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慎太と柚葉 見えた溝

大事なところだったので、、、長くなってしまいました。

復活!!は、したけど・・・・まあ、ボーナスタイムをね、享受しようではないか。仮病ではないのですよ。昨日までなかなかの高熱だったから、両親も妹も心配して休めというから、そこはほら、仕方がなくですね。


ちなみに昨日はあの後、小雪に怒られて大変だった。


-----------------


ん?1階でドタドタ聞こえるな。小雪が帰ってきたかな?


「お兄ちゃん!?」

「おぉ、小雪。お帰り」

「小雪ちゃん、慎太、まだ熱あるから、優しくしてあげて」

「祐樹、悪いなこんな時間まで、小雪帰ってきたから、、、」

「お帰りじゃないよ!!!なんで連絡してくれないの!!お兄ちゃんが苦しんでるのに、、、何で頼ってくれないの??家族でしょ!!!すぐに帰ってくるのに」

「え?いや、だって全日吹奏楽コンクール出るって頑張ってる妹に、俺の為に帰ってこいとは言えないでしょうよ」

「家族以上に大切なものなんてないでしょ!??」


あ、やばい、普段静かな小雪が結構怒ってる。


「・・・ずずっ・・・。ひっく・・・。大体、柚葉お姉ちゃんにだって、頼れるでしょ?」


祐樹が小さい声で「あー」とか言っている。状況を察してくれたらしい。


「なんで別れちゃったのか私、分かんないけど、柚葉お姉ちゃんとあんなに仲良かったのに。別れたからって、今までの関係も終わっちゃうの?お兄ちゃんがお姉ちゃんとよそよそしくするの、悲しいよ。」

「いや、まぁ、色々とあるんだよ。それに祐樹も来てくれたわけだし」

「・・・もちろん祐樹さんには感謝だし、ちゃんと人を頼ったのは間違ってないけど・・私にも、お姉ちゃんにも頼って欲しかった。」

「・・・・ごめんな、小雪。よし、駅前の喫茶店でパフェをおごらせて頂こう!」

「んんん・・・私、怒ってるんだからね!・・・次はちゃんと連絡してよね!」


小雪は不満げに、けれどいくらか機嫌を直してくれて自分の部屋に入っていった。よかった。まだ物でつれるお年頃だったか。


「小雪ちゃんがお前に怒ってる姿、めっちゃ可愛いやん。物でつられるところとか、良い。」

「小雪はやらんぞ」

「お義兄さん!」

「誰がお義兄さんだ!ってまだ万全じゃないんだからやらせるなよ。」

「ああ、普通にごめん。お前と話してるとつい」

「まあ、改めてとにかく今日は助かったよ祐樹。吉田さんにも宜しく伝えておいてくれ。もちろん自分でも言うけど」

「あいよ!じゃあ、帰るな!また学校でなー」


-----------------


いや本当に祐樹には頭が上がらんね。本人には言わんけど。しかも吉田さんも来てくれるとは、ありがたい事だよ。


そう思いながら、粛々と俺はリビングの我が家最大の大きさを誇るテレビにゲーム機をセット。飲み物用意OK。お菓子OK。夕方まで小雪も帰ってこない。親も仕事!今だけはこの家は我の王国!!そして俺はキング!!!!


はじめようぞ!めくるめく物語を!(訳:ゲームしまくり、怠惰な1日のスタートだ)


―ピロン―


おやメッセージ。出鼻をくじかれるとはこのことなり。


<風邪を引いたと聞きました。体調大丈夫ですか?あの日の雨が原因だよね。心配してます。>


・・・柚葉からだ。久しぶりにメッセージ来たな。あれかな?小雪が風邪のこと伝えたのかな。いつもメッセージ来ても返さなかったら、少しづつ減ってきて、最近はほとんど来なくなったのだけれど。


顔を合わすと、何かしら一言二言話すことがある程度が最近の柚葉との距離感だったと思う。まあ、主に俺が避けているからというのはある。


『お兄ちゃんがお姉ちゃんとよそよそしくするの、悲しいよ。』


昨日、小雪に言われたことが思い出されるけれど・・・いや、無理だろ。普通に話すとか。


<もしよかったら、今日、お見舞いに行かせて下さい。>


は?いや、何言ってるんだ?さすがに返信しないで来られたら困る。


<両親も、小雪も帰ってくるの遅いから。俺と2人だと彼氏に悪いだろ>


いや、マジで何なんだ?無性に腹が立つ。俺の事振っといて、また二股かよ!それとも別れたのか?しばらく返信来なくなって、ゲームをやる気もそがれた為、何となくギター触って気を紛らわせていると、、、


<えっと、私、彼氏、できていないよ?慎太と別れてから、お付き合いした人はいません>


いや、何だそれ?もう少しましな嘘つけよ。またバカにするってか?


<何言ってるんだ?俺たちが別れた何日か後、俺のところにあの時紹介された田中ってやつが来て、柚葉と付き合ってるって言ってきたぞ?別にもうどうでもいいけれど、俺と別れる前からキスも身体を重ねたとも言っていた。浮気してたの知ってるから、いちいち隠さなくていいよ。>


<そんなの違う!!!そんなこと、してない!!>


<どうでもいいって、田中の事、俺に紹介した時からできてたんだろ?まあ、2人で居たくらいだし、その後、柚葉に他に好きな人が出来たって言われて振られたんだ。疑いようないだろ。まあ、今更、何とも思ってないから、もうほっといてくれ>


<お願い、ちゃんとお話させて下さい。誤解してる。慎太と別れてから誰とも付き合っていないし、田中君と手だってつないだことない。キスもエッチもした事なんてないです。そんな関係じゃありません。お時間下さい。ちゃんと、ちゃんと会って話がしたいです。>


さすがに信用できる要素ないだろ。今更、、、、何なんだよ。まあ、別にどうでもいい。俺らガキの好いたの惚れたのなんて、何の意味もない。「好き」なんて言葉に意味なんてない。ただの音の羅列だ。そこに込める想いは、どいつもこいつも中途半端で、結局、人を傷つける道具でしかない。


せいぜい“おままごと”でもやっていればいいさ。俺を、、、、巻き込まないでくれ。


その後30分ほどして家のチャイムが何度か鳴ったけれど、俺は聞かないふりをした。


--------------------

◆佐々木柚葉 視点


慎太が風邪を引いたと聞いて、本当はすぐに駆け付けたかった。だけれど、私は慎太が私の事を避けているのをわかってる。今、慎太に連絡したらただでさえ、体調悪くて辛いのに、余計迷惑かけちゃうかもしれない・・・。そう思って我慢していた。


そう思っていたら、その日の夜、小雪ちゃんからLIFEのメッセージが届いた。小雪ちゃんとはよくやり取りをし続けていた。私が慎太にしたことを、慎太は小雪ちゃんに言ってない事が・・・また、慎太に対する甘えだってわかっているけれど、嬉しかった。


慎太は私を拒絶するけれど、LIFEをブロックしなかったり、話しかけると必ずちゃんと答えてくれる。慎太は私が悲しむことを今でもしないようにしてくれているのに気づいていた。


慎太はやっぱり優しかった。


<柚葉お姉ちゃん。こんばんわ。今日ね、お兄ちゃん風邪で休んでたんだけど、熱が40度近くもでちゃって・・・お兄ちゃん、小雪にもお姉ちゃんにも連絡しないで、友達の祐樹さんにだけ連絡して、薄情ですよね>


・・・40度近くも出てたんだ。小雪ちゃんは、あの時の事を知らないから薄情なんて言うけれど、慎太は優しいよ。底抜けに、優しいよ・・・。


・・・あれ?祐樹さん?昨日確か会った女の子は吉田詩織さんって言ってたと思ったけれど?


<こんばんわ小雪ちゃん。慎太、大丈夫かな?そんなにお熱が出てたんだね・・・。慎太は薄情じゃないよ。その、ところで祐樹さん?はその、女性の方?>


<え?男性ですよ?昨日祐樹さん私が家に帰るまでお兄ちゃんの事、見ててくれたんですよ。たまにうちでドラムのバチ持ってきて古本にガムテープ巻いたのを太鼓と見立てて、兄のギターに合わせてたたくという、謎の遊びをしに来る人です。ちなみに、今はお兄ちゃんの熱、大分収まりました。>


あ・・・昨日の子、一人で来たわけじゃないんだ。そっか・・・。まだ慎太とどういう関係かわからないけれど、お見舞いに来るくらいだから、きっと慎太と仲が良いのだと思うけれど、、、それでもちょっとほっとしてる自分がいる。


<お姉ちゃん。もし、もし嫌じゃなかったら、明日、お兄ちゃん、大事をとってお休みするから、お見舞いに来てほしいの。私、お兄ちゃんとお姉ちゃんがギクシャクしてるの・・・嫌だよ。また、仲良くしてほしくって・・・・。>


<嫌じゃないよ。私も・・・私も・・・仲良くなりたいって思ってる。でも一つだけ。小雪ちゃん、前にもいったけれど、これは私が悪いの。慎太の事、責めないでね。明日、慎太に連絡してみる。ありがとね。小雪ちゃん。>


ありがとう。小雪ちゃん。私、頑張るね。明日、慎太とお話できるといいな。


----------------


次の日、私は学校を休んで、慎太が起きてそうな少し遅めの午前中の時間に、メッセージを打った。しばらくメッセージを打っていなかったから、送信ボタンを押すのにすごく緊張してしまった。


<風邪を引いたと聞きました。体調大丈夫ですか?あの日の雨が原因だよね。心配してます。>


いつもは、しばらく既読が付かない。私のせいで拒絶されているから、仕方が無い事だった。けれども今日はすぐに既読が付いて、ドキドキしながら次の文章を入力した。


<もしよかったら、今日、お見舞いに行かせて下さい。>


ダメかもしれない。返信も来ないかもしれない。それでも、いつもよりもっと、会いたい。あの子が看病していて、私は出来なのも、すごく悲しくて、モヤモヤしていたのもある。


―ピロン―

慎太から返信が来た。一瞬嬉しくなったのも束の間、慎太から拒絶の内容だった。ただ気になる事が書いてあった。


<両親も、小雪も帰ってくるの遅いから。俺と2人だと彼氏に悪いだろ>


・・・彼氏なんていない。慎太と別れてから、誰とも付き合ってないけれど。・・・あ、そうか。私が言ってしまったお別れのセリフ。


『慎太ごめん。好きな人ができたの。だから慎太とはもう一緒にいられない。』


それはそうだ。きっと慎太は私が他の人と付き合ってるって思っているんだ。・・・本当に、私は最低だ。・・・ダメ、ちゃんと前向くんだから。傷ついているのは私じゃないんだから。


深呼吸をしながら自分を落ち着かせて、震える指で次のメッセージを打った。


<えっと、私、彼氏、できていないよ?慎太と別れてから、お付き合いした人はいません>


信じてくれないかもしれない。それでも、ちゃんと行動で示していくしかない。ちゃんと誠実に、目の前の事に目をそらさずに向き合うんだ。


そう思っていたら、慎太から信じられない内容の返信が届いた。


<何言ってるんだ?俺たちが別れた何日か後、俺のところにあの時紹介された田中ってやつが来て、柚葉と付き合ってるって言ってきたぞ?別にもうどうでもいいけれど、俺と別れる前からキスも身体を重ねたとも言っていた。浮気してたの知ってるから、いちいち隠さなくていいよ。>


どういう事?なんで??田中君??私は田中君の告白のお返事もお断りしたし、あれから田中君と極力、お話すらしないようにしている。ましてやキスも身体を許すなんてこともしていない。体中が震えて、自分が立っているのか、座っているのかすらわからなくなる。目の前が歪んで何も考えられない。気が付くと反射的に


<そんなの違う!!!そんなこと、してない!!>


と打ってメッセージを送っていた。すぐに慎太から返信が来た。慎太は、私の何もかもを信用していなかった。


<どうでもいいって、田中の事、俺に紹介した時からできてたんだろ?まあ、2人で居たくらいだし、その後、柚葉に他に好きな人が出来たって言われて振られたんだ。疑いようないだろ。まあ、今更、何とも思ってないから、もうほっといてくれ>


田中君に対して、気持ちに答えられなかったとは言え、あまりに酷いと思った。けれども私も慎太の想いを裏切った。それが酷く絡まって、決定的な溝を作ってしまっていたことにようやく気付いた。私は涙で前が見えないなか、一生懸命、懇願するように慎太に誤解だと、会いたいとお願いした。


<お願い、ちゃんとお話させて下さい。誤解してる。慎太と別れてから誰とも付き合っていないし、田中君と手だってつないだことない。キスもエッチもした事なんてないです。そんな関係じゃありません。お時間下さい。ちゃんと、ちゃんと会って話がしたいです。>


その後、慎太からの返信が途絶えた。10分まっても20分まっても返事は帰ってこなくて、怖くて、辛くて、でもこのまま慎太と離れる事のほうが嫌で、震える身体を引きづるように慎太の家に向かった。


だけど、チャイムを鳴らしても、慎太は出てきてくれなかった。

ここまでが物語のスタートラインに行きつくまでのお話でした。

見事にこんがらがってます。


ここまででもし、面白いと思ってくださった方はご評価いただけると幸いです。低くても高くても大変ありがたく感じます。


息切れしないように、頑張って更新いたします。

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