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「夏祭り」なんて無くなってしまえばいい

作者: 島猫。

夏祭りなんて無くなってしまえばいい


喜べるのは参加するだけの人間と、一部の世話好きな人種


嫌でも回ってくる町内会の役

土地を買い、家を建て、ただ住んでいるだけなのに

役さえ無ければ、参加するだけならば、皆きっと楽しめる

でも、確実に、どこかの誰かに負担が掛かっている

計画、調整、準備、実行

役をする誰かがいるから、夏祭りは成立する

楽しい楽しい夏祭り

愉快な愉快な夏祭り

でも、役員に当たった人は、皆が皆、役をやりたい訳じゃない

時間を割いてまで、手間を掛けてまで、夏祭りをやりたい訳じゃない


平日の夜、役員同士、何度も顔を突き合わせて打ち合わせ

それは時に、休日にも

平素は顔も知らないご近所さん

今では見飽きた顔のご近所さん


嫌い嫌い嫌い

夏祭りなんて嫌い



子供の頃の、子供会を思い出す

平日の夜、家族の夕食のテーブルにお母さんがいない

自分が子供会に入っているせいで、お母さんがいない

お母さんが作った料理を食べているのに、お母さんがいない

順番で回ってくる保護者の役

子供会に入って遊ぶより、お母さんにいてほしかった

お母さんと一緒に夜ご飯を食べたかった



子の成長は嬉しいもの

3キロに満たなかった赤ちゃんは、もう3歳のお姉さん

おままごとでお人形にご飯をあげる姿はママそのもの

嬉しいはずの子の成長が、時短勤務の終わりを告げた

フルタイム

慌ただしい保育園の送り迎え

風呂に夕食、明日の準備

仕事中に欠伸しないためにも、睡眠時間の確保は必須



役? 役員会?? 平日夜に???

子の夕食はラップに包んだ握り飯

子と手を繋ぎ、えっちらおっちら

集合場所の会館まで夜道を歩く


要らない要らない要らない

夏祭りなんて無くなってしまえばいい



祭り当日は朝から準備

潰れる休日

仕事の日よりもハードな一日


「おまつりたのしみ」


本当に?


「おまつりうれしい」


本当に?


夕方から夜にかけ、夏祭り会場には町内の人達がやって来る 

くじ、夜店、花火、盆踊り

人、人、人、人、人、人、人 

賑やかな音楽と、楽しそうな喋り声に、笑い声


「おまつりたのしいね」


良かったね


「わたがしおいしい」


良かったね


皆、楽しそうで、嬉しそう

皆、とっても幸せそう


でも、誰かの心と時間を(えぐ)り、削り、すり減らす夏祭り

そうしなければ人手が足りず、成立しない夏祭り 


嫌々でも、そこに住んでいるからには、回ってくる役を受けなければならない

そんなに負担が掛かるなら、手間が掛かるなら、夏祭りなんてやめてしまえばいい


夏祭りなんて無くなってしまえばいい








作品は一応フィクションです。

自分の思いとしてはリアル、でも新型コロナで夏祭りはここ数年中止で、夏祭りの役の経験は無し。

でも、ご近所さんがめっちゃ大変そうだったのを覚えている。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お疲れさまです。 独り者世帯や大人だけの世帯だと、町内会に入らなかったり祭りなどのイベントはバックレたりできるけど、子供がいると逃げられないんですよね。
[一言] わかる…… 子供のときとか行事は常に嫌いでした。 大人になると尚更面倒ですよね……
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