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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
黄玉と翠玉
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 冒険者ギルドに着いてすぐ、受付に行って、登録をお願いした。

「すみません、私達2人、冒険者として登録したいのですが…」

 すると受付の女性は、

「はい!え〜っと、お2人共初めての登録ですね?」

「はい、そうです」

「では、少しご説明させて頂きますね。登録はどなたでも、種族に関係無く可能です。特に料金も掛かりません。登録するとまず、一番低いGランクとして登録されます。依頼を達成すれば段々とランクは上がります。AランクやSランクへの昇格は試験があり、試験の内容はBランクに上がり、一定の実績を積んだ方のみに知らされます。そして、これからお2人がなるGランクですが、10日以内にFランクに昇格しなければ、失効します。3回までは失効してももう一度登録できますが、それ以上失効すると、永久に登録不可能となります。また、2回目から登録には料金が掛かります。以上、ご了承いただけましたら、こちらに血を1滴付けて下さい」

 と、カードを差し出された。私も翠玉もこれを了承し、カードに血を付けると、カードに自分の名前が浮かび上がった。

「はい、これで登録完了です。そのカードは冒険者としての証です。紛失した場合、再発行には金貨1枚が必要となります。3回以上紛失すると、登録抹消となりますので、ご注意下さい。Gランクの依頼は、「Gランク」と書いてあるボードから選んで、貼ってある依頼書を持って行って下さい。依頼を達成しましたら、その紙と共に達成の証を持ってきて下さい。達成の証は、採取依頼なら採取物、魔物の討伐なら魔物の指定されている部位、依頼人がいる場合は、依頼人から達成の証が渡されますので、それを必ず持ってきて下さい。証が無いと、たとえ達成していても、こちらで達成と認めることはできません。それとギルドでは、討伐した魔物の買い取りを行っています。なので、狩った魔物はこちらに持ってきて下さっても構いません。説明は以上になります。頑張って下さい」


 登録は随分簡単なんだな。しかし、10日でランクを1つ上げるのか〜。できるかな?まずは依頼を見てみよう。

 Gランクのボードにあった依頼は、薬草を集める依頼ばかりだった。あ!これは今、マジックバッグの中に入ってる。あ、これも。

 う〜ん、3つくらいはすぐにでも達成できそう。よし、この3つを受けて受付に持っていくことにしよう、と決めて依頼書を取った。


 翠玉はどうかな、と隣を見てみると、同じように3つの依頼書を持っていた。

「姉さんも達成できそうな依頼を見つけた?僕は、この3つなら既に薬草を持ってたな、と思って選んだんだ」

「私も、もう持ってる薬草が指定されている依頼を選んだよ。じゃあ、受付に持っていこうか」

 マジックバッグから指定されている薬草を出して、2人で依頼書と共に受付へ持っていくと、

「まあ!既に薬草を持っていたんですね。では確認させて頂きます」

 と受付の女性が依頼書と薬草の状態を確認し始めた。しばらく待っていると、

「お待たせしました。黄玉さんの受けた依頼3つと翠玉さんの受けた依頼3つ、全て達成です!おめでとうございます!これで、お2人はFランクへと昇格です。Fランクであれば、依頼を受けない期間が続いても、資格が失効することはありません。ですが、できれば1〜2ヶ月に1回は依頼を受けて下さると、こちらも助かります。では、今回の依頼達成の報酬、黄玉さんは銅貨1枚と青銅貨5枚、翠玉さんも銅貨1枚と青銅貨5枚となります」


 この世界のお金は、金額の小さい方から青銅貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨がある。前世の単位で換算すると、青銅貨が10円、銅貨が100円、銀貨が1000円、金貨が10000円、白金貨は100000円となる。白金貨は普通に生活していてまず見ることはない。


 報酬を受け取った後は、お母さんに報告するため、住処に帰ることにした。住処のある森に入ろうとすると、女性2人を連れた男性がこちらに話しかけてきた。

「やぁ、君たちはこの辺りに滞在している冒険者かい?」

 何となく怪しい感じがした。

「はい、そうですが」

 と私が答えると、

「そう。ねぇ、君たちこの辺で大きな竜を見たことはない?」

 と聞かれて、私と翠玉は顔を見合わせて、

「いえ、数年ここに住んでいますが、そのような姿は見たことがありません」

 と私が答えた。すると、

「そう、もしそのような魔物を見つけたら教えてほしい。あ、そうそう、僕たちはこの国の王に選ばれて派遣された勇者で、この辺りで竜のような魔物を見かけた、という情報があったから探しに来たんだ。この辺りに来た勇者のパーティーは僕たちだけだから、冒険者ギルドで言えばすぐわかると思うよ」

 じゃあ、見つけたら報告よろしく、と言って去って行った。私は、彼を見たときに強い嫌悪感を感じたので、お母さんにあまり使ってはいけない、と言われていたけど、こっそり鑑定を使った。すると、


ステータス

名前:リアン

種族:人間

Lv 47(/100)

体力 630/630

魔力 120/120

攻撃  B

防御  C

魔攻  E

魔防  C

素早さ B

知力  C

運   D

 

称号

勇者(?)、強欲、竜殺し(宝石竜)、追い剥ぎ


スキル

剣術、土魔法、スリ、隠密


 ……なにこれ。レベルやその他ステータスの強さは、比べる対象が自分以外無いからわかんないけど、多分そこそこだと思う。それにしても称号の酷さが……。勇者には(?)が付いてるし。そして最後の称号、私達にとっては不穏すぎる。まあ、一応詳細を見ておこう。


勇者(?)

国の王に選ばれ、任命された勇者。ステータスの強さのみで選ばれたため、素質には疑問あり。


強欲

欲深い者に与えられる称号。この称号がある者は自分の欲のためなら結構何でもする。


竜殺し(宝石竜)

竜を殺したことから与えられた称号。この人物は、竜の中でも宝石竜を殺したため、(宝石竜)と付いている。


追い剥ぎ

他人を脅して身ぐるみ剥いだり、素材を得るためだけに、魔物を多数殺したものに与えられる称号。


 勇者って、素質に疑問があっても王様が選べばなれるんだ…。いいのかな?まあ、それは置いといて、それよりも竜殺しの称号って、宝石竜を殺して得たものってある!これは、自分の勘を信じて鑑定して良かったかも。それにさっき、この人は竜を探しに来たって言っていた。これから、今までよりも竜の姿になるときは気をつけないと…。

 それに、追い剥ぎの称号と強欲の称号。これってもし私達が見つかったら、確実に鱗目当てに殺されるよね……。次はスキル。


剣術

剣を扱うためのスキル。このスキルが無いと、剣で上手く戦えない。むしろ剣で戦おうとすると自分が怪我をする。


スリ

他人の懐からものを盗むスキル。「もの」には物も者も入る。このスキルがあると、他人が持っている物も者もすれ違いざまに盗める。これは立派な犯罪です。


隠密

相手にばれないよう、密かに何かを行うためのスキル。魔物を観察する研究者が得ていることが多い。


 「スリ」のスキルの説明の最後、正しいけど、スキルの説明にいるのかな…。

 それにしても、この勇者って、勇者の皮を被った盗賊だよね…。この勇者という人は気をつけたほうが良いな。帰ったらお母さんと翠玉にも話そう。

 …と、そんなことを考えながら森の中を歩いていたら、住処に着いた。お母さんは人間の姿で住処に居た。

「「お母さん、ただいま」」

 と私と翠玉が同時に言うと、

「おかえりなさい、2人共」

 と迎えてくれた。

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