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少年達  作者: 南波 晴夏
25/33

25. 意味に成る少年

捨てられた。


俺はずっと、自分が生まれてきた意味も理由も知らなかった。

俺がずっと、無意識に夏を嫌っていた理由も。

施設の先生たちの暖かい温もりの中に、どこか失ったような冷たさがあったこと。


俺は、思い出した。

俺は望まれていた。俺には意味があった。

赤く染まった視界の中、包み込む何かが、俺を生かした。


俺は捨てられてなどいなかった。

両親は炎に呑まれて死んだ。

突然の火事で、逃げ場もなく。

俺は守られた命なのだ。

生かされた命だったのだ。


施設の人間が『捨てられた』と嘘を吐いたのは俺が事故に関しての記憶を失くしていたからだった。

俺は、とんだ勘違いをしていた。

今まで両親を一度でも憎いと思った自分が情けない。


寂しさも辛さも、この命には値しない。

両親はそれをわかっていたのだ。

そして、わかっていたのに。


自分の命を、捨てたんだ。


こんな俺ひとりのためだけに。

彼に出会って、激しい頭痛と共に記憶を取り戻した。

だから俺は、今度は誰かの。


彼の、生きる意味に成ると決めた。

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