をつぶるシャルロットは、足場がゆらいでいく感覚を覚えた。


 こんなことはきっと夢に違いない。


 そう思った、いや、そう願った。


 「いやああああああああああーっ!」


 体が地面に飲み込まれていく。


 冷たい何かの感触がシャルロットを包み、彼女はリディルの日記帳から文字が空中に浮かびあがっているのを最後に目にした。


 


 


 

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