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ヒーロストハーツ 2  作者: 乃空 望
第一章 この足跡は明日にも残る
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第四話 「記憶の旅人」

「この辺……だよな?」



 周囲を見渡すと、庭の先に開けた場所があるのが目に入る。



 道中でブーチに会うのではとヒヤヒヤしたが、この時間帯はいないようだ。用事ごまだ済んでいないんだろうか?まぁ、例え終わっててもエティにずっと付き添ってそうだ。



 花や草木に噴水。美的センス等は全く持ち合わせていないが、この庭がとてもよく手入れされていて、綺麗だという事は分かる。本当に良く出来た使用人だ。俺は何度でも褒めるぞ。



 くだらないことを思いながらも、足を進める度に目の前の光景が詳しくなっていく。



 屋敷に入る時に目にちらついたとても大きな大木を中心に、幾つかの切り株、何度も殴られていそうなカカシ、宙を舞う七色の粒子。そして、その大木の下に立つ銀髪の美少女。



 彼女が……ウィルアが俺に会わせたい人物だろうか。



 なるべく音を立てすぎないよう、円状のこの空間の中、彼女のいる中心へと歩いていく。



 赤から紫まで色の粒が舞いながら温かかったり、冷たかったり、煙たかったり、涼しかったりする。



 不思議な感覚だ。



「……?」



 足音に気づいたらしい。銀髪の彼女が視線をこちらへ向ける。長くウェーブのかかった髪は結ばれポニーテールになっている。テールであろう部分は触れば気持ち良さそうだ。



 碧い瞳に長い睫毛。可愛いというより美人寄りだろうか。ちょっとキツめに見えるが実は意外と優しそうな目が、何ともいえないが魅力的だ。スタイルも良い。まさに俺の好みだ。



「あ~、えっと、初めまして」

「……誰?」



 少し大人びていて、だが女の子らしい声が空間に響く。粒子と粒子にそれは跳ね返って頭の奥まで染み込んできた。



「アマセ。俺の名前だ。ん~と、ウィルアがここに行けって言ってきたからさ」



 簡潔に事情を説明し過ぎただろうか、彼女の瞳にはまだ警戒が残っている。



「来てみたら…私がいた?」

「そんな感じ」



 すかさずイケメンスマイルを作り出すと、彼女は何かを納得したように大きな溜息を吐いた。



「もしかしてあなたが八人目?」

「ん、八人目?」



 八人目ってのは何だろうか。



「えっと、言ってる意味がよく分からない」

「その様子だと何も伝わってないんだ。ウィルアは本当にその辺り説明不足過ぎるわ」




 そう言うと、彼女は木の影から姿をこちらへ近づける。空からの光が、彼女の全身を煌びやかに照らし始めた。



「私の名前はセリカ。今から一回だけ色々説明してあげるから、よく聞いて」

「え、1回だけ?」

「……当たり前でしょ。そのくらい巨人族でもできるわよ」



 何か物騒そうな名称が聞こえた気がするな。



「わ、分かった。来いよ」

「潔くて結構。まずあなたは光の民に選ばれた。ここは良い?」

「良くない」

「……」



 即答するアマセにセリカは絶句する。カラフルな粒子達が動揺したかのように少し乱れた。



「あいつ本当に何も説明してなさ過ぎでしょ。いや、あいつってよりあなたの知識不足が……あ〜もうっ」



 面倒くさいと言って彼女がこちらへ迫り来る。



「まず初めに、この世界には光の民っていう女神様に寵愛を受けた者達がいるの」

「寵愛?」

「そう。ウィルアが何か光ってるやつ使ってなかった?」

「あぁ、使ってた」



 あれが女神様の寵愛とやらなのか。



 セリカが喋りながらポーチの中を探り出す。



「え~っと」



 そしてそこから一冊の本を取り出した。青い色の本で、表紙には何か文字が書かれている。



「確か……」



 何かを呟きながら彼女はページを丁寧にめくっていく。一動作に対して口が漏れているところが、何だか可愛らしい。



「あ、あった。話すわよ。我、今この世の者共を愛したり。その者共、姿は名を冠する戦士。彼らの名をここに記そう」

「それ、女神の言葉か?」

「そんな感じ」



 素っ気なくそう言うと、彼女は続きを言っていく。



「光の英雄・ウィルア、天空の騎士・カゲロウ、森の守護者・ミクノ、獣の王・エミル、片割れの魔術師・ゼノ、始まりの巫女・フィーナ、海洋の覇者・リヴィ」

「な、何か壮大な二つ名だな皆」



「それだけ光の民の存在は大きいのよ。まぁ二つ名は女神が決めてるから私達は光の民をその通りに呼ぶだけだけど」

「そんなもんか」



 えぇ。セリカはそう軽いあいづちをうった。



「それで、そこに新しい名前が本当に刻まれてるわね」

「ほうほうどれどれ?」



 アマセが、百六十より少し高いと思われる彼女の横から、本の中身を覗き込む。



「ち、近い」

「気にすんな」



 セリカの持つその本の中にははっきりと、記憶の旅人・アマセと記されている。



「うわ、マジである」

「無かったらすぐにあなたを蹴り飛ばしてこの本をしまってるわよ。女神の助本は女神様が彼女の聖典に何かを記したら、連動して中身が書き足されていくの」

「へぇ。何かハイテクだな」

「ハイテクって何……?」

「いや、何でもない」



 この世界にハイテクって言葉はないのか。いや、そもそもハイテクってのは何だったかも自分自身で微妙だ。



「それで、俺がその光の民とやらだと、何になるんだ?」

「ん~えっとね。簡潔に言うと、光の民は女神の寵愛のおかげで光を自在に扱えるの。古くからの彼らの役割は、その力でこの世界に蔓延る闇を浄化すること……かな」

「浄化……」

「そう。あなたはその使命を授かったの。まぁ、祭りが終わるまではお預けだけど」

「祭り?祭りって何だ」

「あなたって質問以外に出来ないの?」

「あいにく記憶が曖昧なもんでな」



 そう言うと、彼女はもう一度女神の助本へ視線を戻す。


「記憶の…旅人」

「その女神とやらはお見通しみたいだな」

「そっか……」



 セリカは本をしまうと、アマセの眼をのぞき込む。



「うお、お前もかなり近い近い」

「お前じゃない。セリカよ」

「結構面倒くさい奴だな」

「うるさい。……ふぅん。結構素質はあるのね。ウィルアに並ぶのかも。ちょっと動いてみて」

「っ?」



 良いから早く。セリカは促すままに、アマセは跳んだり走ったりしてみる。



「どう?」

「何か、いつもより軽いな」

「じゃあ次思いっきり動いてみて」

「思いっきり?」

「そう、何となく分かるでしょ。やってみて」

「やってみてって言われてもなぁ」



 感覚的なものはどうも苦手だ。理論立てて教えてもらった方がよっぽど身に染みるように思われる。



「はぁ……。あなたも相当面倒くさいじゃない」



 セリカが片手を額に押し当てる。



 次の瞬間だった。彼女が視界から消えたように見えたのは。



「っ!」

「良いから動きなさいって!」



 背後から風圧が押し寄せる。それと共に異常な早さの蹴りが俺の背中へと衝撃を走らせた。



「がっ!」



 身体が思いっ切り吹っ飛んでいく。およそ三十メートル程の距離を三度バウンドした後、アマセは何とか受け身をとった。



「いってぇよっ!何だよこれっ、おいセリ―――」



 何が起こったのか、それすらも分からない彼の目の前に、今度は鋭利な刃先が近づいてくるのが見える。とても早く、ゆっくりとそれは近づいてきた。



 投げナイフだ。



「ちょ、嘘だろっ!」



 かろうじて身を翻し避けるが、高速で動くセリカから次々と大量のナイフが放たれる。



 逃げる足場に一本ずつ綺麗に突き立てられていくそれは、少しずつアマセの足場を削り、だんだんと避けるのもリスクが高くなっていく。



「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬっ、くそ…これ以上は逃げれないだろこれっ!」



 こちらが必死に何かを考えようとする間も、セリカの攻撃は止まらない。一体幾つナイフ仕込んでんだ?どうすればいい?



「どうしようもないなら……やけくそしかないだろおおおおお」



 アマセは逃げながらも全力で地面を蹴る。



「おんだらぁいあああああああああああああ」



 掛け声と共に、そのまま彼の身体は高く宙へと跳び、ナイフの雨から一旦距離を置いた。



 そして、それでもなお狙って飛んでくるナイフを避ける。



 ……見える。



 いつもより感覚が鋭い。身体が軽くて、どんな体制も取れる……気がする。



ナイフの動きが、軌道が、全て手に取るように分かった。



 そんなアマセの視線に光が走る。それはナイフの幾つかを示し、彼は導かれるようにそれらを掴んだ。



 アマセの手の中に、ナイフが綺麗におさまっていく。



「……返してやるよっ!」



 アマセが二本の刃をセリカへと投げ放つ。



 それは確かに圧倒的速度で彼女のいた場所へと突き刺さった。



「あぁ……やっぱ当たんないよな」

「まだまだね。正当防衛にしては過剰な殺意っ!」



 宙に浮いた身体が地面へと着地すると、またセリカが猛攻を仕掛ける。右肩から左肩。少し気を抜くと脚を取られそうになり、目の前を自由自在に動き切り裂こうとするククリを避けるだけで精一杯だ。



 アマセは何とか全ての攻撃にギリギリ対処する。だが、セリカがそれでも圧倒的有利に立っていた。



 不意にセリカのククリがアマセの首元を捉える。そこに反撃の一手を見出そうと彼がその刃に全意識を注いだ瞬間。それは宙に放り出された。



「っ」



 目線を一瞬上に上げた途端、動揺するアマセの横をすり抜けら足を回して後ろから彼の首を両股で挟む。そしてそのままセリカは彼を地面へと叩きつけた。



「がはっ!」



 強い痛みが全身をめぐる。呼吸が苦しい。



「やべぇっ。死―――」



 言い終える前に馬乗りになったセリカが右手の人差し指で軽くアマセの首筋に触れた。



「…ふぅ。あなた、私が敵なら死んでるわよ。まぁでも、少し手こずったから上々ね」



 そう言って彼女がさっきまでの敵意丸出しの表情を崩し、天使のような笑顔で笑う。



「ん、え、何だ?敵じゃないのか?上々って……はっ?」



 意味分かんねぇよ。そう言うとアマセは無理矢理起き上がろうとする。セリカもそれは想定していなかったのか、思いっ切り後ろへ倒れ込みそうになるが、その背中をアマセが手を回し受け止めてしまった。



 結果的に、セリカが腰をアマセの両脚の間に下ろし、彼の懐に身を寄せるような構図になる。なんと素晴らしい。



「ちょ、あなた何してっ」

「質問に答えろよ」



 セリカの顔が真っ赤になるのも無視して、アマセは言葉を続ける。



「何で俺を攻撃した?」

「何でって…言われても。あなたが、力の出し方が分からないって言ったから、引き出してあげた、だけでしょ。ちょ、ちょっと酷いかなとは、思った、けど……」



 次第に弱々しくなる声でそう言って彼女は俯く。その反応を見て、予想外にも少しの沈黙の後、アマセは安堵の息をついた。



「っ良かった~!いや、マジで。お前が本当に敵だったら実際あと一歩で死んでたわぁ」



 アマセが冗談めかしに笑うと、セリカはゆっくりと顔を上げた。



「お、怒らないの?」

「ん、何でだ?」

「何でって、理由はどうあれ私はあなたを傷つけた。それは酷いこ―――」

「はいそれ以上は無し」

「えっ?」



アマセはせりカの口を手で制すると、彼女の碧い瞳を見つめる。



「面倒くさいんだよそういうの。確かに結果論だけど俺は力が発揮できた。そしてお前は俺がそうなれるように攻撃をした。……俺のためにしてくれたんだろ?ありがとな」




 そう言うと、セリカは困ったような顔をし、少しだけ喉を唸らせる。



「な、何よそれ。……あなたって、多分いつか損するわよ。普通誰だって怒るし、結果論にしてみても、酷いことに変わりないじゃない」

「かもな。だから、俺以外にはやめとけよ。マジで痛いんだから。後、自分から離れてくような態度もよせよ」



 はにかんでアマセが笑う。その笑顔は、純真にも無垢だ。さっきのへんちくりんな作り笑いよりもよっぽど良い。彼女の気持ちに共鳴したのか、精霊達が喜びながら二人を取り囲む。



「……う、うるさい。…えっと。ねぇ。あなたが良い人で、光の民であることも分かった。でも」

「ん、どうした?」



 アマセがきょとんとする。



「……一番大事なことにだけ鈍い男は絶対モテないから。良く憶えといて」



 そう言いながら、セリカがアマセの胸と自分の胸の間を指さす。



「…ん?」

「……」

「何か、近い?」

「正解」

「気づいてないふりしちゃ駄目か?」

「殺すわよ」



 かしこまりましたああああぁっ!と言って彼は勢いよく地面から跳び起き、そのまま流れるように土下座を決める。



「すみませんでしたっいや全然いやもう全然気づかなくて身体柔らかいなとか結構実ってる双丘だなとか今夜夢で続きがこないかなとかそんな発想も全く出してこなかったなぁいやビックリだわアハハハハハ」



 アマセは青ざた顔で冷や汗を滝のように流しながら地面に額をこすりつけた。



 ……やばい気づかれてた。というかなんか良い感じの雰囲気だったからいける気がしたんだよな。そのまま二人は恋に落ちるみたいな。良くあるじゃん月曜夜九時とかに。



 このまま顔上げたら顔赤くしてモジモジしたりしてないかなぁ。さっき照れてたっぽいし一つの可能性として―――。



 だが、顔を上げると、そこにはゴミ溜めで半身浴をする汚らわしい全裸男を見たかのように軽蔑溢れる冷ややかな視線が注がれていた。



「女神様は人選を間違ってしまったのね。誰にでも間違いはあるものだけど、よりにもよってこんなゴミ虫に力を与えてしまうなんて……この世界の未来が心配だわ」



 ですよねぇ。



「いや、マジですんません。開き直って良いならしょうがないことだろ。スタイル良くて可愛いセリカが悪い」

「気持ち悪い喋らないで名前を呼ばないで虫唾が走るわ人権を剥奪するわよ?」

「もうすでに消滅してるみたいなんだけどどうしたら良いと思う?」

「あなたごと消せば万事解決よ」



 言うが早いか、彼女はその冷徹な声と共に懐から殺意に満ちたククリを手に持つ。



「いやぁ良してくださいよ冗談じゃないですかぁっ!可愛いとかはこれからも言いますけどあんなアクシデント今後一切起こしませんので許してくださいません科カカロット!」



 そう言って彼が何度も頭を地面へと叩きつけると、セリカは深いため息をついてククリをしまう。



「いや、誰よそれ。はぁ。もう良いから。もっとウザ過ぎて嫌いになりそう。……まぁでも、さっき言ってくれた言葉は本物だろうし、こうやってお世辞でも褒められるのは嫌いじゃないわ。もうあんな事はしないって心の奥底から約束するなら、今回だけは許してあげるから」

「マジでっ!」



 アマセの表情が希望に満ちたものに変わった。



「なんだ。意外とセリカってちょろいんだな」

「殺して良い?」

「ごめんなさい思った事すぐ口に出してしまう正直者なんです」



 セリカがククリに手を伸ばそうとする頃には、もう彼は土下座の体勢を築き上げている。そんな事を極めるくらいなら、言って良いことと悪いことをワンクッション置いて考えれば良いのに。



 馬鹿正直な男だと彼女の頭の中で、またもう一度深くため息をついた。



「とんだ光の民ね。……別に構わないけど。あなたが悪い人じゃないのは確かだし」



 そう言ってセリカが彼女の周りを踊る精霊達に手を伸ばす。



「それで、どうだったの?私と戦ってみて」

「え、これは、許された?」

「良いから早く話して」



 は、はい。と言ってアマセが立ち上がる。



 彼の視界には、まぁ酷い風景が広がった。



 まず自分達が暴れまくったであろう跡。数箇所に散りばめられたナイフ。抉れた地面。あれは俺が蹴っ飛ばされた時にできたものだろう。しっかりと線になって残っている。



 地上絵とか作れるかもな。



「そうだな。身体が頑丈になったみたいだ」

「他には」

「何か、筋力が前よりあるな。めっちゃ跳べたし。動体視力も良くなったか?ナイフ取れちゃったしな。それと、こう。身体の軸が定まってるっつうか。何だろうなこれ」

「後は?」



 後はか。言うかどうか少し迷う。あまり確証がない。ないのだが。



「光を…感じる」

「そっか。じゃあ十分に理解は出来たみたいね」



 セリカは一段落ついたことを示すかのように軽い背伸びをした。綺麗な髪が風に揺れ、はっきりと膨らんだ胸はその存在を世界に惜しまず主張する。さっき戦っていた人物とは思えないほどに、彼女はとても魅力的に見えた。いや、戦ったからこそのギャップ萌えってやつだろうか。



 しかしそんな感想を言う前に待て。今聞いたことが何に繋がるのか俺はまだ知らないぞ。



「じゃ、明日からね」

「ん、何がだ?」



 疑問が疑問を生みかけてる中で、更に当然のように彼女が疑問をトッピングする。盛り沢山だな。食べきれないぞ。



「決まってるでしょ」



 いや、決まっていない。



「分かっていないような顔しないで。さっきも説明したでしょ。あなたはこの世界の闇を浄化する使命を与えられたの。でも、その使命にあなたの実力はかすりもしないほど見合ってない」



 彼女が順序よく、説明口調で繰り出す言葉に、嫌な予感がする。



「もしかして…」

「良かったわね。私が明日から直々に稽古をつけてあげる。遅れたら生活に支障をきたす程度に痛めつけてあげるから、覚悟しといてね」



 何てことだ。精霊どもは嬉しそうに俺を囲んでくるが、是非ともお断りしたい。闇って、二二みたいな、あんなのと戦うってことだろ?いやいや、命がいくつあっても足りないって。むしろもう足りなくなってるんじゃないのか?



「フィ、フィーナを貸してやるよ」

「あっちは多分ジャックが教えるわよ。あなたは私が鍛えてあげるんだから、ちゃんと光栄に思って感謝することね」

「な、何かお前いきなり偉くなったな」

「お前じゃない」



 そう言って彼女は束ねていた髪をほどく。世界を銀色に塗り満たすようにそれは、滑らかに、ゆっくりと重力に従っていく。



「……偉いのは当然でしょ。改めて自己紹介してあげる。…第十七代ヒューマ国英雄剣騎・セリカ=ルナ。精霊の隣人よ。これからよろしくね、アマセ」



 そう言い放つと、彼女は平和主義を詠うかのよつにはにかんだ。そこに英雄だの剣騎だのなんてたいそうな肩書きも、強さに満ちた姿もない。



 なんて言ってたって彼女の隣では、幾多もの精霊達が、楽しそうに踊っていたのだから。



 まぁ簡潔に言えば、その笑顔が可愛くて、断れなかっただけだ。

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