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花嫁クエスト  作者: 玉兎
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第八章 蓬莱起兵(四)


 おこる者がいれば滅びる者がいるのは世の常である。これは蓬莱国においても例外ではなく、姫巫女たる伏姫の隆盛は既存の権力者たちの衰亡を招いた。

 もともと、伏姫を国政の中枢に招いたのは彼ら権力者たちであり、軒を貸して母屋を取られることになったわけだ。



 伏姫の野心によって政治の表舞台から一掃された者たちは、当然のように反撃を試みたが、伏姫は驚くほど巧みに民心を収攬しゅうらんし、廷臣を取り込み、各地の豪族たちを懐かせて、短い年月のうちに蓬莱を我が物としてしまう。

 反抗勢力はほとんど手も足も出ず、伏姫の前に敗北した。



 この権力闘争に際して蓬莱に兵乱が起こらなかったのは、反乱計画がことごとく未然に潰されてしまったからである。どれほど巧みに、また用心深く計画を進めても、伏姫は占い一つでたちまち計画の存在を嗅ぎつけてしまう。

 傍から見れば笑劇にしか見えない、一方的な権力闘争だった。



 一連の騒動によって、多くの貴族や廷臣が命を奪われ、所領を失った。彼らの家族や臣下は伏姫の追及を恐れて四散したが、蓬莱全土が伏姫の威令に服している状況では、最終的に選び得るのは他国への逃亡か、伏姫への屈服の二つに一つしかない。

 そして、多くの者たちは逃亡ではなく屈服を選んだ。

 もともと蓬莱人は他国に対する関心が薄く、国境の外に出たことがない者が大半である。

 そして、それは特権階級の人間でもかわらない。ついこの間まで蓬莱の貴人として何不自由なく生活していた者たちが、ろくな財産も持たず、知らない国、知らない街で暮らせようはずもなかった。




 伏姫はひざまずいて慈悲を乞う政敵たちを受け容れた。

 むろん、ただ赦したわけではない。伏姫はかつて特権階級だった者たちを平民のさらに下に位置づけたのである。

 奴隷にした、というわけではなかった。蓬莱国民として認めつつ、農民よりも、商人よりも、もっと露骨にいえば奴隷よりもさらに下の階級に押し込めたのだ。



 彼らに対する迫害は、蓬莱国内を乱した叛逆者への報復という形で事実上黙認された。

 かつて自分たちの上でふんぞり返っていた者たちが、今や自分たちの下にいる。罵声を浴びせようと、契約を破ろうと、理不尽な暴力を振るおうと、罰せられることはない。

 それはつまり、伏姫が台頭する以前の蓬莱の上下関係をそのままひっくり返したということである。



 もちろん、かつて特権階級にいた者たちの全員がそんな横暴を働いていたわけではない。しかし、それでも生まれながらに貴族の地位にあった者たちに対し、嫉妬や憎悪を感じたことのない者は少ない。

 そんな相手に対して何をしても許されるのだ。いや、むしろ正当な報復として肯定されるのだ。

 これだけの環境を与えられれば、自制の利かない者などいくらでもあらわれる。制止しようとする者がいれば、かえって「叛逆者をかばうのか」と非難の対象となってしまう。



 蓬莱国内で新たな秩序が確立されるまで、かかった時間はごく短かった。

 伏姫は最下級の階位を創設することで、新しい政治権力に対する不満、不安をやわらげることをもくろみ、それを成功させた。

 以後、かつて特権階級にあった者たちは塗炭の苦しみにあえぐことになる。




 青岳の山中で俺と九郎を取り囲んだのは、そんな旧特権階級の者たちであった。

 なんでも街中での生活に耐えかねて山中に居を移したらしい。今の話は彼らの口から聞いたことである。

 境遇が境遇なので、官憲に対する彼らの警戒心はきわめて強い。今日、青岳の守備兵が大きな動きを見せたので、ついに自分たちの討伐に動いたのかと偵察に来たところ、逃亡中の俺たちを発見したらしい。



 短い話し合いの末、俺たちは彼らの拠点に案内された。

 警戒心の強い彼らが俺と九郎を迎え入れてくれたのは、俺たちが蓬莱の正規軍ではないと分かったからだが、これは理由の一つに過ぎない。

 最も大きな理由は彼らと九郎に繋がりにあった。

 正確にいえば、九郎の父上との繋がりである。



「去年の冬を乗り切ることができたのは斑鳩いかるが司祭のおかげだ。そのご子息を助けるのは当然のこと。むろん、ご子息の友人もだ。あばら屋ではあるが歓迎しよう、異国の戦士殿」

 そういったのは村長を名乗る二十歳そこそこの若者だった。まあ若者といっても俺とほぼ同年齢なのだが、見た目だけでいえば俺より五歳は年上に見える。



 朱鷺とき国佐こくさと名乗った眼前の青年が、見るからに老けているとか、そういうわけではない。

 大器の風貌とでもいおうか、猛禽が翼を広げたような眉、力感に満ちた双眸、高い鼻梁、不敵な笑みを刻む口許、いずれも見る者に「ただものではない」と感じさせる。俺が占い師なら「英雄の相」とでも評したかもしれない。



 正直、辺境の村の長なんて明らかに役不足だ。

 そんな人物だから若くして村長になったのか、それとも若くして村長になったことが人格を育てる肥やしになったのか。

 ちなみに、先の俺の呼びかけ――ネズミのごとく云々というやつ――に真っ先に応じたのも国佐である。

 二、三のやり取りの後、茂みから姿を現した国佐は警戒しつつも俺と相対し、そこで九郎の存在に気がついて――あとはとんとん拍子に話が進んだ次第である。



 結果として、俺と九郎は今夜の宿を見つけることができた。

 まあ宿といっても、俺が案内された部屋には寝台の一つもなく、土の床にワラを敷いて寝るような場所だったが、それでも風雨がしのげるだけありがたい。

 つい先刻までの窮状を思えば、文句なんて言えようはずもなかった。



◆◆



 翌朝、目が覚めたら手元に剣はなく、身体は縄でがんじがらめにされていた――などということは一切なく、俺は無事に起床することができた。

 毒を受けた九郎は村の薬師が診てくれているそうだが、俺の予想通り毒自体は強いものではなく、今日一日ゆっくりと休めば後遺症もなく回復できるだろうとのこと。

 俺はほっと胸をなでおろした。短い間とはいえ、共に生死の境を潜り抜けた仲だ。俺だけ助かった、なんてことにならずに済んで心底安堵した。



 その後、俺は改めて村長である国佐と話をした。

 こちらの事情を聞き終えた国佐は思案するように腕を組み、口を開いた。



「――ふむ。話を聞いたかぎり、貴公は蓬莱の事情にうとい様子。単独行動は慎んだ方がよかろう。テオ、という名前も明らかに異国人を思わせるゆえ、なにか適当な偽名をこしらえておいた方がいいと思うぞ。今の蓬莱を異国人がうろついていたら、すぐに怪しまれて役人なり兵士なりが飛んでくるからな」

「そうですか……」



 国佐の助言にうなすいた俺は、さて、どうしたものかと頭をひねる。

 たしかにこの国ではテオという名前は悪目立ちしそうであるが、かといって変に偽名を用いても、反応が遅れたり、戸惑ったりして他者に怪しまれてしまう可能性がある。

 それならいっそ、無理やり蓬莱風に「手緒てお」とか名乗った方が、かえって違和感は少なくなるのではないか。



 俺の任務は蓬莱国内の調査とシルル教徒の安否を確認することだ。

 それと個人的な目的として、伏姫の野心の方向を確かめ、それがセラに向かっているなら可能なかぎり阻止すること。

 蓬莱の国内事情に深入りするつもりはないが、状況を我が目で確かめるためにも、できれば住民が大勢いる街、かなうなら国都に足を運びたい。そのためにも、怪しまれる要素はできるかぎり摘んでおくべきだろう。

 


 ただし、俺はそのことを正直に国佐に告げるつもりはなかった。

 かつての特権階級、今となっては最下層。そんな特殊な生い立ちをした相手に無条件の厚意を期待するほど、俺は初心うぶではない。

 国佐は蓬莱国内で窮状に悩まされている。内の力だけで伏姫を打倒できないとなれば、外に活路を求めるのは当然の流れであり、今の国佐は諸外国の援助を欲するや切であろう。

 俺たちを保護すると決めた裏には、そのための手づるを掴むという意味もあったに違いない。



 おそらくだが、国佐は俺に利用価値がないとわかれば、俺の身柄を伏姫に売り渡すくらいは顔色もかえずにやってのけるだろう。国佐が恩義を感じているのは九郎であり、九郎の父上であって、俺ではない。この相手はそういう凄味を持っている。

 逆に、協力する価値があると認めれば、全力で支援してくれるに違いない。

 そんな相手にほいほいと目的を伝えて、心底を見透かされてしまうのは得策とはいいがたい。当面、この村に関しては当たらず触らずでいこう、と俺は決めた。



 と、コンコンと部屋の扉を叩く音が室内に響いた。

「入れ」

 国佐の声に応じて顔を覗かせたのは、九郎の手当てをしてくれている村の薬師だった。聞けば、まもなく七十に達する年齢で、医術と薬学に関する知識は蓬莱でも屈指だという。



 老婆はしゃがれた声で俺たちに告げた。

「若、それにお客人よ。もう一人のお客人が目を覚ましましたぞ。意識もしっかりしておるで、話をすることもできますじゃ」

「そうか、それは何より。さっそくに――と言いたいところだが」

 一瞬、椅子から腰をあげかけた国佐だったが、すぐに椅子に座りなおして、にやりと俺に笑いかけてきた。



「そちらはそちらで、先に話を合わせておきたいこともあるだろう? 話が終わったら教えてくれ」

 今しがたの俺の考えを見通しているような豪胆な笑いだった。

 自分が席を外している間に九郎と辻褄あわせをしておけ、ということだろう。

 うん、やっぱ俺と同年齢には見えねえわ、この人。



 俺は苦笑しつつ、ぺこりと頭を下げた。

「お気遣い、感謝いたします」

 そう言い置いて部屋を出る。

 扉付近ですれ違う際、老婆が俺を見上げて意味ありげににたりと唇を曲げた。たぶん笑ったのだろう。

 俺は足をとめて、視線だけで「なにか?」と問いかける。



 すると、老婆はなんでもないというように軽くかぶりを振ると、もう一度にたりと微笑んだ。




◆◆◆




 テオが部屋から出て行った後、老婆はゆっくり国佐に近づくと、声を低めて訊ねた。

「若、お訊ねしたいことがありますじゃ」

「なんだ?」

「もう一人のお客人、斑鳩司祭の子ということじゃったが、間違いないですかのう?」

「なに?」



 国佐は一瞬いぶかしげな顔をしたが、すぐにうなずいた。

「間違いない。最後に顔を合わせたのは半年前だ、人相が変わるような年月ではあるまい。そもそもあの時、ババもその場に居合わせていたではないか」

「ふえっへっへ、ババも寄る年波には勝てませぬでなぁ。顔の細かな造作まで見極める自信がござらんのよ。それはさておき……あの若者がまことに斑鳩司祭の子であるとなると、これはなかなかに奇怪と申せまするぞ、若よ」



 国佐は小さく肩をすくめた。

「老人は話が回りくどいのが難点だ。要点を申せ、ババ」

「おっほほ、これは失敬。さらば要点だけ申しますが、あれは女子でございますぞ」

「……なに? なんといった、ババ?」

「お、な、ご、でございまする。股にあるべきものがありませんでしたゆえ、万に一つの間違いもござらぬ」



 それを聞いた国佐は驚きのあまり目を瞠った。

 驚愕が去ると、若き村長の胸中に疑問がわきあがる。

 国佐はあごに手をあてて考えに沈んだ。老婆が口にした事実が何を意味するのかを読み取るために。




 蓬莱国では基本的に女性に家の相続権は認められていない。貴族の家に跡継ぎとなる男児がいない場合、その家は蓬莱王によって断絶が宣告される。

 そうなれば多くの家人や臣下が路頭に迷ってしまうわけで、生まれた女児を男児と偽って育てる例が皆無というわけではなかった。



 もっとも、その偽証がおおやけになれば、お家断絶どころか、王をたばかった罪で一族郎党が処刑されてしまう。決して分の良い賭けではない。まっとうな当主であれば、そんな賭けには出ず、養子を取るなり何なり別の道を捜すだろう。

 斑鳩司祭もその程度のことは理解していよう、と国佐は思う。

 なによりも――



「斑鳩家は王家の血が入った名門なれど、代々権力から距離をおき、文化や芸術の振興に勤めてきた奇特な家柄だ。領地らしい領地はなく、あるのは名誉のみといっていい。したがって取り潰したところで、国にさしたる益はない。都の官僚どももそれがわかっているから、何代か前に女性当主を認めた例もあったはずだ。その家が陛下をたばかってまで、赤子の性別を偽るとは考えにくいな」

「さよう。ババも同じ考えですじゃ。とくに今代の当主である斑鳩司祭は、物堅いお人柄ですからのう。ですがな、若よ。だからこそ、ということは考えられませぬか?」



 老婆の問いかけに、国佐は眉をひそめた。

「だからこそ、とは?」

「斑鳩は王家の血が流れる名門。権力に関心を持たず、文化の発展に努め、今代当主は歴代当主に輪をかけた律義者。そんなお方なればこそ、秘密を託すこともできるのではないか、と思うのですじゃ」

「ババよ、また話が回りくどくなってきておるぞ。つまり何が言いたい? 斑鳩司祭は他家の子をあずかり、わが子として育ててきた、ということか?」

「御意」



 老婆がうなずくのを見た国佐は、鋭く目を光らせた。

「ふむ。だが、それを探ったとて何になる? 俺は恩人を脅迫するような外道に堕ちるつもりはないぞ」

「ババとて、若に外道に堕ちよとは申しませぬ。そもそも斑鳩家を脅したところで、得られるものなぞござらんでな。問題は斑鳩ではなく、斑鳩に子を託した家のこと。九郎殿が生まれた十七年前と申さば、王妃殿下がお亡くなりになられた年。後宮では次の妃の座をめぐり、あまたの美姫が悪鬼と化して醜悪な争いを繰り広げておりもうした」



 見てきたような話しぶりであったが、眼前の老婆がかつて王家に仕えていたことを知っている国佐は、黙って相手の話に耳を傾けた。その目に、指向性の強い光が宿りつつある。



「その争いを制したのは今上きんじょう陛下の母君であったわけですが、決め手となったは今上陛下の誕生でございました。言葉をかえて申さば、あの時うまれたのが男児でなければ、また別の妃が選ばれていた可能性もござった」

「……ふむ。陛下の母君は大瑠璃おおるりの一族だったな」



 大瑠璃家は蓬莱貴族の一つであるが、勢力自体は大きくない。むしろ小身といってよく、権力争いの外にいる家柄だった。その点、斑鳩家と通じるところがある。

 そのせいもあってか、大瑠璃の姫は妃座に対する執着が薄く、後宮の狂奔からも距離を置いていた。先代の蓬莱王が大瑠璃姫を選んだのは、そういった慎ましさと賢明さを愛したからであろう。また、大瑠璃家が小勢力であることから、何かと口出ししてくる姻戚(妻方の実家の一族)の煩わしさを避けることができる、という判断もあったに違いない。大瑠璃妃の前の妃は大家の出身だったので、先代はそれに懲りたともいえる。



 老婆はひひっと笑った。

「跡継ぎたる男児を産んだとあらば、他の姫や、その後ろ盾となっている大身の貴族たちも文句は言えませぬて」

「……女児であれば話は別だった、か。大瑠璃家からの頼みだけで斑鳩司祭が動くとは思えないが、大瑠璃の姫を選んだ先王がじきじきに頼むと仰せになったとしたら――」

「否、とは申せますまい」



 もちろんすべては推測に過ぎない。

 ただ、仮にこれが事実だとすれば、蓬莱は大きく揺れる。

 現在の蓬莱王は伏姫の傀儡であり、王以外の一族は謀略によって根絶やしにされた。少なくとも、国佐はそう考えている。



 尊き蓬莱王家の純血を守るのは、今となっては国王ただ一人。

 その国王が、実は先王の御子ではないと判明すれば、蓬莱国内は間違いなく混乱する。蓬莱人は『外』に関心を向けない分、『内』に対しては鋭敏だ。

 十七年前の一件に伏姫が関わっていないことは明白であるが、それは見方を変えれば、伏姫すら秘密を知らぬということ。であれば、この一件は現体制を打倒する切り札になりえる――



 そこまで考えた国佐は、苦笑しつつ天井を見上げた。

 自分の考えが推測を超えて、願望になりつつあることに気づいたからである。



「仮に疑惑が事実だったとしても、今の俺たちには告発のすべがない。どれだけ声高に叫んだところで民は聞く耳をもたないだろう。謀反人の戯言として聞き捨てにされるのがオチだ」

「ならば若よ。誰の目にも明らかな証拠を突きつければよい」

「証拠だと?」

「蓬莱王家に伝わる降魔の利剣、あれを用いるのですじゃ」



 老婆の言わんとすることを察した国佐は、ばしんと膝を叩いた。

「七星剣か!」

 王家の血を継ぐ者が握れば七色に輝くという蓬莱の国宝である。初代の蓬莱王がシルル神から授かったと言われており、実際、先代の蓬莱王が国事の際に腰に佩いたときは、虹のごとき輝きが国王を鮮やかに照らしたものであった。



 しかし、今代の王になってから七星剣が衆目に晒されたことは一度もない。それもそのはずで、先王が亡くなった際、副葬品として墓に収められたのである。



「今上陛下がそれを決したときは、お亡くなりになった父君への悼惜の念のあらわれであると思っておりましたが……今となっては別の思惑もあったのかも知れませぬなあ」

「自身が王家の血を引いていないことを悟られぬため、か。なるほど、辻褄は合う」

 国佐はうなずいた。

 とはいえ、七星剣を手に入れるためには墓荒らしをしなければならないし、仮に剣を手に入れたとしても九郎の協力がなければ活かしようがない。



 伏姫の支配が続いて、すでに数年。今日まで斑鳩司祭が動かなかったということは、伏姫の支配に対して蓬莱王家の血で対抗するつもりはないということだろう。であれば、九郎自身も自分の血のことを知らない可能性がある。

 もっといえば、すべては自分と老婆の考えすぎという可能性だってある。国佐はそのことも考慮していた。



「いずれにしても、すぐにどうこうできる話ではないな。まずは斑鳩司祭の安否を確かめることが先決だ。司祭が健在であれば司祭から話を聞くこともできる。もし、司祭の身に万一のことがあれば、九郎殿は復讐を志すはずだ。そのとき、あらためて話をしても遅くはあるまい」

 国佐がそう結論づけると、老婆もこくりとうなずいた。



 斑鳩司祭と教会の信徒たちが、伏姫配下の蓬莱兵によって連行されたという情報が明らかになったのは、この数日後のことである。




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