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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ちゃあ、猫、21才

作者: あお

ちゃあが死んだ。20時くらいに腰を抜かしたように様子がおかしくなって、後ろ脚が冷たくなっていって嘔吐するようになって、空が白みはじめた4時半ごろに儚くなっていった。


気持ち悪いのか何度も嘔吐を繰り返し、毒素が体にまわっていったのか血が混じっているような涎を垂らし、舌が紫色になっているのを見て死期が近いことを悟り、最後はもう体力を振り絞るように胃液を嘔吐しようともう何も出ないのに3度ほど吐き出そうとしていた。これが断末魔だと、もう、もうそろそろいなくなってしまうのかと。


水に指を浸してそれを舐めさせていたら思いっきりかまれちゃった。ああ、嫌だったんだね、ごめんね。血を絞り出していたら気遣うように近づいて来てくれたね。ちゃあの方が苦しいのにごめんね、ありがとうね。


息が浅くなっていってそのまま意識をなくしたかと思えば戻ってきて息を荒くするのを繰り返し、その間隔が伸びていって、だんだん、だんだんと消えていった。

そしていつのまにかもう戻ってこなくなった。


苦しんでいるのをただただ撫でて、少しでも苦しまないように、気持ち良さを感じてもらえるように撫で続けることしか出来なかった。


目は開いたまま。お腹に触れるとまだ脈うってるように感じる。暖かい。撫でても変わらない感触。うんちは人差し指の先っぽ位。持ち上げた時のだらんと垂れた首。



夕方、死後硬直した体の硬さに慄くけど、もう歳だったからけっこう筋ばっていた事を思い出してあまりかわらないかもっておかしみを感じた。



近所の猫と仲良く日向ぼっこしていた姿。

家の外に出ていっちゃった時に連れ帰ろうとしたらシャーシャー唸って威嚇してきたこと。

母と二人でストーブにあたっていた姿。

部屋の入り口で立ち止まって、なぜか奥まで来ない姿(その後撫でると気持ち良さそうにして、飽きると嫌そうになっていく顔)。

手を触られたり爪を切られるのがこの世の終わりのように嫌がっていたこと。

膀胱に結石がたまって死にかけたこと。

抱え上げて顎で額を撫でると妙におとなしくされるがままになるところ。


勝手に思い出が手繰られて湧き上がってくるよ。



まだいつもの2階の出窓にいるかと目を向けてしまう。


生意気な顔が、寂しそうな顔が、昼寝を邪魔されて嫌そうな顔が、もう見れなくなっちゃうんだね。


さみしいよ。



今までありがとう。猫生に満足だったか、幸せだったかなんて考えないよね。最期は苦しかったものね。

ただ、側にいて撫でられながら意識を失っていった。もしかしたらひとりで静かに逝きたかったのかもしれないけれど、寂しい思いだけはさせなかったと思いたいよ。


こういうことを書いてしまうくらい、ペットロスになってるみたい。


かなしいよ。



これを書いている時にようやっと涙が出てきたよ。

血栓が出来てそれが原因なのかなとの思いが胸にしこりとなって残っている、なにか出来たんじゃないかと。

外の暖かさと心の中の寒々しさに戸惑っているよ。

人差し指の腹に穴が開いて爪に血豆が出来てジンジン痛むよ。置き土産だね。いつか癒えてしまうよ。


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