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21. 意思を貫く少年
少年は頭を抱えた。
例えこの世界の全てが自分の敵に回ろうとも、絶対に守り抜こうと決意していた。
長年の夢を捨ててまで守りたいものなどあるのか?
少年にはあった。
今まで積み重ねてきたものを全て壊してまで叶えたい未来があるのか?
少年にはあった。
僕には。
僕には、あった。
例え今まで積み重ねてきたものが全て無駄になったとしても、長年思い描いた自分の未来を捨てることになったとしても。
この世の何もかも、彼女の命には勝らなかった。
そう、貴方さえいてくれれば。
貴方さえ、僕のそばで笑っていれば。
幸も不幸も関係ない。
僕は、生きて行けると思った。
……捨てようと思う。
長年思い描いてきた夢を。
彼女と過ごす未来の為なら、それを惜しまないと。
……例えそこがどんな世界であっても、彼女と居られるのならきっとハッピーエンドだ。
少年は空を飛んだ。
死んで何になると友人は言った。
死んではいけないと彼女は言った。
それでも少年は空を飛んでいた。
それが少年の一番の幸せであり、新たな夢であった。
『いつか自分を肯定出来る大人になる』
そんな“夢”を捨て、ほんのわずかな可能性に縋って身を投げた少年の後姿は、他の誰よりも美しかった。




