表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/35

002・回復魔法

 気がついたら、森にいた。


「転生したのか」


 その事実を噛み締めるように、声に出して呟いてみた。


 周囲にあるのは、20~30メートルはある樹々ばかりで、どうやら自分は、その1本の根元に座り込んでいるみたいだった。


(1人きりか)


 なかなかハードな始まりみたいだ。


 そう思いながら立ち上がろうとして、


「ん?」


 布の服を着ている自分の手足が、なんだか思った以上に短いことに気づいた。


 ペタペタ


 全身を触って、確かめる。


「これは、子供?」


 推定10歳ぐらいの身体になってしまっている。


 なるほど、転生か。


 改めて、その事実を味わい、我が身に起きた不可思議な現象を受け入れてしまった。


 思えば、前世の記憶も曖昧な気がする。


(ふむ)


 これも新しい肉体になったせいだろうか?


 いや、構わない。


 転生したならば、前世のことは忘れて、今の自分として生きていくことが大切だ。その方が、きっと良い人生を歩める気がする。


(子供、か)


 なら、1人称は『僕』でいい。


 言動も、今の僕の精神状態に合わせて、幼いものにアジャストしていこう。


 …………。


 よし。


 僕は、現状の『僕』を受け入れた。


 差し当たっては、こんな森の中にいつまでもいるのは問題があるだろう。


(まずは、森を抜けよう)


 当面の目標だ。


 そう思いながら、僕は新しい人生を歩むため、第1歩を踏み出した。


 ドグシャ


 のだが、慣れない子供の足だったために、目測を誤り、木の根につまづいて盛大にすっ転んでしまった。


(うぐぐ……)


 派手に膝を擦り剝いてしまった。


 痛い。


 傷口から、赤い血が滲んで流れる。


 ……ん?


 それを見ていたら、なんとなく、その傷をどうにかできそうな感覚が生まれてきた。


(これは……?)


 その感覚に従って、小さな2つの手のひらを擦り剝いた膝に向ける。


 次の瞬間、


「――癒しの光」


 言葉は、勝手に口から出た。


 同時に、僕の足元には魔法陣が展開され、細い両腕には、光のラインが2~3本、手のひらへと伸びていった。


 ピカッ


 手のひらが輝く。


 その光に包まれた傷口が、あっという間に塞がった。


(おおっ!)


 僕は、目を丸くする。


 両腕の光のラインと足元の魔法陣が消え、目の前にある僕の膝は、傷1つない綺麗な肌になっていた。


 なるほど。


「これが『回復魔法』か」


 自らの起こした奇跡に、僕の声は少しだけ興奮に震えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら、作者の書籍化作品です。

書籍1巻
i000000

書籍2巻
i000000

もしよかったら、こちらも、どうかよろしくお願いしますね♪

『小説家になろう 勝手にランキング』に参加しています。もしよかったら、クリックして下さいね。
『小説家になろう 勝手にランキング』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ