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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
ガーネットとの出会い
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 一先ず、ガーネットの友人だった人達の話は済んだらしい。


 陛下は、私達に目を向けられ、

「さて、そろそろ2人について、色々訊きたい。直接、言葉も交わしてみたいしな」

 と仰った。そして、ガーネットに尋ねられた。

「ガーネット、この2人とは、どのような従魔契約を結んだのだ?」

「対等な契約を結びました」

すると、陛下と宰相は難しい顔をした。

「…王族が、対等な立場で魔物と契約してはならない、ということは、法で決まっておる。知らぬわけではあるまい」

「はい。存じております」

「ならば、何故この者達と対等な契約をした」


 ガーネットがこちらを見たので、頷いた。おそらく、宝石竜だということを、話すのだろう。


「父上、この国の法では、宝石竜と契約する場合は、対等な契約でなければならない、と定められていた筈です。私はこの法に則り、彼らと契約をしました」


 陛下と宰相は、一瞬、何を言われたのかわからない、という顔をした。しかし、内容を理解して、驚いた顔に変わった。

「宝石竜…。その法に則り、ということは、まさか…。まさかその者らが宝石竜だと…?」

「はい。黄玉と翠玉は、宝石竜です。もし彼らと奴隷契約などすれば、それこそ法に反することになります。ですから、対等な契約を行いました」


 しばらく、部屋から音が消えた。誰も彼も呆然としており、身動ぎ1つしない。


 最初に陛下が我に返られた。そして、

「本当に、宝石竜なのか…。…どうか…、どうか、宝石竜としての、本来の姿を見せて頂けないか」

 と頼まれた。ガーネットの方を見ると、頷かれた。

 私と翠玉は、テーブルから離れ、竜の姿に戻った。

 部屋は広かったので、竜に戻ってもスペースに余裕があった。


 陛下の方を見ると、椅子から立ち上がり、呆然としている。隣で宰相も、椅子に座ったまま固まっている。

 壁際に並んでいる騎士達は、口を開けて呆然とこちらを見ている。…皆同じような顔をしているから、ちょっと面白い。


 しばらく、皆固まっていたが、

「父上、2人はこのように、とても美しい宝石竜です。信じて頂けましたか」

 とガーネットが言うと、はっとして、陛下は頷かれた。

「なるほど…。最初に2人の事をお前に聞いたとき、詳細を話したがらなかったわけが、やっとわかった。宝石竜であれば、致し方ない。それにしても、初めて目にするが、真に美しい」

 ガーネットは、感嘆の声を上げている陛下の隣で、何故か誇らしげに頷いていた。


 しばらくして、

「我が願いを叶えて頂き、お礼申し上げる。どうか、人間の姿で私共と語らっては頂けないか」

 と国王から声を掛けられたので、人間に擬態した。

 私達か宝石竜とわかってから、陛下の言葉遣いが変わった。


 先程と同じ席についてからは、しばらく国王と歓談した。陛下から求められるままに、様々なことを語った。


 話が一段落したところで、陛下がガーネットに尋ねられた。

「ガーネットよ。お前は来年から、アスター魔法学校に入学となる。学校にはこの2人も伴って行くのか?」


 この世界の学校って、どういう所だろう。疑問が顔に出てたのか、宰相が説明してくれた。

「アスター魔法学校とは、12歳から入る、魔法や学術を学ぶ所です。殿下も来年は12歳になられるので、入学となります」

 学術を学ぶって所は、前の世界と同じだ。ここでは魔法も学ぶのか。

「学校は、従魔を同伴することが可能です。授業中、従魔は問題を起こす可能性が低ければ、学校内の何処に居ても良い、と決められています」

 学校内を、自由に見て回っても良いのか。…ちょっと行ってみたいかも。


 ガーネットは、少し悩んでから、

「黄玉と翠玉は、どうしたい?ついて来ても良いし、あの森に居ても良い。でも、学校に入学すると、寮に住むことになるから、私はあまり会いに行けなくなる」

 と私達に尋ねた。私も翠玉も、ガーネットの傍を離れるつもりは無い。だから、

「ついて行くよ。宝物であるガーネットと離れる気は無いし、学校も気になるし」

「宝物と離れるのは不安になる。だから、ガーネットについて行く」

 私、翠玉の順で答えた。ガーネットは嬉しそうにしていた。


 私達の答えを聞いて、陛下や宰相が驚いた顔をしていた。

 そして、陛下が、

「ガーネットを…宝物と仰ったか。ガーネットが、宝石竜の、宝物に…。黄玉様、翠玉様、どうか、息子を頼みます」

 と頭を下げられた。


 王様に頭を下げられちゃった!どうすれば…。しかも様付け!どうしよう。…まあ、宝石竜はこの国の聖獣らしいから、良いのか?…良いってことにしとこう。

 内心、動揺していると、翠玉が答えた。

「頼まれるようなことじゃないですよ。僕達は自らの意識で、ガーネットを守護すると決めた。あなたはただ、僕達がガーネットの傍に居ることを認めてくれれば良い」


 …翠玉、度胸あるな。一国の王様に。

 ちょっと遠い目をしていると、陛下は苦笑して、

「そうか。それは失礼した。ならば、言葉を変えよう。これからも、ガーネットの傍に居てやってくれ」

 と仰った。私は、

「勿論です」

 と答えた。


 ここで宰相が、

「国王陛下、そろそろお時間が…」

 と声を掛けた。

「そうか…。もう少し語らいたかったが…まあ、仕方ない。では、本日はここまでとしよう。ガーネット、また何時でも、話したい事があれば来なさい。黄玉様、翠玉様、また歓談できる日を楽しみにしております」


 陛下と宰相、周りに居た騎士達は、私達に一礼して、部屋を出て行かれた。


「ねえガーネット。陛下が私達を、様付けにしていたり、頭を下げたりしているのは、立場上、大丈夫なの?」

 私はガーネットに尋ねた。するとガーネットは、

「大丈夫だ。この国で宝石竜は神聖な存在とされている。だから、国王であっても敬意を払わなければ、不敬罪に問われる可能性がある」

 と答えた。

 …この国で宝石竜は、随分と高い地位にいるんだな。色々、落ち着かない。特に、王様に頭を下げられると、申し訳なくなる。慣れないとだめかな?…あんまり慣れたく無いような。


 ぶつぶつと愚痴を言っていると、

「姉さんは気にし過ぎなんだよ。相手が勝手に、そういう対応をしてきたんだから、別に良いんだよ」

「…翠玉は、もう少し気にした方が良いと思う」

「いや、黄玉が気にし過ぎ。ああいう対応をしなければならない、ってなってるんだから、まあ、頑張って慣れてくれ」

 上から、翠玉、私、ガーネット。

 …2対1で、多数決でも、私が気にし過ぎらしい。納得がいかない。


 何時までも、この部屋に居るわけにはいかないので、一先ず部屋を出ることにした。


 ふと、ガーネットの行く学校って、何処にあるのか知らないな、と思った。

「ガーネット、来年から行く学校って、何処にあるの?」

「この王都の中にある。少し離れているが、行ってみるか?」

 この後、特に予定も無かったので、行ってみることにした。


 城を出て、私達が住んでいる森の中へ入り、奥へと進んで行った。

「森を抜けるとあるの?」

「ああ。本当は別の道から行く。この森に入れるのは、限られた人だけだから、この森を迂回する道がある。でも、その分遠回りだから、今日は森を突っ切る」


 進んでいくと、いつも食料や水を取りに来る、泉があった。

「この泉は、地図上で見ると、森の中央にある。だから、学園まではあと半分だ」


 道中、見つけた木の実や薬草を、採取しながら進んだ。人があまり入らないというだけあって、色んな種類の植物があった。

 片っ端から鑑定を掛けて見ていたら、

「この森には、どんな植物が多いんだ?」

 とガーネットが尋ねてきた。


 前は翠玉が、私が鑑定をしていると色々尋ねてきたけど、最近はそれが減ってきている。だから、ガーネットが尋ねてくれたことが嬉しくて、鑑定で出た情報を、ガーネットに片っ端から話した。


 結果、

「…もういい…。色々あることはわかった。でも、そんなに一気に話さないでくれ…」

 と、言われてしまった…。

「また姉さんがやらかした。情報は正しいから、鑑定の話を聞けるのはありがたいけど。でも、その一気に話すの、どうにかならないの?」

 翠玉にまで呆れられた…。

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