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プロローグ 憧れの舞台に立ちます!!

 時は西暦2060年……くらい?なんだか時間感覚なくて忘れちゃったよ。

 わたしはイズミ。これでもこの『クロニクル・ワールド』でアイドルをやってて、それなりに人気も出てきたと思う。

 

 『クロニクル・ワールド』はフルダイブ型のVRMMOで、数あるVRMMOの中でも『ファンタジー世界』『SF未来世界』とか色んな世界を選べるお得な『仮想空間(ゲーム)』だったりする。

 その中でも、わたしは『ファンタジー世界』を拠点に活動してて、何よりかわいい衣装が大好き!!

 アイドルやってるのも、元々はかわいい衣装を集めたくて、かわいい衣装を買うために色々とやってる内に、いつの間にかこんな大事に発展しちゃってた感じ。

 

 今日も他のプレイヤーさんが開いてる『露店』を巡ってかわいい衣装をゲットして、自宅である『マイルーム』へと向かっていた。


 「クロエーーーーー!!見てこれ見てこれ!!」

 

 勢いよくマイルームの入口を開けると、わたしは手に持った衣装、フリルとリボンを多くあつらえたパステルピンクのワンピースドレスを、メイド兼マネージャーやってくれてるクロエに見せる。

 

 「かわいいでしょー、えへへ、露店で見かけてつい買ってきちゃった」

 「はい、とーってもかわいらしいですよ、ご主人様ぁ。」

 

挿絵(By みてみん)


 露店で買ってきた衣装を、クロエは素直に笑顔でほめてくれるので、わたしはクロエの髪をなでてあげる。

 普段ならクロエに抱き付いて髪をなでるんだけど、今それやると買ってきたばかりの衣装がしわくちゃになっちゃう。

 

 「ご、ご主人しゃまぁ……頭なでないでくださいよぉ……あんっ」

 「ん-ーー、クロエかわいいかわいい」

 

 クロエは髪をなでられるのが弱いみたいで、すぐに顔を薄紅色に染めて惚けたような表情になる。

 またそれがかわいくてかわいくて、ずっとなでていたくなる。

 

 こんな感じで街中の露店でかわいい衣装を見る度に、ついつい手が伸びてしまう。

 収入面では結構な額を稼いでいるので大丈夫とは言っても、今度は別の問題が出てきてて……

 

 「ちょっとイズミ!まーた衣装増やして。こんなんじゃ衣装部屋いくつ増やしても足りないわよ!!」

 

 そう、もはやクローゼット一杯……どころじゃなくて、衣装の為に既に三つほど部屋を増築しているくらいなのだ。

 

 居丈高にわたしに注意するのは、現在一緒に暮らしてるしてるショウちゃん。

 身長148cmでわたしより少し低くクロエより高いくらい、ブロンドの長い髪をツインテールにして、程よい透け感のある白の肩出しフリルブラウスにパステルブルーでふりふりのワンピース、首にはお花のチョーカー、透けた白のオーバーニーソックスにリボンの付いたパステルブルーのパンプスを履いている。

 ちなみに、今着てるわたしの衣装はパステルピンクの色違いでお揃いだったりする。

 

 「ショウちゃんの分もほら、買ってきたよ。」

 

 わたしは一緒に買ってきたパステルブルーの方の衣装をバッとショウちゃんに向かって広げて見せる。

 

 「ね?これかわいいでしょー?」

 「う……うん、それは認めるわ。それとこれとは別問題だけど……かわいい。着てみたい。」

 

 困惑しつつも顔を赤らめながら衣装を見つめるショウちゃん。

 

 「そうね、じゃあ早速だけど。クロエ、今日の予定は?」

 「今日はSF未来世界でフーアさんとのコラボライブですね。ご主人様が買ってきた衣装は今日の曲目のイメージも損ないませんし舞台衣装としても大丈夫そうですよ。」

 

 フーアさんは『SF未来世界』でアイドルをやっているNPC。

 NPCと言っても超高性能AIで普通の人と変わらない意思疎通が可能で、フーアさん以外のNPC全てにも同じ超高性能AIが搭載されている。

 

 今回のコラボライブは、このクロニクル・ワールドの運営から『フーアとコラボしてみないか?』と直接お誘いを受けて二つの世界を股にかける活動が実現した。

 わたしがアイドルを目指すお誘いを受けた時、背中を押してくれたのが『SF未来世界』で観たフーアさんのライブだから、このコラボライブの話が来た時はホント驚いたし感激したよ!

 

 「うんうん、打ち合わせのイメージに近い衣装選んできたし。じゃショウちゃん、この衣装で今日やるからね。」

 

 と言ってパステルブルーの衣装をショウちゃんに手渡す。

 

 「うん、わかった。」

 

 衣装を手渡すと、ショウちゃんは両手で広げた衣装を嬉しそうな表情で眺めた後、ぎゅっと胸に抱きしめた。

 

挿絵(By みてみん)


 「それじゃ向こうへの接続、クロエお願いね」

 「はーい。ご主人様の権限で『コンソール』を開きますねー。」

 

 わたしは右手で『OK』のサインをクロエに送ると、クロエは部屋にある鏡台に手をかざした。

 手をかざされた鏡は不透明なグレーの板になり、板の前に半透明のパネルが現れて『端末』と『システム』の二つのボタンが表示される。

 クロエは『システム』のボタンをタップし、表示されたポップアップメニューから『ワールド移動』をタップすると、画面中央に世界の名前がリストアップされたウインドウが表示される。

 リストアップされた世界は、ウインドウに見えているだけでも……

 

 『SF未来世界』

 『現代ファンタジー世界』

 『戦国世界』

 『三国世界』

 『航海開拓世界』

 『荒廃未来東京』

 『横浜駅』

 『梅田迷宮』

 『妖精幻想世界』

 『神話乙女世界』

 

 と、ウインドウの右端にはスクロールバーが表示されてることからも、表示されてる数以上の世界があるみたい。

 で、その中からクロエは一番上の『SF未来世界』を選択する。

 

 「できましたー、ご主人様のマイルームをSF未来世界に接続ですよ。」

 「ありがとう、クロエ」

 

 わたしはクロエにお礼しつつ髪をなでてあげる。

 

 「じゃ、ショウちゃん行きましょ!打ち上げは焼肉かな?」

 「えー、折角向こう行くんだから、あたしはフラン・カフェで美味しいもの食べたいわ。」


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