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翌朝、朝食の後、王都の冒険者ギルドに行ってみることにした。
翠玉が、
「まだ休んでいた方がいいんじゃない?」
というのを、なんとか説得して、一緒に行けることになった。
翠玉が昨日見つけたという門へ行き、そこで係の人に身分証の提示を求められ、冒険者のカードを見せて入った。
王都は、西洋のような町並みで、石造りの家が並んでいた。道は石畳で、通りによって、露店や屋台が多い通り、店舗を持った少し高そうな店ばかりが並ぶ通り、と違う道に一歩入っただけでも雰囲気が違って面白い。
一番広い通りを、翠玉に案内されるまま進んで行くと、冒険者ギルドがあった。最初に行った冒険者ギルドに比べると、建物が大きい。
中に入り、Fランクの依頼が貼られたボードを確認した。
色んな依頼がある。薬草集めや魔物の討伐、魔物の一部分が素材として欲しい、失くした物を探して欲しい、…などなど。
取り敢えず、持っていた薬草で達成できる依頼を受けた。「風邪薬の材料集め」、「解毒の薬草集め」、「痛み止めの薬草集め」、といった薬の材料集めの依頼だった。こうした症状は、魔法でも治せる。でも、薬を作ったり買ったりして治すのが、一般的らしい。これは、受付に薬草と依頼書を持って行き、すぐに達成した。
依頼を達成したが、これまでに集めた薬草を見せたら、是非ギルドに売って欲しい、と言われたので、いくつか売ることにした。これにより、依頼達成の報酬と合わせて銀貨5枚のお金を得られた。
今回、達成した依頼は5つで、冒険者としてのランクを上げるには、討伐依頼を行わなければいけないらしい。
私と翠玉は、討伐依頼の中から、「アシッドスライムの討伐」を受けた。あの盗賊勇者の持っていた剣に付いていた酸が、このスライムの吐き出す酸だとお母さんに習ったから、どんな魔物なのか見てみたかったからだ。
アシッドスライムと同じ場所にいる、他の種類のスライムの討伐依頼もあったので、ついでにそれらも受ける事にした。全部で4つ。アシッドスライムは2か所で多く発生しているようで、「アシッドスライムの討伐」の依頼が2つあった。他に受けたのが「ソイルスライムの討伐」2つ。この魔物も2か所で多く発生しているらしい。
依頼書を持って冒険者ギルドを出て、まずはソイルスライムについて調べることにした。
町の図書館なら何かわかるかも知れないと思い、図書館で本を探した。私の鑑定は、実際にその対象を見ないと使えない。
図書館には、魔物について書かれた本があった。ソイルスライムについて見てみると、どうやら土魔法を使い、土を食べるスライムのようだ。そのため、地面が穴だらけになってしまうらしい。川の近くに居たら、堤防に穴を空けて決壊させる可能性があるので、速やかに討伐すること、と本に書いてあった。この世界でも、川に堤防を築いて水害対策をしているのかな?とスライムそのものではなく、堤防が気になった。
それはさておき、このソイルスライムは、地面に穴を開けるので、畑や道に現れたら即討伐が推奨されているらしい。動きはゆっくりなので、討伐はしやすいそうだ。
半透明の体の中に見える核と呼ばれる、丸い石のようなものを壊すと、消滅するらしい。半透明の部分は消滅するが、核は残るので、それが討伐の証となるようだ。
ソイルスライムを調べた後にアシッドスライムの事も調べたが、倒し方はソイルスライムと同じだった。注意すべき事は、酸を吐き出して攻撃してくる事だけだった。動きは遅いらしい。
大体調べ終わったと判断して、翠玉と討伐に向かうことにした。
1つ目の発生場所に行くと、20匹くらいのスライムが居た。毒々しい蛍光の黄緑色の半透明のスライムと、茶色や黄土色、灰色の半透明のスライムが居た。
鑑定してみると、蛍光の黄緑色のスライムはアシッドスライム、茶色や黄土色、灰色のスライムはソイルスライムと出た。
鑑定によると、アシッドスライムは半透明の部分にも酸が含まれているため、触れると危険らしい。ソイルスライムは、食べた土の色によって体の色が変わるらしい。半透明というには色が濃いが、光が当たるとなんとなく核の輪郭が見える。
私は、念話で翠玉に、
『1人であのスライムを全部倒してみたい』
と伝えた。すると翠玉は、少し悩んだ後、頷いてくれた。
私はまずソイルスライムに近づき、氷魔法で氷柱を核に向かって落としてみた。すると、核の周りの半透明な部分に弾かれる事もなく、ちゃんと核を破壊することができた。
核を壊すと半透明の部分は消滅し、核の壊れた破片だけが残った。それを回収し、アシッドスライムにも同じ方法を試してみたが、同じように倒せた。そのため、氷柱を落とすという方法で、次々と倒していった。
特に苦労することなく全て倒し終え、砕けた核を回収した。回収した核は、1匹分ずつガラスのケースに入れてから、マジックバッグに入れた。
このケースは、冒険者ギルドで事前に買っておいた物だ。後で、倒した数の証明として、ケースごと冒険者ギルドに出す。
核は破片になっていて、種類によって色が違う。でも同じ種類であれば、見た目に個体差は無い。討伐したときに1匹分ずつ分けて入れないと、どれが1匹分かわからなくなる。ちなみに、分けずにまとめて出すと、報酬は低くなる。
核の破片を回収し終わってから、待っていた翠玉と一緒に、次の発生場所に向かった。
次の発生場所にも20匹くらいのスライムが居た。今度は翠玉が、
『姉さん、僕だけであのスライム倒しても良い?』
と念話で訊いてきた。私が頷くと、翠玉はまずソイルスライムの核を、長く伸ばした爪で破壊し始めた。
途中、アシッドスライムに酸を吐かれて、慌てて避けていたけど、アシッドスライムは無視して、まずソイルスライムを全て倒した。
アシッドスライムの方は、直接触れる攻撃は危ないので、魔法を使うことにしたようだ。
翠玉は、火、水、土、風、光、闇の基礎魔法6種類は使えるが、発展魔法は使えるものが限られる。私のように氷魔法は使えないから、同じような方法で倒すにしても、別の属性で代用する必要がある。翠玉は、闇魔法でスライムの影を操り、影の棘を作り出して、核を貫いた。スライムは半透明だから、他より薄いとはいえ影はできる。それを操って攻撃に使った。
この方法でアシッドスライムを全て倒し、核を回収した。
これで全ての討伐依頼が終わった。後はギルドに依頼書と共に提出するだけだ。
特に魔物に襲われることもなく、道中で見つけた薬草を採取しながら、町へ戻った。
町に戻ってきて、冒険者ギルドの受付に依頼書とスライムの核を提出した。
「依頼書と部位の確認をさせて頂きます。少々お待ち下さい」
他の依頼を眺めながら待っていると、
「お待たせしました。黄玉さん、翠玉さん。依頼達成を確認しました。これにより、お2人はEランクへ昇格です。おめでとうございます!」
と言われた。討伐依頼を達成した事で、無事に昇格した。
「今回の依頼の報酬です。アシッドスライムの討伐がそれぞれ銀貨5枚、ソイルスライムの討伐が銀貨3枚。合計、金貨1枚と銀貨6枚のお渡しです」
報酬を受け取り、町で昼食をとって、ついでに食料などを買った。その後は、今日はもう、森に戻ることにした。




