表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回復魔法使いアオイの転生記 ~お姉さん剣士を未来の勇者に育成しよう!~  作者: 月ノ宮マクラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/35

013・順調

 アーディスカに雇われてから、1週間が経った。


「――よし、これで採取も終了だ」


 水辺に生える『ポーションの素材』だという植物を、慎重に引き抜いて、彼女は大きく息を吐いた。


 丁寧に布に包んで、リュックに詰める。


 僕ら2人がいるのは、『深青の森』だ。


 本日のクエストも、これで終わり。


 この7日間で、僕らは5件の『採取クエスト』を成功させていた。


 見れば、アーディスカの表情も満足そうだ。


(ふむ)


 この7日間、各地の採取ポイントでは『格上の魔物』は出現しなかった。


 やはり偶然だったのかな?


 いや、結論を出すのは、まだ早計だろう。


 ちなみに、弱い魔物と遭遇することは何回かあった。


(まぁ、当たり前か)


 魔物のいる危険な場所にある素材を採取するからこそ、『採取クエスト』として成り立つのだから。


 で、その時に1つ、わかったことがある。


 それは、


(アーディスカ、思ったより強いや)


 ってこと。


 相手は、Fランクの魔物だったんだけど、危なげなく、アーディスカはその魔物を倒していた。


 実は、1度だけ、Eランクの魔物とも戦闘があった。


 けど、1つ格上のランクの魔物とも、なんとアーディスカは普通にやり合えていたんだ。


 う~む。


 やはり、才能があるんだろう。


 だって、アーディスカは、将来の『勇者』になれる素質の持ち主なんだ。


(まぁ、何回か怪我もしてたけど……)


 それでも大したものだと思った。


 ちなみに、アーディスカの怪我は、僕の『回復魔法』ですぐに治してやった。


 それが僕の役目だからね。


 ちなみに僕自身は、怪我を負うことは1度もなかった。


 理由は、アーディスカが、僕の方に魔物が行かないように、常に気をつけて戦ってくれたからだ。


 そのせいで、彼女が怪我をすることもあったけどね。


(……でも、いい人だ)


 その人柄は、やはり好ましく思えるよ。


「さぁ、帰ろう、アオイ」


 荷物を詰めて、そのリュックを背負ったアーディスカが立ち上がる。


 僕は「うん」と頷いた。


 その時、


 プカッ


 彼女の背後にあった池の水面に、大きな気泡が浮かんだ。


 ん?


 その水面が持ち上がり、水の中から、毒々しい斑模様をした巨大ガエルが浮かび上がってきた。


(魔物だ!)


 気づいた僕は叫ぶ。


「アーデ、後ろ!」

「!」


 その警告に、アーディスカが振り返った。


 同時に、巨大カエルの口から吐き出された黒い液体が、アーディスカに直撃する。


 バシャッ


「ぐ……っ!?」


 途端、アーディスカが膝をついた。


 苦悶の表情。


 握っていた剣が、その手の中からこぼれ落ち、カシャンと乾いた音を響かせる。


(アーデ?)


 見れば、その肌に紫色の斑点があった。


 それを見て、直感する。


 ――毒だ。


 そう気づいた瞬間、僕の中に不思議な感覚が生まれた。


(あれは『癒しの光』では治せない)


 そう感じる。


 そして、それとは違う『回復魔法』の存在が心の中に思い浮かぶ。


(よし)


 僕は、両手を伸ばす。


 足元には魔法陣が展開され、両手の先まで光のラインが2~3本ほど伸びていく。


 言葉は、口から勝手に出た。


「清浄の光!」


 ピカッ


 いつもとは違う青白い光だった。


 その美しい回復光に照らされた瞬間、アーディスカの肌にあった紫色の斑点が消えた。


 乱れていた呼吸が整う。


 アーディスカは驚き、けれど、すぐに落ちていた剣を握った。


「はっ!」


 ザキュン


 振るわれた剣が、巨大ガエルを真っ二つにした。


 2つになったカエルの死体は、水面に血を広げながら、水の中に沈んでいく。


 ブクブク


 水泡が浮かび、やがて消える。


 それを見届けて、アーディスカは「ふぅ」と大きく息を吐いた。


 それから、


「助かったよ、アオイ」


 そう笑った。


 僕は「ううん」と首を振る。


「アオイは『解毒魔法』も使えるんだな。2つも『回復魔法』を覚えているなんて、アオイは本当に凄いな」


 感心した顔で見つめられる。


(そう?)


 まぁ、神様がくれた力だからね。


 ポン ポン


 彼女の手が、いつものように僕の頭を優しく叩く。


「さぁ、今度こそ帰ろう、アオイ」

「うん」


 僕は頷いた。


 そうして僕とアーディスカは、今回の『採取クエスト』を終えて、レイモンドの町に戻ったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「アオイ君が来てから順調ね、アーデ」


 アーディスカから採取品を渡されながら、受付のフラン嬢は、そう笑いかけた。


 からかうような口調。


 でも、アーディスカは笑顔で、


「あぁ、おかげ様でな」


 それを認めていた。


 フラン嬢は軽く目を見開いて驚き、それから「ふ~ん?」と何かに納得したみたいに頷いた。


 ちなみにその間、僕は、


「はい、癒しの光」


 ピカッ


「ありがとよ、アオイ」


 チャリン


 と、近くの冒険者たちを癒して、せっせと小遣い稼ぎに勤しんでいる。


 そして、フラン嬢は、少し考えたあと、


「ねえ、アーデ。もしよかったら、次は『討伐クエスト』に挑戦してみない?」


 と言った。


(ふむ?)


 聞き耳を立てていた僕も、少し驚く。


 クエストのランクは同じでも、『討伐クエスト』は『採取クエスト』より危険であり、その分、より高額の報酬が得られるのだ。


 つまり、リスクとリターンが跳ね上がる。


「……討伐クエスト、か」


 思わぬ提案に、アーディスカも驚いていた。


 その視線が、離れた場所にいた僕へと向けられる。


(…………)


 僕は何もわかっていない顔をして、コテンと首をかしげておいた。


 決断は、彼女の役目。


 僕は、そんな彼女の決めたことを全力でサポートするだけだ。


(きっとその方が、よりアーディスカの成長に繋がってくれるだろうからね)


 うんうん。


 アーディスカは、しばらく考え込んでいた。


 それから顔をあげると、フラン嬢と二言、三言、言葉を交わしてから、こちらへとやって来る。


「アオイ」


 ん?


「明日はクエストには行かない。だが、すまないが明日1日、アオイは私に付き合ってくれないか?」


 そう言われた。


(別にいいけど、なんで?)


 僕は首をかしげる。


 そんな僕に、アーディスカは金色の瞳を細めて、微笑む。


 そして、


「明日は、アオイのための装備を買いたいんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら、作者の書籍化作品です。

書籍1巻
i000000

書籍2巻
i000000

もしよかったら、こちらも、どうかよろしくお願いしますね♪

『小説家になろう 勝手にランキング』に参加しています。もしよかったら、クリックして下さいね。
『小説家になろう 勝手にランキング』
― 新着の感想 ―
[一言] これ見るといかに回復係が重要かわかる。 回復キャラが1人しかいないゲームがありまして。うたわれるものっていうんですけど・・・ 辛かった
[良い点] 更新お疲れ様ですヽ(´▽`)/ 年長者で保護者も兼任しているのもあるのでしょうが、完全にアーディスカが気遣いの人になってますね。  [一言] < ちなみに、アーディスカの怪我は、僕の『回復…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ