カミサマの左翼
天暦 12億5000万年、人間界の西暦にして2017年。
天界、人間界、魔界の三つの世界は天界にある「三界連邦政府」によって治められていた
その「三界連邦政府統制管理理事会理事長」通称、「カミサマ」には「右翼」と「左翼」と呼ばれる二人の天使の側近がいた。
そして、その左翼である私は「カミサマ」を裏切り 逃亡したとして「連邦政府警備組織」通称、天盾に追われている。
「うわぁ、ホントに何処までも追いかけてくるのね...」
私は天使の翼で飛びながら後ろを振り返り、もう1.5キロほど飛び続けているのにも関わらずまだ追ってくるセーフティバリアのしつこさにウンザリしていた。
「ねえ、いつまで追いかけっこするの?もう飽きたんだけど...」
「チッ、ちょこまかと逃げやがって.. 魔弾銃で撃ち落とせ!」
セーフティバリアのリーダーらしき人物が全員に命令すると、全員が持っている魔弾銃が火を噴いた。
が、しかしそれはいとも簡単に弾かれた
「なっ、弾丸が弾かれた....?」
「残念だったわね、じゃ ばいばい~」
私はそう言いながら天界と魔界が直接繋がっているゲートを開き中へ飛び込んだ。
直後にセーフティバリアのリーダー格の男に電話が鳴る。
「ハイ、モーゼスです」
「「モーゼス、、奴はまだ捕まらないのか」」
「すみません、取り逃がしました..」
「「取り逃がしただと!? この役立たず目が!」」
電話から罵声が鳴り響く
「たっ、大変申し訳ございません..」
「「まあいい、いずれにせよ奴は必ず捕まえる。」」
弐
「魔術都市」それは、魔界にある「逆十字政魔王国」が直接統括している魔力が流れている魔族の子供に特定のカリキュラムを施し、一定のレベルまで魔法を教育する魔法学校が集まっている都市である。
その魔術都市の「私立ブラット・ローゼ学園」に通う中等部2年の「並木桜 春」は昨日から始まった春休みを満喫していた。
「もう春休みか~ 一年は早いなぁ。 私も春休みが終われば三年生か...」
と、春は何か思い出した様にカバンから何かを取り出した
「まあでも、一様今日の分の宿題はやっておかないとね」
春はそう言うと魔法円が描かれたA4サイズの紙を机の上に置き、
「神よ、我と神聖なる天使が交わる事を許し給え Accipite angelus sanctus.(神聖なる天使を受ける)」
次の瞬間、魔法円が光を放ち光の中に赤い炎が灯った。 だが、不思議な事に通常真っすぐに伸びるはずの光の尾が僅かに揺らぎ角度を変えねじ曲がってゆく。
「えっ、なにこれ?なんでこんな...」
春が未知の経験をし、人間特有の恐怖を覚えジリジリと後退りしていると 遂に光の尾は水平になり光が指す方向に突如として穴が開き、何かが現れた。
「痛タタタタ、あれ?何でこんなとこ何かに..」
”それ”はふわふわとした金髪が胸の辺りまであり、頭の上に光の環が神々しく輝いているまるで天使の様な見た目の人物だった。
「て、天使!? うそ.. 私の魔力で天使が召喚できるわけ....」
「まあ確かに、君の無理だろうね.. 最もこの術式じゃあ根本的に不可能なんじゃない?」
私は少女にに机の上に置かれた魔法円を見ながら出来るだけ優しく話しかける
「そうですね... 確かにそれは疑似精霊召喚魔法なので天使は召喚出来ないはずなんですが...」
「疑似精霊召喚魔法?」
「はい、まあ要は本物の精霊召喚魔法のコツを掴むために開発された魔法なんですが.... ってあなた勝手に私の家に入ってこられたら困るんですけど! この天使モドキ!」
私は少女が急にツッコんでこられた事に対して少し驚きながらも、
「ごめん、ごめん、でも.. 私は天使モドキじゃなくて本当の天使だから。」
「え?それは.. どういう...」