蛇足的オマケ話 嘘を吐く生き物
「なんかホラーにまつわる話とか無い?」
三流小説家気取りの男が、友人宅にて藪から棒に聞いてきた。
「いきなりホラーにまつわる話って言われても答えられるわけ無いだろ?ちゃんと順を追って説明しろよ」
友人のもっともなツッコミに、三流小説家は仕方なく説明する。
三流小説家が拙い自作の小説を投稿しているネットの投稿サイト。
そこの企画でホラーを題材に小説を執筆する事になったのだが、如何せんホラー小説など書いたことも無いので勝手が分からない。
何かいいアイディアは無いかと顔を出したと言うわけだ。
友人は最初からそう説明しろよとは思いながらも、なんだかんだ言っても自分を頼ってきたわけだし、無下にもできずに話をすることとなった。
「最近流行りの都市伝説なんかどうだ?テレビでもよく特集とか組まれたり、コンビニでもよく雑誌で見かけるぞ?」
「すでにある都市伝説をネタにしてもねぇ…。それに流行ってるって事は他の小説家がこぞって書くかも知れないだろ?周りと代わり映えしない小説書いても目立たないし、他の人とネタが被るとパクリとか言われるしね」
「贅沢言うなよ…。じゃ、どんなネタならいいんだよ?」
「そりゃ怖い話。ホラーなんだから怖がらせてナンボだろ?読者を骨の髄まで怖がらせたら、そりゃ小説家冥利に尽きるってぇもんよ!」
「怖い話…無くも無いけど辞めておいた方がイイぜ?面白半分でそういう小説書いてると、祟られたりするって言うじゃん?」
「いや、怖い話あるなら教えてくれよ!こちとらそれを聞きに来たんだから、勿体ぶったって仕方ないだろ⁉︎」
三流小説家がしつこく絡むので、友人は仕方なく話し始めた。
この話をネタにして、もし読者からクレームが来たとしても、自分は一切の責任を負わないと約束を取り付けてから…。
「嘘を吐く生き物ってしてるか?」
友人の問いかけに三流小説家は首を傾げる。嘘を吐く生き物など、人間ぐらいしか思いつかない。
「人間…な訳、無いよな?」
「ああ。嘘を吐かない人間だって居るしな。人間以外で嘘吐きの生き物だ」
三流小説家は更に首を傾げる。
考えに考え抜いて出した答えが虫などによる擬態。見るものを騙す擬態なら、嘘吐きなどでは無いのかと。
勿論、友人は擬態も否定。
いつまで経っても正解は出そうに無いので、仕方なくヒントを。
「その生き物は海の生き物」
…それでも答えられない三流小説家。
「その生き物は貝。それも巻貝。まだわからん?」
何故、貝が嘘を?
理解出来ない三流小説家に仕方なく三つ目のヒントを。そこでやっと三流小説家も答えに気が付いた。
「三つ目のヒント…嘘を別の言い方にしたら?」
「おい、ちょっと待て…それってひょっとしてホラか?まさか答えがホラ貝って訳じゃねーだろうな⁉︎」
友人はニンマリと笑い正解だと答えた。
「アホか!俺が求めてるのはホラーだよ!ホラ貝じゃねぇ!!なんの因果でホラー小説でホラ貝をネタにしなくちゃ行けねぇんだよ!」
三流小説家がツッコむように、ホラーとホラは別物。
ホラーがお題だからと、ホラ貝の話なんてしたら間違い無く読者から総スカンを喰らうであろう。
だが友人は全く意に介さずホラ貝の話でも書けと勧める。
「怖い話を求めてたんだろ?だったらホラ貝の話で充分じゃねぇか」
「どこが怖い話なんだよ!ホラ貝の話して怖がる奴なんかいるか!」
ホラ貝の話を否定する三流小説家に、友人は最後にこう言い残した。
「だってほら、怖い話って…怪(貝)談で言うじゃな〜い?」
FIN
ホラ貝…なんて怖いんだ!
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