表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

元魔王>仮魔王

「魔王様、もう来てくれないかと思いました!」


 牛耳メイドが半泣きで抱きついてくる。

 ルグルス達はメイルーの見送りに行った。

 ちなみにトイレは済ませた。

 魔王城通路も長いし走ると振動でやっちまいそうだしで平常心を意識しつつ慎重に歩いて行ったのは言うまでもない。


 コラ牛メイド強く抱きつくなすごく痛いから!顔もこすり付けるな短い角が当たって痛いから!


 クシュルーがベタベタ引っ付いてくるから抱き着かれる事になれつつあった。


「仲が良いんですね。・・・この泥棒牛」


 いつの間にか扉が半開きでその隙間からこちらを憎らしそうに見つめるクシュルーがそこにいた。

 牛メイドは肩をビクッ震えて固まった。


「私ですら、まだダーリンの胸の中で泣いた事ないのに・・・」


 ギギギ・・・!

 歯ぎしりと共に扉に掛けていた指先が軽く扉にめり込む。

 牛メイドは汗をダラダラと流しこっちを上目づかいで見つめて助けを求めてくる。


 狙ってやってるのか、天然なのか。

 ちょっとズルくないか?ヘタしたら俺だって殺されるかもしれないのに。


 まぁ、牛メイドを見捨ててもどの道クシュルーの機嫌を直さないといけないし仕方ないか・・・。

 覚悟を決めてクシュルーの怒りを宥めることにする。

 慎重に!丁寧に!手早く!


「クシュルー」

「何?」


 パァァァン!


 パァァァンパァァァン(反響)


 クシュルーの額に一発撃ちこむ。

 よし!これで大丈夫だろ。

 そのはずだ!ヘンタイだし!


「きゃっ(喜)」

「えっ?」

「反響がすごい・・・。誰か来たら気にするなと言って」


 固まったままの牛メイドにそう言ってクシュルーの部屋に入って扉を閉めた。

 なんというか部屋の中は荒れてた。

 ファンシーなぬいぐるみが散乱しまくっている。

 意外だったがクシュルーのやつぬいぐるみの収集が趣味だった。

 ゲテモノからカワイイのまで何でも。

 部屋のあちこちに陳列されてるが(数が多いので一部山積)、癇癪を起すと何でもかんでも投げつける癖があり長引くとぬいぐるみが破け部屋中綿だらけになるのだそうだ。

 さらに酷いと片付けようとしたメイドを片してしまうらしいデス。


「機嫌直ったか?」

「ちょっとスッキリした。ハァハァ」

「・・・そうか」


 ちょっとまだ撃ってほしい顔してるが無視しておこう。

 色々聞きたい事があるし、なぜ人間の俺に魔王を譲るのかとか色々と。


「ねぇ、ダーリン」

「・・・何?」

「私も正面から抱きついていい?」


 迷う。コイツの腕力は牛メイドの比じゃない。

 多少は加減するんだろうがノーマルな人間の俺にはハードルが・・・。


「えいっ」


 どう返事をしようか悩んでいると待ちきれなくなったのか、正面から抱きついて来た。

 最初は良かった。柔らかい感触と香水なんだろうか?いい香りがしてくる。

 ちょっと暑苦しいが。

 俺の胸に顔をうずめすんすんと匂いを嗅ぎ満足したのか力を緩めた。


「満足か?ならいくらか質問したいこ・・・」


 ぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 緩めたと思ったら次の瞬間思いっ切り力をいれて抱きついてきやがった!!

 暴れて振りほどこうにも腕ごと抱きつかれ思うように動けないし元々力じゃどうしようもなかった。


「あっ~・・・」


 声を出そうとしたが、強く抱きつかれた時に肺の空気も外に吐き出されたようで声も出ない。

 さらに息もできない。

 俺は気を失った・・・。


 そして後に思う。

 メイルーの方がマシだったなと・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ