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2050セカンドライフ ーVRファンタジー世界で青春をやり直す!ー  作者: えーいち
クロエとチュートリアル編
5/55

第04話 『イイネ!』を稼ぎます!!

 ひとしきり街中を見て回った後、日が暮れてきたのでマイルームに戻り、クロエと一緒にコンソールからVRデスクトップを起動する。

 ログイン中のログからアバターの行動を再生、確認し、それを動画や静止画にしてSNSにアップロードして、『イイネ!』が付くとジュエルがもらえる。

 

 ブラウザを開いて動画を検索すると『やってみた』『作ってみた』『行ってみた』『歌ってみた』『○○開拓日誌』『真っ裸から始めるサバイバル生活○○日目』とかが多く、人気のある配信者はコンスタントに2000以上、バズって数万のイイネ!を稼いでいる感じ。

 ざっくりと見た感じ、女性アバターが『真っ裸から始めるサバイバル生活』をやると、特に1日目の動画に大量のイイネ!がつく傾向みたい。

 まぁ、ぶっちゃけわかりやすい。

 

 「でもこれって、どうやってアップしてるんだろ?この人ずっと山の中でサバイバルやってるんだよね?」

 

 マイルームに帰らないと動画の編集もアップロードもできないはずなのに、サバイバルやってる人はずっと帰ってないように見えるけど。

 

 「それは、クロエみたいなパートナーをマイルームでお留守番させて、動画の編集とアップロードを代行させてるんですよ。行動ログの閲覧とか、再生と編集とか、SNSへのアップロードの権限をパートナーに付与することもできるんです。」

 

 あれか、政治家とか芸能人とか、有名人の公式アカウントを秘書とかマネージャーとかが更新してるやつだね。

 

 「こんな感じのサバイバル系はイイネ!を稼げるんですけど、すぐ死んじゃうこともあって危険なジャンルなんですよー」

 

 死、と聞いて一瞬びくっと震える。

 VRの世界だからと、死ぬことについて全く考えていなかったから。

 

 「えーっと、VR世界で死ぬとどうなるの?」

 「普通に痛かったり苦しかったりしちゃいます。本体がそれでショック死するような痛みや苦しみはカットされるんですけど、死んじゃうとアバターロストしちゃうんです」

 

 クロエの話だと、クロニクル・ワールドでは作成できるアバターの『枠』が三つあって、アバターロストすると、アバターが消滅して『アバター枠』も一定期間凍結してしまうとのこと。

 凍結したアバター枠は49日経つと空のアバター枠で復活するみたい。

 なお、死んだらアバター作成前の『白くぼんやりした人型のナニカ』になってトリアの前に戻ると言うことらしい。

 

 「もしサバイバルやるんでしたら、危ない時に守ってくれるパートナーと一緒に色んな道具用意して何回か練習してから、真っ裸にチャレンジするのがいいですよ。」

 「まぁでも真っ裸から始めるの、結構恥ずかしいよね」

 

 18禁指定されていない動画はAIが判断して海苔を付けてくれると言っても、さすがに真っ裸は恥ずかしいし、すぐに衣服作ったとしても葉っぱや草、樹皮を材料にした簡素なものになるから隠すべきところをキッチリ隠せるかも疑問だし。

 と言うか最近の海苔AIは高性能で、隠さなきゃいけない部分のみを的確に隠すからある意味余計に……

 

 「恥ずかしい、に見合うだけのイイネ!は稼げるんで、やってみるのもアリですよー」

 

 とかなんとか勝手なこと言ってくれちゃってるけど、やるのはわたしなんですよね。

 

 あとは、ジュエル配布対象SNSの一つ『Jisboard』で開設されているクロニクル・ワールド公式サーバーの『#はじめまして』チャンネルに画像付きで挨拶すると、それだけでご祝儀的に5000イイネ!くらい付くみたい。

 なお、100イイネ!で1ジュエルなので、はじめましてご祝儀で50ジュエルくらいになるらしい。

 

 ちなみに、他のチャンネルの他の投稿を見ても『イイネ!』が付くような投稿はあまりない。

 『#スクリーンショット』チャンネルや『#動画』チャンネルで10イイネ!とか20イイネ!、たまに500イイネ!が出てくる程度。

 これだったらイイネ!稼ぎには『#はじめまして』以外、ツベとかツイとかの方が良さそう。

 

 「5000イイネ!くらいになってると、後から見た人は『もう十分でしょ』って思ってイイネ!つけるのをやめてしまうんですが、それでもイイネ!つけたくなるような構図だと、もっと多くのイイネ!がつくこともあるんですよ」

 「なるほど、とりあえずの証明写真風でも5000、気に入られるとそれ以上になるってことね」

 

 となると、どんな構図にすればより多くのイイネ!がもらえるか、を考えると……

 一度コンソールを閉じた後、鏡台を鏡に戻す。

 

 「ねぇクロエ?」

 「なんでしょうご主人様?」

 

 クロエを手招きして抱き寄せ、やさしく髪をなでる。

 

挿絵(By みてみん)


 「ひゃう!!」

 

 クロエかわいい!クロエかわいい!!

 抱きしめたいのをぐっとこらえて静かにやさしく髪をなで続けながら、にっこりと微笑む。

 

 「ご、ご主人さまぁ、だめですよぉ」

 

 顔を薄紅色に染めたクロエが少し前かがみになってわたしにしがみつき、目や唇が惚けたようにとろんとなってきたところで、クロエの頬にやさしく左手を添える。

 

 「あっ、はんっ、ご主人さまぁ」

 

 頬に手が触れた感触に、クロエはビクン!と体を跳ね上げて反応する。

 わたしはそのままクロエに顔を近づかせる。

 

 「クロエ、ほら見て、鏡」

 「ふえっ?」

 

 クロエの頬に添えた左手を滑らせ、わたしの腰あたりを掴んでいるクロエの右手の指に絡ませる。

 と同時に、わたしもクロエと同じように鏡に視線を移す。

 

 「クロエ、かわいい」

 「ご主人さまぁ……だめですよぉ……だめですよぉ」

 

 その後しばらく髪をなで続け、クロエが足を震えさせて崩れ落ちたのでベッドに運んで寝かせると、クロエはすぅすぅと寝息を立て始めた。

 わたしもベッドに入ってクロエを抱きしめながら再び髪をなで始める。

 

 二時間くらい経った後。

 

 「も、もうご主人様!え、えっちなのはいけないとおもいます!!」

 

 いつの間にか寝ていたわたしの起きがけにクロエが一声を浴びせてきた。

 

 「ごめんごめん、クロエがすっごくかわいかったから、ねっ?」

 

 わたしは謝りながらクロエに抱き付いて軽く頭をなでる。

 

 「だからご主人様ってばぁ」

 

 クロエの頭をなでた後、鏡台に手を添えてコンソールを立ち上げて『端末』からVRデスクトップを表示させる。

 行動ログ再生アプリを起動して先程のベッドから起きるところまでは記録されていることを確認。

 

 「それじゃ、アップするベストショットを探してみよっか」

 「えっ!?ご主人様、もしかしてさっきのですかぁ?」

 

 クロエが抗議してくるような素振りを見せたので、再びクロエを抱き寄せて髪をやさしくなでてあげる。

 

 「ひゃい!」

 「これも恥ずかしい、に見合うだけのイイネ!は稼げると思うし、やってみるのもアリだよね?」

 

 わざと意地悪っぽく、クロエの言葉を耳元で小さくお返ししてあげる。

 

 「は、はうぅ……わかりましたぁ、ご主人様ぁ」

 

 クロエの了解が取れたので、ひとまずクロエを抱き寄せて、わたしの膝枕で寝かせてあげる。

 もちろんその間、頭をなでることを忘れない。

 次に、ログ再生アプリでクロエに鏡を見させたあたりを鏡の位置から撮影。

 撮影した画像には、わたしの体付近に「Izumi」クロエの体付近に「Chroe」と書いて、画像下枠部分と左右の枠の半分くらいまでを百合の花を咲かせる。

 時々眼下で「あんっ」とか艶めかしい声が聞こえたり、びくっと震えた感覚が伝わってくるけど、気にせずに作業を進める。

 最後に画像の枠を飾り付きの額縁で縁取りしてデコレーション完了。

 

挿絵(By みてみん)


 -はじめまして、イズミと言います。

  一緒に写ってるのはパートナーのクロエです。

  めっちゃかわいくて、ホント大好きです♪

  今日はじめたばかりですが、皆さんよろしくお願いします。

 

 と言う文を添えて画像をアップロードする。

 

 「クロエー、アップできたよー」

 

 作業中ずっとなで続けたせいか息も絶え絶え、口は半開きになって目も虚ろになってたので、抱き上げてベッドに寝かせた後、わたしもベッドに潜り込み、クロエを抱きしめる。

 

 「クロエ、ほんとかわいくて、ほんと大好き」

 「く……クロエも、ご主人しゃま、だいしゅきでふ」

 

 わたしはクロエのおでこに軽くキスすると、再び二人で眠りについた。

 

 目が覚めると、すでに窓の外が明るくなっていた。

 そう言えば昨日夕飯食べてないや、と思いつつ起き上がると、いつの間にか下着姿にされていることに気づく。

 ちなみに下着はブラジャーとショーツ共に、フリルもリボンもないシンプルな白のコットン製のものであまり色気はない感じ。

 

 「えっ!?服はっ!?」

 「あ、おはようございます。ご主人様ぁ」

 

 ベッドの傍らに佇んでいるクロエが挨拶してくれる。

 

 「お召し物でしたら、しわにならないように掛けてブラッシングしておきましたよー。」

 「クロエすごい!よく気が付く!!ホントにありがとう、クロエ。」

 

 わたしはベッドから飛び降りクロエに抱き付いて、お礼に頭をなでてあげる。

 

 「わっ!ご主人さまぁ、やめてくださいよぉ……えへへっ」

 「ん-ー、クロエかわいいかわいい!!」

 

 ぐぅぅぅぅぅ

 

 さすがにお腹減ったか、お腹が悲鳴をあげだした。

 

 「あらら、ご主人様、朝食はどうなさいますか?」

 「そうね、折角だしフードチケット使ってみよっかな」

 「はい、ではコンソールから注文致しましょう」

 

 クロエが綺麗に畳んでくれた服を着て、コンソールから朝食をオーダーした。



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