鱗皮もお肉も利用可能。しかし捕獲はできない。
学校の課題があるため年内はあげれないかも・・・
3人がスライムだと思っていたものはよだれだったのだ。視線の先には大きな牙とザラザラの舌、それを包むようにして唾液がべったりとしている。口が大きすぎて視界はモンスターの口内でいっぱいだった。
立ちすくむクグレとナコットの腕を掴み横の茂みに転がり込むオニオ。
土煙が風に流され姿が露わになる、先ほどまで3人が立っていた場所には大きな顔があった。
全身鱗で覆われて、赤いギョロ目がクリクリしていて目だけは可愛い印象だ。
「いや・・・なんだよこいつ・・・」
絞り出した声は小さいけれど、クグレとナコットにはちゃんと聞こえ、クグレが反応した。
「こいつ、本で見たことある、鍋にしたらめっちゃうまいゴリアワニだ、しかもその鱗皮は高く売れるとか・・・」
「そんな説明求めてないわ!」
「とにかく、逃げよう!」
クグレは尻餅をついているナコットを立たせゆっくり後退する。オニオは胸ポケットから杖を取り出し構える。
こちらに顔を向けるゴリアワニ。
「オニオ何か魔法出せるの?」
「炎魔法ならちょっと! でもたまに雷魔法が出る!」
「ないよりまし! 出して!」
「よっしゃこいや!ポッポーーー」
オニオの杖の先からオニオの頭くらい大きな火の塊ができる。それを見たクグレとオニオは興奮する。
「ーーーバーン!!」
そう叫ぶと杖から火の塊が勢いよく飛び出したかと思うと、次第に小さくなりゴリアワニに当たる頃には拳ほどのサイズになって、鱗皮に当たるとシュッと消えてしまった。
「いや、やっぱ独学だとこれが限界か」
「おばか!」
こちらに走り出すゴリアワニ、それを見て走り出す3人。倒木や木をうまく飛んで屈んで走っても、それらを全てなぎ倒して走ってくる音に恐怖する。
「ちょっとこれいつまで追いかけてくるの!」
「誰か助けて〜!」
「うわっ」と声が聞こえるとナコットが転んでいた。
膝を擦りむいたのか血が流れていた。
「大丈夫? 立てる?」
クグレが急かすように問いかけると、ナコットは涙を目にいっぱい溜め込んでいた。
後ろを振り返ると勢いが落ちているものの、こちらにゴリアワニが向かってきているのが見える。
「クッソ痛えな、死ねや」
クグレとオニオは耳を疑った。今の言葉は誰の口から出たのか理解できるまで時間がかかった。
ナコットは胸ポケットを叩き、手のひらにペッタンを乗せてから膝から流れている血を舐めさせた、するとナコットの手から飛び降りたかと思えば、ペッタンは徐々に容姿がトカゲから竜のようになり大きさはナコットと同じくらいになった。
「ペッタンごめん、少し我慢してね」
そう呟くとペッタンは身構え、ゴリアワニを全身で受け止めた。
「うそ、あれペッタン・・・?」
オニオが目を見開いて目の前の光景を眺めていた。ペッタンとゴリアワニの力は同じか、ゴリアワニが少し強いようにも見えた。
「ペッタン頑張れ!」
クグレはなぜか込み上げてくる涙をこらえてペッタンを応援した。
「二人とも逃げてください・・・」
「ナコットを置いていけないよ」
オニオの言う通り、クグレもナコットを置いていけるわけない、でもペッタンが押されているのがわかるため
いつ、3人に襲いかかってきてもおかしくない。
「よく耐えましたわね」
知らない声が聞こえたと思うと、その子はペッタンを避けてゴリアワニだけを光の矢で撃ち抜いた。