モテ期って望んでないのにくるんだね・・・
「そういや、魔王さんはあの女狐ともう契りを結びはったん？」
メイルーは帰り際にいきなり爆弾を投下してきおった！
俺は断りたいと思うが断ったらどういう目に遭うか正直怖い。
肯定も否定もしてこなかったのだ。
だが、ここで嘘つくとそれこそ予期しない事態に陥りそうなので正直に答えておく。
「・・・。してない。保留にしている」
「まぁ、あの女狐見た目はともかく中身がアレやしなぁ」
「あれぇ？保留だったんですかぁ？まぁ、分からなくもないですけどぉ」
マジでクシュルーのやつ評判悪いな・・・。だが助かった、しばらく保留のままでも大丈夫そう。
「せやったら、うちが魔王さんのお嫁さんなったげてもええよ？」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！？いきなり何言ってんのコイツ！
「・・・ど、どういう事だ？」
「ふぅーん、ちょっとは動揺してくれはったと言う事はまったく脈無しという訳でもなさそうやね。あはははっ」
どうやら反応を試したと言う事か、ちょっと焦った。
もう辞めてくれよ俺は人間なんだ人外の嫁はいらない。
「胸無しが、魔王さまぁを困らせないでくださいよぅ」
「あ、あんたが、デカすぎるだけやぁ！普通サイズくらいはあるわぁ！」
「冗談と言う事か」
「冗談やない！普通サイズはあるってぇ！」
「恐らくですがメイルー様。胸の話ではないかと」
「・・・そうだ」
「あはは・・・。そっちやったか。ちょい違うなぁ、相手が決まってないなら立候補するという意味や」
「メイルー様、どういう事ですかな？」
悪戯っ子な雰囲気をやめ、理知的な大人の雰囲気に変わったメイルーは今の自分について語りだした。
「魔王さんも知っとると思うけど、魔王軍も魔界も実力主義や。せやけどうちは血筋はともかくそれほどつようない」
「なるほど」
「なんや、ルグルスはもう分かったんか。流石やね」
「推測でしかありませんが」
「どういう事ですぅ？」
「あんたは、乳ばかりじゃなく頭を鍛えんとな。幼馴染として情けないわぁ」
「失礼ですねぇ！頭も胸も鍛えた事ありませんぅ！天然でぇ自前の自慢の胸と顔ですぅ！」
「・・・あかん。この子みてると頭痛いわ」
「孫が申し訳ない」
どうしていつもこう話が脱線してくんだ・・・。俺は未だにトイレ我慢してるというのに。
「話を戻すわぁ。うち等商人は特別戦闘能力が高い集団やない。魔界の実力者からしたらいい獲物にされかねないんよ」
「獲物？ですかぁ？」
「力づくで様々な商品を奪える相手と言う意味ですよ」
「でもでもぉ。魔王の血筋の一つであるメフィス家に手を出すような輩がいるとは思えないんですけどぉ」
「血が薄まったちゅー事やろうな。それでもルシファー家との繋がりや、散々困らされたけどあの女狐とも表面上は仲ようさせてもろたからうまくやってこれたんよ」
「それが魔王さまぁの奥さんに立候補するのとどんな関係がぁ？」
「あんたはまだ分からんの！ほんまにうちの幼馴染なのか不思議になってくるわ」
「幼馴染ですよぅ？メイルーちゃんが商人を辞める事になったらぁ、ルシファー家の下っ端にしてあげるぅ」
「お断りやぁ！！」
つまり、魔王がクシュルーから俺に代替わりすると魔王との繋がりが消えて抑止力がルシファー家との繋がりしかなくなると言う事らしい。
それでも今すぐ狙われることは無いらしいが自分か自分の子供か、近いうちに強い血を入れる必要もあると考えていたらしい。クシュルーが女だったから自分の代は諦めていたが次の魔王・・・。
まだなったわけじゃないけど！！
俺が男だから嫁の座を狙えるなら狙いたいと言う事らしい。
いわゆる政略婚だな。
とか考えてたらさらっと。
「うちを嫁にしてくれはるんなら。全力で魔王さんを愛してこの身のすべてで尽くします」
「えっ・・・？」
ヤバイっ。ちょっとそれもいいかもと思ってしまった。
「あはははっ。冗談やじょうだん」
いつの間にかいつもの悪戯っ子なメイルーに戻ってた。
冗談と言ってはいたが不思議と冗談で言ったようには思えなかった。
そしてメイルーは帰って行った。
あ”、トイレ行くの忘れてた！まずい！！！！
