020・猫の転生(ニア視点)
あぁ、アオイ様にやっと会えたなのです!
ニアの魂を『猫』から『人』へと昇華させるために、少し時間がかかってしまいましたが、無事にお会いできたなのです……。
猫の時のニアには、名前がありませんでした。
自由気ままに、1匹で生きていました。
人間の世界は、とても複雑。
みんな何かに追い立てられるように生きていて、なんだかニアの目には、息苦しそうに見えていたなのです。
そんなある時、
(あっ!?)
茂みから出たニアは、『とらっく』と呼ばれる鉄の生き物にぶつかりそうになったのです。
驚きで、咄嗟に動けません。
ニアは、死ぬことを覚悟しました。
けど、そんなニアを、見知らぬ1人の人間が助けてくれたなのです。
その人間がアオイ様。
そして、優しいアオイ様は、ニアを助けた代わりに死んでしまったなのです……。
…………。
アオイ様は、神様の計らいで『転生』することになりました。
(どうかお幸せに……)
その優しさの分も、ニアは、アオイ様にはその世界で幸せになって欲しいと願っていました。
ところが、
(そんな馬鹿な、なのです!?)
そこは『魔王』という存在によって滅びの可能性がある世界でした。
ニアは、神様に抗議しました。
神様には、神様なりの考えがあるようでしたが、そんなのニアにはわかりません。
だから、
(アオイ様を守るために、ニアも、その異世界へと転生させて欲しいなのです!)
そう訴えました。
神様は、それを認めてくださいました。
そして、
「転生する時に、君が1つだけ、欲しい力をあげるよ?」
神様は言いました。
ニアは、
『とっても強い』
をお願いしました。
アオイ様が転生したのは、とっても危険な世界。
だから、そこでアオイ様を守るためには『とっても強い』が一番いいと思ったなのです。
「うん、いいよ」
神様は微笑み、その御加護を授けてくださいました。
そうして、ニアは、
(アオイ様は、ニアが守るのです!)
その決意を胸に、アオイ様のいる世界へと転生したのでした。
◇◇◇◇◇◇◇
「凄いね、ニア」
5匹の黒い兎を倒したニアを、アオイ様は褒めてくれました。
(えっへん、なのです)
ニアは、得意げに胸を張ります。
こんな角の生えた兎なんて、100匹いても問題ない、なのです。
「…………」
アオイ様の隣にいたアーディスカという赤毛の女は、そんなニアのことを驚いたように見ていました。
この女が……。
途端に、ニアは嫌な気持ちになりました。
この赤毛の女が『勇者候補』。
そして、この女のせいで、アオイ様は危険な思いをしなければいけないなのです。
(ニアは、この女が嫌いなのです)
ふん。
本当ならアオイ様も、こんな女は『どーでもいい』していいのです。
でも、アオイ様は優しいから『どーでもいい』できなくて、この赤毛の女を守ろうとして危険な目に遭ってしまうなのです。
ジロッ
ニアは、赤毛の女を睨みます。
「……???」
その視線を受けて、アーディスカという赤毛女は、戸惑った顔をしていました。
頼りない顔なのです。
こんな奴、当てにできません。
(アオイ様は、ニアが必ずお守りするなのです!)
ニアは、決意を新たにします。
すると、
「ニアは強いね。これから頼りにしてるよ」
アオイ様がそう微笑みました。
……アオイ様。
その小さな手が伸びてきて、ニアの耳と耳の間の髪の毛を、優しく撫でてくれました。
「よろしく、ニア」
は、はい、なのです!
ニアは、これからもがんばるなのです!
ニァア~!




