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14. 夢見る少年
夢を見ていた。
あり得ないくらいの快晴の朝に、僕は風に吹かれて眠っていた。
河原を吹き抜ける風は別格だ。
ここは僕のお気に入りの場所で、僕以外誰もこの場所を知らない。
ただ、一人を除いては。
高校生になってからできた初めての恋人。
彼女だけは、この場所を知っていた。
最も、この場所へよく二人でやってきていたので、思い出の場所でもあるのだ。
そんな河原に、僕は今一人で寝転がっている。
彼女は今日は隣にいない。
僕はそれでもここへ来た。
この場所が好きなのだ。
誰にも邪魔されない。
まぁ、それ以前に、クラスメイト達は今頃学校にいるだろうし、大人たちは仕事に行っている。
僕は独りでここにいる。
……夢を見ている。
ずっと、同じ夢を、飽きもせず。
彼女のいる夢だ。
彼女が、なんの変哲もない話で、僕に笑いかけてくれる夢だ。
僕は、それだけでいつも幸せだった。
空を見上げる。
あそこで彼女は、今も笑っているのだろうか。
突然の事故で亡くなった彼女の葬式は、先日行われた。
僕は、ずっと夢を見ている。