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旧友と柚葉 / 詩織の決意

◆佐々木柚葉 視点


——————— 凄くかっこよかった。


付き合っていた頃よりも、もっと、ずっとかっこよくなってる。まだ胸のドキドキがおさまらない。小雪ちゃんもすごく楽しそうだった。お兄ちゃんっ子だもんね。


吉田さんなんか、すっこくノリノリで、ああ、この人、本当にかわいいなって思う。この人が・・・私が傍にいない間、慎太の近くにいた人なのかな・・・


「すっごい良かった!うーん、皆かっこよかったー!!!」


この人はきっと自分の気持ちに正直で、いまのセリフみたいに何でも言葉にする事が上手なんだろうな。私には出来なかった事だ。


吉田さんと小雪ちゃんは慎太たちの所に話しかけようと歩き出す。私もその後を追おうとすると後ろから声をかけられた


「あれ?佐々木さんじゃん!俺、覚えてる?ほら、小田!小田智也!慎太とよくバカやってた」


「ああ!久しぶり!小田君、元気にしてた?小田君も来てたんだね!」


「元気元気!慎太に誘われて、他にも森中の奴ら誘って来たんだ。おーい!皆!佐々木さん発見!」


「わぁ!柚っちじゃん!ひっさしぶりー!すご、偶然!いや、偶然じゃないか?旦那の晴れ舞台だもんね?そりゃ応援にくるか!」


「森田さん、えっと、久しぶり。あー、慎太の事、応援しに来たのはそうなんだけど、旦那じゃないよ・・・!その、色々あってお別れしてて・・・」


「え!うそ!ゴメン!えぇ??でもあんなに仲良かったのに。何?あいつなんかやったの!?懲らしめてこようか?」


「違うよ!慎太が悪いんじゃないよ。色々あったけど、今は仲良くしてるから。そこは触れないでくれると嬉しいな。」


「えー、そうなの?まあ、そうならいいけど」


「2人で話し込んでないで俺も混ぜてよ。久しぶりだね。佐々木さん。覚えてるかな?バレー部でキャプテンやってた五十嵐だよ。」


「覚えてるよ。久しぶり。」


あ、この人、中学校の時、すごいモテてた人だ。スポーツ万能でかっこよくて、色々な女の子が校庭でキャーキャー言ってた。何かの用事で何度かはお話したこともあったし、私も凄いなぁとは思っていたから印象に残っている。


「ちょっと聞こえちゃったんだけど、佐藤と別れたんだって?あいつもバカだな。こんないい子と別れるなんて。」


「い、いい子だなんて、そんなことないよ。」


「いや、僕だったら絶対、佐々木さんを離さない。何があってもね。でも僕にとってはラッキーか」


「え・・・っと、五十嵐君?」


「智也!この後のカラオケ、佐々木さんも誘っていいよな?」


「おう!そりゃ歓迎よ!」


「え!柚っち来てくれるの?やったー!じゃあ、今日は同窓会だね!!!盛り上がってきたー!」


「えっと、そ、そしたら慎太も誘おうよ。私、慎太の妹の小雪ちゃんと一緒に来てるから。小雪ちゃんも慎太がいたほうが安心できるし。」


「佐々木さん、無理しなくていいよ?辛いだろ?別れたやつと一緒に居るなんてさ。変な事を言うようだけど、次に向かわなくちゃ。僕も協力するよ。佐藤の妹さんだったら大丈夫だよ。もう高校生でしょ?一人で帰れるよ。」


「ちょっと待って、五十嵐君、えっと、そうじゃなくて、私はっ」


「ちょっと何、こそこそ話してるのよ!柚っち、美代もいるよ!今、出口集合で先行っちゃってるけどさ!柚っち行くよね?ね!来てよ。こんな機会中々ないし!」


「う、うん。えっと・・・慎太が行くなら!ほら、今日の主役がいないのも何だか違うっていうか」


「たしかに!いいね!あ、いや柚っちは大丈夫?いや、大丈夫なら全然いいんだけど!私誘ってこようかな!」


「ちょっと待て明美、ほら佐藤もバンドメンバーとの打ち上げあるだろうし、佐々木さんの事、もっとちゃんと気遣ってあげなきゃだろ?」


「まあまあ、五十嵐が女子に優しいのはいつもの事だけど、俺もせっかくなら慎太と話したいし、今は仲いいみたいだし大丈夫じゃね?あっちが終わってから合流すればいいだろ!取りあえず俺誘ってくるわ」


何だろう、ライブの熱気にあてられてなのか、皆、変なテンションになってるみたい。慎太に話しかけようと舞台の近くへ歩いていく吉田さんと小雪ちゃんの背中に声をかける。


「えっと、吉田さん、小雪ちゃん!」


「・・・な・・・―・・・!!!」


周りの音がうるさくて聞こえない。私の声も届いていたいみたい。


「・・・じゃあ、俺たちは先に行こう。智也!頼んでいいか!」


「おうよ!すぐ行くわ」


小田君が舞台の近くに向かって歩き出したのを見ていたら、急に五十嵐君の腕が肩に回された。


「えっと、五十嵐君、大丈夫だから。その・・・手・・・やめて」


「ここは混んでるから、ちょっとだけ我慢な」


そう言って、五十嵐君と森田さんに半ば強引につれられてライブ会場を後にした。


--------------------

◆吉田詩織 視点


皆、凄くかっこよかった。ここ1週間くらいは特に、皆のバンド練習に呼んでもらって頑張っていた姿を見ていたから、余計に心に来るものがあった。


それと・・・贔屓目だってわかっているけれど、特に慎太君から目が離せないでいた。


ああ、もう誤魔化せないな。この気持ち、抑える事ができない。それに・・・さっきの楽屋での柚葉ちゃんと慎太君とのやり取りを見て、心がざわざわした。


他の人にはない、あの2人の間に流れる雰囲気を見て、胸がキュッとなった。普段、他の女の子には言わないような冗談と、自然に慎太君の頬をつねる柚葉ちゃん。


2人の関係はわからない。気が付いたら慎太君の傍に近づいて彼の頬に振れた。柚葉ちゃんつねったところを私の手の感触で上書きするかのように。


それに、これは私の感だけれど、涼音ちゃんも慎太君の事を気にしていると思う。どのくらいの気持ちなのかはわからない。だけど、他の男の子との接する態度はやっぱり違う。


慎太君が他の女の子と仲良くしている姿を見ると、凄く胸がズキズキした。・・・私の心に渦巻く気持ちは嫉妬だった。・・・醜いなと思った。


他の子に負けたくない。それに悶々と悩んでいるのも自分らしくない。


ライブの特別感に浮かされて、少し平静じゃないかもだけれど・・・でもこの勢いを使って・・・


想いを伝えなきゃはじまらない。


私は慎太君が好きだ。


私は今日、慎太君に告白する。

ここまでお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、下にあります、☆☆☆☆☆にご評価を入れて頂きますと幸いです。ご評価をモチベーションに変え、執筆活動を引き続き頑張って参ります。


次章は少し荒れ模様です。

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― 新着の感想 ―
[一言] あんな思いしたのにまだはっきり自己主張できないこの女ははっきり言って地雷 主人公も深く関わらない方がいい
[一言] いいね! アオハルダネー キュンキュンしますなぁ 更新待ってまーす
[一言] さぁ、柚葉ちゃんは正念場だなぁ… どんな選択をするのか気になる
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