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三文詩人の参拝記  作者: 萩原 學
四面の神
2/13

雲仙とお四面様のこと

写真は全て自分で撮った。但し撮影時期は割と開きがある。

島原半島では「お四面(しめん)様」という神を祀る。雲仙に行基菩薩が満明寺を開山したとき、併せて四面宮を立てた。

挿絵(By みてみん)

その分霊を山田・有江(有家)・千々石・伊佐早(諫早)の四社に置き、後に島原半島一円へ広まったという。キリシタン大名有馬晴信の手引きで、後に島原の乱で壊された寺社は少なくなかったが、後に復活したようだ。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

往時の雲仙は「西の高野山」とも称された修験場であった。開化期には高級別荘地として人気を呼び、別府地獄めぐりのヒントにもなったらしい雲仙地獄も今では湯井と化している。

挿絵(By みてみん)

しかし明治政府は修験道の廃止を命じ、神仏分離を命じ、神社も皇統以外「宮」の号は禁じ、四面宮は名乗れなくなった。今では元締が『温泉(うんぜん)神社』と改めてしまったために、これに倣って『温泉神社』と改称された社が大半、『諫早神社』は例外。山田は今では「吾妻」というので、地図には『吾妻温泉神社』となっている。元はウンゼンと読んだ文字を、今ではオンセンと発することもあり、改称の結果、温泉(おんせん)などない地にも温泉(うんぜん)神社が立つ不条理な話になった。でも行って鳥居の扁額を見ると少なからず「四面宮」とか残っていたりする。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

この聞き慣れない神は古事記に1箇所、国生みの段に記事がある。


~次に生むは筑紫嶋(つくしのしま)。此の嶋も(また)、身は一つにして(おもて)は四有り、面の(ごと)に名有り。

故、筑紫國を白日別と謂ひ、豐國を豐日別と謂ひ、肥國を建日向日豐クシヒネ別と謂ひ、熊ソ國を建日別と謂ふ。~


豊日別命なら覚えがある。英彦山北岳の高住神社に祀り、八大天狗に数えられる英彦山豊前坊でもあり、中の人が猿田彦大神とも高木神とも言われる修験者の神である。

挿絵(By みてみん)

白日別は、筑紫神社の御祭神ではないかと言われる程度で、例を見ない。他の二神は見当たらない。

何より四面の神として祀るのは、温泉神社以下、旧四面宮のみのようだ。さらに雲仙では、温泉神社とする以前『筑紫国魂(くにたま)社』と称した。雲仙は「高来(たかき)山」とも呼ばれ、筑後平野から仰ぎ見る神奈備(かんなび)として崇められてきたからである。

挿絵(By みてみん)

柳川市の鷹尾神社に歌碑が立ち、


筑紫女が ゑみの眉山高来山 高峰霞めり春立つらしも

(ゑみの眉山高来山とは、筑紫の西空に麗しく聳える雲仙岳のことである。作者は幼少の頃から八十余年、朝に夕にこの山の勇姿に親しんだ。)


とある。初めて見た時は大いに驚いた。それから探してみると、「道の駅みやま」近くで雲仙の勇姿を拝むことができ、自分の不明を恥じた。

挿絵(By みてみん)

肥前国風土記にいう。


昔、纏向日代宮御宇天皇(=景行天皇)肥後国玉名郡長渚浜の行宮(あんぐう)()しまして、此の(こおり)の山を(みそなは)して曰く。

「彼の山の形、別島に似たり。属陸の山か、別居の島か、朕は之を知らまく欲す。」

仍て神大野宿祢に勒し遣り、之を看せしむに、往きて此の郡へ到るや(ここ)に人有り。迎へ来りて曰く。

「僕は此の山の神、名は高来津座。天皇が使の来ませるを聞き、迎へ奉りなむ。」

已に因みて曰く、高来郡(たかきのこおり)


改めて読むと、高来津座(たかきつくら)とは「高来の港に坐す」となり、高木神またはその係累のように思えてならないのだが。高木神=大行事権現=猿田彦大神=彦山豊前坊=豊日別命は豊国そのもの、此方は火国だから建日向日豐クシヒネ別の受け持ちになる訳で。豊国と火国が入れ替わったなどとは聞いたことがないし…

島原の乱に就いては、別項に譲る。

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