13. 自由に拘る少年
昔から、自由に拘っていた。
自由こそが全てだと。
自由になれなければ、生きている価値などないと。
しかし今になって、そんな思いは消えていた。
生活していくにつれ、俺は成長出来たのかもしれない。
俺は運動神経が悪い分、沢山勉強して一流大学を受験した。
落ちる覚悟は出来ていたが、見事に合格。
単純に、嬉しかった。
自由になんて、なれなくても良いと思える程。
……そして俺は、一生懸命に生きて、残りの人生を満喫しようと心に決めた。
医師に告げられた真実を、聞いたまま鵜呑みには出来なかった。
もう、いつ死んでもおかしくない状態だったと言うのだ。今まで健康に生きてきたつもりだったのに。
だからこそ、実感が湧かなかった。
自分がもうすぐ死んでしまうなんて、考えもしなかったのだ。
「今を変えられるのは、今だけだ」
俺はもう、手遅れだから。
“未来”なんてものはないから。
だから、あいつに……。
年の離れた弟に、俺の未来を託そうと思う。
この機会に、俺が気付けたことを。
本当の、自由を。
やっと分かったんだ。自由とはなんなのか。
俺は、自由を求めていたんじゃない。
生きる意味が欲しかっただけだ。
本当は、ただその一心だった。
この生きづらい世界で、足掻いていたいだけだった。
「自由に生きようとしなくていい。自分にとって、最善の道を行け」
そうだ。それこそが、自由だ。
「何ににも縛られるな」
自分を縛るな。誰にも文句を言わせるな。
「自分を信じて、突っ走れ」
後先なんて考えなくていい。
全ては自分の思うままに。
「真っ直ぐに、生きて行け」
抜け道を探すな。出口を探せ。
「……俺の分まで」
本当は、過去の自分に言いたかったさ。
人間とは単純な生き物で、自分に最期が迫った時に限って後悔を泣き叫ぶ。
俺は、自由だった。放たれていた。
もう、なにも気にすることはないさ。
俺は、自由に生きていた。
最期の時がやってきても、それだけは絶対に消えないさ。
……さよなら。
少年は一粒の涙を零し、未来を託した世界に別れを告げる。
温かい家族に見守られながら、少年は静かに目を閉じた。




