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ひと夏限りの怪奇劇 ~交差する彼等の物語~  作者: 月詠学園文芸部
プロローグ
1/49

1-1 SVT。夏の遠征に出陣 

こんにちは!

初めましての方々は「初めまして。ここで会うことは既に決定づけられていた運命で在る」

既にお会いしたことのある方は「あなたが何故ここにいる……!?まさか、そうか、ここはパラレルワールド……!?」


はい、申し訳ありません

もう一度ちゃんと挨拶します。こんにちは!

永久院悠軌ともうします

このたびは、同僚物書きの蒼峰峻哉さんと久露埜陽影と共に『ひと夏の怪奇劇』を執筆しています。凡才稚拙物全力残念系書きです

メンバーの中で一番経験薄いんですけど色々あってトップバッターにされちゃっています。はい。恐れ多い


前書きなのでこのくらいにしておきます

あとがきにてこの企画の概要や、様々な説明をいたします


 ミンミーンミンミーンミンミーン。

「うるさいな……!」

 昨日の夜は暑くて寝苦しかった。

 だが、この電力が貴重な資源である事を学んでいる現役高校生の俺は冷房をつけようとは思わず、窓を開けて網戸にして風を通す事で無事に寝付けるようになった。

 ……それがいけなかった。

 外で鳴く蝉時雨が大音声で室内に聞こえ、太陽光が俺のベッドまで届いてきやがった。

 おかげさまで俺の朝は俺がもっとも嫌う形で迎えられた。

「はぁ……」

 俺の名前は赤木(あかぎ)(しるべ)

 某湖の近くの高校に通っている、ただの高校生——。

「——を、装っている者か……」

 回想を抜けてベッドから降りる。

 冷たくも何でも無いフローリングの床に足をつき時計を見る。

「……まだ時間あるな」




 今日は、少しばかし大きなイベントがある。

 いや、正確には今日から、数日間に渡ってだ。

 さて、このめちゃくちゃ暑い夏休みのイベントと言うのは、合宿だ。

 俺が所属するとある団体、SVTの合宿。

 まぁ、簡単なキャンプだと考えれる。

 一応、3年生の先輩は受験勉強で来ないし、1年生も地元に留まって仕事をしているから、2年生だけの合宿だ。

 SVTの説明はおいおいしていくとして、これからの流れを回想だ。

 今日はこれから、知人の知人が管理するキャンプ場へ向かう。

 荷物は既に昨日の間にまとめてあるから、後は時間までに最終チェックを行なえば良いだけだ。

 机の上に置かれた大きめのボストンバッグをフローリングの床に下ろして中身をチェック。

 半袖の服や、懐中電灯、折りたたみナイフ、等々のキャンプグッズが少々入っている。

 昨日も十分に確認しているから不足しているものはない。

「着替えるか……」

 いつまでも寝間着でも仕方ないからさっさと着替える事にする。

 洋服ダンスを開けて通気性の良い作業用ズボンとTシャツを取り出して、着替える。

 現地ではキャンプの活動を行うため、ある程度動きやすい格好で行く。

 着替えも終わったので、朝食をとる。

 リビングに降りて、雨戸を開けて日光を室内に入れる。

 親はまだ起きていないようだ。





 朝食をとって、身だしなみを整えてから俺は家を出発した。

 日差しの照りつける道路を歩く。

 アスファルトが吸収しきれない熱を放射し、俺の足首が熱にさらされる。

「暑いな……」

 ボストンバッグを肩からかけて歩くが、結構重いのと、予想以上に日差しが暑いのとで動きが鈍る。

 今回合宿する場所まではメンバーで集合して車で行く事になっている為、集合場所である湖の案内館に向かう。

「赤木」

「ん?」

 後ろから声をかけられて振り返る。

 こいつか……

「あぁ、冴崎さえざきか。おはよう」

「おはようさん」

 やや長めの黒髪、口調は男とも女ともつかない、いや、男に近いような口調。

 顔の造形は比較的整っている女子。

 名は、冴崎さえざき美咲みさき

 俺と同じ組織、SVTの構成員の一人。

 今日はいつもの高校の制服ではなくし七分丈のチノパンツと半袖のワイシャツを着ている。

 右手には旅行鞄が握られていて、涼しげな格好も相まって準備ができている様子は一目瞭然だ。

「集合場所は案内館だよな?」

「しっかりと把握してないのか……?赤木は任務外ではアホなのか?」

「ストレートに言うなし!……で、案内館で良いんだよな?」

「案内館じゃないぞ。マイクロバスは案内館の駐車場には入れないからな、湖広場の方の駐車場に集合だ」

「あぁ!そんな事言ってたな!」

 すっかり忘れてた。

 場所が隣接していて向かっている方向は間違ってなかったのが不幸中の幸いか。

「なぁ、赤木」

「ん?なんだ?」

「扇子を持っていないか?」

 ……。

 …………。

「そう言えば、持ってたわ」

 なんでこの炎天下の中使っていなかったのか。

 鹵獲された。




「赤木くん。荷物積むの手伝ってください」

「手伝うも何もさっきから俺しか積んでいないのだが……?」

 俺に指示を出して来るこの地味な印象の無感情系女子の名は、裏寡(うらか)香奈(かな)

 女子でありながら並外れた車輌への知識があり、バイクの免許等も持っている。

 彼女もまたSVTの構成員だ。

 そして、今回のマイクロバスでの移動の運転は、裏寡だ。(違法だ)

 俺は集合場所の駐車場に着いて、駐車してあったマイクロバスに荷物を積んでいる。

 女性陣がバスに乗る前に荷物を置いていき、バスに既に乗車してトランプ何ぞをやっているから俺が全部運んでいるのだ。

 裏寡だけは車輌点検で一度バスの周りを見ているのだが、裏寡の荷物もここにある。

 持ち物は女子だから仕方ないのかわからないが、大きな旅行鞄だったり、人によっては二つの奴もいる。

 そして、キャンプグッズ。

 テントが二つ分、その他諸々の道具がある。

 これが凄まじい重量だ。

 日頃から鍛えている俺でもかなりしんどい。恐らく普通の高校生では一人で持てても車に積むのは厳しいだろう。

「重い……!」

 多くの鉄塊(てっかい)が入っているバッグを持ち上げて車に入れようとしているのだが、ヤバい。

 旅行鞄の中には10数kgにも及ぶ鐵の塊だ。

 もはやバラバラにした死体でも入っているのではないだろうかと言う重さをしている。

「おい赤木……さっさと運べ」

「運んでるだろ!」

「お前がさっさと乗り込まないと俺の腕が千切れるんだ!急げ!急がないなら死ね!」

 キレている金髪男の紹介をしよう。

 チャラい外見だが中身は真面目な男で、SVTのメンバーの一人。

 五十嵐(いがらし)駿(しゅん)

 確かに口調は過激で目つきも悪いところがあるが、暴力的ではない。

 コイツは朝からSVTメンバーの一人の家に行ってここまで馬鹿でかい荷物を運んで来たから、既に腕が限界みたいだ。

「俺の腕はもうもたねぇんだよおおおおおおおおおおお!」

「うるさいぞ!こっちの鉄塊もヤベえんだよ!」

「るっせぇ死ね!」

「黙って我慢していろ!」

 コイツはキャンプグッズをかなりの数持って来ている様で本気で腕がヤバそうだ。

 だが、今日のメンバーでは一番筋力がある男だから、そこは我慢してもらおう。

「うおりゃああああああああ!」

 俺もヘビー級の鞄を持ち上げて、マイクロバスの狭いドアを通り抜ける。

 くそ重い。死にそうだ。

「っらあああああああああ!」

 後ろから五十嵐も折りたたみテントの入った袋を二つ抱えて侵入して来る……が。

 ブヅッ。

「取っ手がちぎれたあああああああああああああああ!!」

 ヤバい、袋の持ち手の部分が千切れたっぽい。

 五十嵐がバランスを取ろうと足場を移動させる……が。

「ぎゃあああああああああああああああああ!」

 一歩後退した事でマイクロバスの段差を外した。

 後ろに向かって倒れる。

 このままだと背面から舗装された地面に叩き付けられて後頭部強打、さらに激重のテント二つの重みが体を圧迫する。

 最悪、死。

「ファイトオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 俺は、手を伸ばしていた。

 スローモーションのように倒れていく五十嵐に向かい、腕を伸ばす。

「いっぱああああああああああああああああああつ!!」

 五十嵐は片腕でテントの袋を抱えつつ右手を伸ばして来る。

 そして、俺たちは互いの手を握る。

 一瞬にして俺の片腕にかかる負荷。

「「っだあああああああああああああああああ!!」」


 俺たちは、生存した。





 ブロロロロロロロ……。

 結局、全ての荷物を俺と五十嵐で積んだ。

 その後、無事に全員集合したのでバスに乗り込んで、間もなく出発だ。

『えー、現在気温は28℃、現地到着時間には32℃まで上がると言われています。適時水分補給を行ない、熱中症には気をつけましょう。現地には10時45分頃の到着を見込んでいます。ドライバーは裏寡香奈、安全運転に努めます。間もなく発車します、お掴まりください』

 裏寡(うらか)が車内放送で営業のバスの運ちゃんみたいな台詞を言いつつ全てのミラーを指差し確認でチェックして、クラッチを入れて走行を開始する。

 無免許のくせに揺れが少ない最高の走行開始。

 慣れた手つきでギアを入れてさらに加速。

 このバスは元々、廃車同然だった。

 元は廃車同然の状態だったマイクロバスを引き取って、それを直して走行できるまでにしたのは、SVTの三人の力だ。

「ねぇねぇしーくん!トランプやろ!」

 バスの後方から声をかけられてそちらに顔を向ける。

 小学生みたいな無垢な笑顔の女の子が俺を見てトランプを振っている。

 彼女の名は、葉城(はしろ)七美(ななみ)

 外見と中身は小学生だが、これでも高校2年生。

 後で説明する事になるが、手先が器用だ。

「なんで俺なんだよ……」

「だってマイちゃんとスピードやっても勝てないんだもん!」

「ナナちゃんは心に迷いがあるから」

 葉城の横にいる少女が呟く。

 ショートカットの髪、目つきはクールで、何を考えているのかよくわからない。

 間違い無く美少女なんだけど、わりと毒舌で謎が多い。

 コイツの名は鎌月(かまつき)(まい)

 それなりに広いマイクロバスの中でも隣同士で座っている事からもわかる通り、鎌月と葉城は仲がいい。

 というか、鎌月は葉城を溺愛している。

 百合、とか言う奴なのかも知れん。

 この鎌月も手先が器用だ。

 そう、このマクロバスの修理は運転士の裏寡と手先が器用で実は機械系の知識が並外れている葉城と鎌月、この3人で修理されたのだ。

 SVTでもトップランクの技術系だから、このバスも安心だ。

「ほら!しーくん早く!」

「あいよ……」

 バスの中を歩いて、車両後方に移る。

 ……。

 一番後ろ、隅の席では冴崎が読書をしているな。

 酔わないのかな……。

 車両全体を見渡すと、運転席の後ろ乗客用入り口から一番近いところの椅子には五十嵐が座って爆睡しているのが見える。(疲れたのだろう)

 そして、今まで気つかなかったが、運転席の隣、助手席にも座っている人影がある。

 背が低い、小学生みたいな少年の姿。

 SVTの小学生外見の二人目、水爪(みつま)(しょう)

 大人しいショタだと思ってくれれば構わない。

 コイツの特技は『気配操作』。

 自分の気配を極限までゼロに近づけたり、存在感を操る事が出来る。

 今は助手席で付近の景色を見ているが、あいつさっきまで気配消して荷物積むのサボりやがったな……。

 さて。

「勝負だよ!しーくん!」

「……臨むところだ」






 さて、一通り知っているトランプゲームを終えた頃、今回の合宿の会場であるキャンプ場についた。

『はい、お待たせいたしました到着です』

 裏寡の声で到着を知らされて周りを見渡す。

 窓の外には緑の山が広がっていて、アスファルトの駐車場の周りは全部山だ。

「ひゃっほー!」

 葉城が飛び上がって喜んでいる。

「さて、まず最初は管理人さんに会いにいく事からだな」

 取り敢えず仲間と荷物はバスの中に置き去りにして、車を降りて歩いて行く。

 山の少し開けたところを通っていくと河原のキャンプ場が広がっている。

 湖があり、釣りを楽しむのもよし、開けた石のフィールドでバーベキューを楽しむも良し。

 一般的なキャンプ場だ。

 何個かロッジもあるが、俺たちはテントで寝る事にしている。

 ロッジの近く、少し大きな建物に向かう。

 近づくと、これが古い建物である事がわかる。

 なんて言うか、結構、趣がある。





「こんちわー」

 俺は建物の中に入り、声を出す。

 この建物はキャンプ場の受付で、管理人さんが居るはずなのだが……。

「はーい」

 あ、いた。

「おまたせしましたー。はい、予約はされてますか?」

 初老、というか老人の男声が営業スマイルで登場して聞いてくる

「いえ、御奈沢みなざわさんから紹介されてやって来た『SVT』です」

「あぁ!SVTの方々ですか!これはどうも、遠いところからありがとうございます」

 管理人さんはこちらに笑顔を向ける。

「何でも、お手伝いをしてくれるとかで」

「はい。薪割りと、汚れたところの清掃を行ないます」

「どうも、ありがとうございますね」

 このキャンプ場は俺の先輩である御奈沢先輩と言う人に紹介された場所だ。

 ここの管理人さんは現在1人でこのキャンプ場をきりもりしていて、受付から清掃まで一人で行なっていたのだ。

 だが、ここ最近体力が落ちて来て薪の調達が出来なくなった。

 最近のお客さんはここで大量の薪を買ってキャンプファイアーを楽しむ事が多いため、薪が無ければ利用者も減ってしまう。

 さらに最近は湖に不法投棄されたゴミがキャンプ場の方にも流れ着くようになってしまった為、そちらの清掃も必要になっている。

「本当に助かりますよー。あ、場所ならただで使うってことで了承していますから。好きな場所を使ってください」

「ありがとうございます。精一杯ボランティアさせてもらいます」

 これは、ギブアンドテイクだ。

 管理人さんが場所を俺たちに貸してくださり、俺たちはそれ相応の仕事で応える。

「これが、仕事ですから」





 SVT。

 正式名称はSecret Volunteer Team。

『利他性』『自主性』『無報酬性』のボランティアの三原則に基づく完璧なボランティアを行なう為に構成された秘密組織だ。

 今回は、無報酬ではなく『場所の貸与』という報酬がついてしまうため、ボランティアとは言えないが、自主性と利他性を目的とする事に変わりはない。

 All For All。

 全ての人間が全ての為に。

 俺たちは全力で働く。

 この合宿では精一杯管理人さんの役に立ってやる。



 見せてやる、SVTの力。

あとがきまで辿り着くとは、さすがは選ばれし最強の読者の素質を持つ人間だな。

あ、すみません

ご覧いただきありがとうございます!

永久院です


では早速、この『ひと夏限りの怪奇劇』の説明をいたします

この小説は、いわゆるコラボ小説です

前書きでも書きました、久露埜陽影さんと、蒼峰峻哉さんと一緒に、三人で執筆していきます

一話ずつ書いて、バトンパスしていきます

このコラボの内容は、各者連載をしている小説のキャラクターを登場させて、一緒に生活させる。と言うものです


僕がコラボに登場させるのは、この第一話で登場した七人です

拙作、強襲ボランティアに登場する人たちです

あ、URLはこちらです

http://ncode.syosetu.com/n1983bl/

せ、宣伝じゃないんですよ?

みなさんが少しでも気になって頂けたら検索をかけると言う手間なく読んで頂ける為に載せているだけです((はい

あの……内容としては全力残念系コメディですので、そう言うのがお好きな方は少しでも目を通して頂けると嬉しいです


はい、一応他二名のURLも載せておきます


蒼峰峻哉

今日からあなたが七不思議

http://ncode.syosetu.com/n0240bi/



久露埜陽影

ファルシオン学園の闘争記

http://ncode.syosetu.com/n9449u/


他の人の作品を勝手に適当言って説明して間違ってたら困るので説明はしません


えーと……


本当はこのくらいであとがきは終わるのですが

多分、『一話目の説明じゃキャラの詳細がわからなーい』と思う方も多いでしょう

すみません。技量不足です

僕としては「本編を見て頂くのが一番分かりやすいです」と答えたいところなのですが、そこまでお手数を取らせてしまうのも申し訳ないので、この場をお借りして簡単に説明させて頂きます

赤木たちはSVTというボランティア組織に所属している人間です

SVTの活動内容は、完璧なボランティアを行なうことです

学校推奨のボランティアと称される活動ではなんだかんだで飲み物などの報酬が渡されてしまうため、彼らはそれをボランティアと呼びません

「誰にも見つからなければ誰にも報酬を渡されない」と言うことで、夜中の街を駆け巡りボランティアを行なうのが、彼らです

慈善活動の鬼、とでも呼びましょうか

彼らはボランティアの為なら自らの危険は顧みず、何が何でも任務を達成します

個々の個性は様々ですが、一様に人助けへの想いは常人離れしています




はい、すみません凄く長くなっています

一話目なので長くなってしまいました申し訳ありません

では、そろそろ次に回します

次の人は……蒼峰先生ですね


またお会いしましょう

(−2+3n話)=(3n−2話)=(1話、4話、7話、10話……)を担当しているのが、永久院ですので


さあ!蒼峰先生頑張っちゃってください!!

4話でまた会いましょう!!

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