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少年達  作者: 南波 晴夏
11/33

11. 天道を行く少年

愛しい人よ。

貴方は僕を怖がらない。気持ち悪がりもしない。

そんな貴方に、僕は恋をしているのだ。


誰もが僕から逃げて行く。

子供には比較的好かれるが、中学や高校に上がった女子なんかは皆逃げて行く。


けれど彼女は、僕を可愛いと言ってくれた。

触れてくれた。それだけで嬉しかったのだ。


それから僕は、晴れの日には必ず彼女の元へ会いに行った。

会いに行くたび、彼女は「また来たの?」と笑って手を差し伸べてくれた。

その笑顔が、嬉しかったのだ。


「ちょっと、やめなよ。授業始まるよ?」


彼女は教室にいた友人に呼ばれて、「わかってるよぅ」と口を尖らせた。


僕は歩く。

彼女の作った道を歩く。

太陽の光を浴びる。道はそこで途切れている。


ここまできたら、さよならの合図だ。

僕は飛ばなくてはならない。


ところで、僕が好きになったのは人間の女の子だ。


「バイバイ、てんとう虫くん」


無邪気に笑った少女は、人差し指を天に掲げた。

少年は、指先から元気よく空へ飛び立つ。


少年の存在を、人間界では天道を行く虫として、“てんとうむし”と呼んでいるらしい。


まぁ、少年にとってはどうでも良いことだ。

少女は急いで窓を閉め、授業のチャイムに急かされるように席に着く。


少年は呑気に考えた。

僕はきっとまた、彼女に会いに行くだろう。


赤と黒で覆われた、独特の羽をなびかせて。

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