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被害者の家族

宮崎啓一の自宅は緒方周作の自宅に比べて質素なものだった。それでも安月給の陽介にとっては、2LDKの部屋は充分豪勢に思えた。

「どこが質素だ!!安月給の俺に対する嫌がらせか!?つーか、安月給で悪かったな!!」

ナレーションに突っかからないでいただきたい。

「大声で安月給を暴露してる暇あんのかよ。安月給くん?」 「うるせー!!」

とにもかくにも、第2被害者の家族に事情聴取である。

「あ、プラス綾音さんな」

「だからナレーションにコメントすんなって…」


1人目は宮崎文代。啓一の母である。スマートなおっとりした美人だが、今は息子の死にショックを受け、美しい顔に悲壮感が出ている。

「お辛いと思いますが、息子さんについて伺ってもよろしいでしょうか?」

「はい…息子は、とても真面目で、勤務先でも遅刻などせず頑張って働いておりました。」

「勤務先というと、大手スーパーでしょうか?」

「はい…ずっと就きたかった販売の仕事に、ようやく就けたと…とても喜んで、頑張っておりましたのに…」

そう言うと、文代は泣き崩れてしまった。

「これ以上は聞けそうにねぇな。」

「だな。文代さん、お辛いところご協力ありがとうございました。」

「いえ…息子のためですから…」

「またお聞きすることがあると思いますので、連絡先を教えて下さいますか?」 「分かりました。」

2人目は宮崎孝太郎。啓一の父である。 こちらも理知的な顔を悲痛に歪めている。

「あんな真面目で働き者の息子が誰かに恨まれてるなんて考えてられません。」 「息子さんは緒方綾音さんとお付き合いをしていたと伺いましたが…」

「綾音さんですか?刑事さんだから言いますが、2人は結婚するはずだったんです!それをあの男…緒方周作が邪魔したから破棄になりましたがね。」

孝太郎は興奮が冷めると、急に用事ができたと言って帰っていった。


3人目は緒方綾音。先ほど述べた通り啓一の元恋人である。 綾音も他の2人より落ち着いてはいたが、目元が赤く腫れていた。

「いきなりですが、お父様が亡くなる前に、啓一さんがお父様とどんなことを話していたか、ご存じでしょうか?」

「分かりません…あの人が父と会っていたというのも、初めて知りました。」

綾音は戸惑いながらも答えた。時々雅人をちらちら見ていたが、我慢できなくなったのか

「あの…その方は一体?」

「あ、こいつは俺の友人でして…難事件のたびに呼ばれるほどの名探偵なんです。気にしなくていいですよ。」

「はあ…。」

こうして全員の事情聴取は終わった。

雅人は部屋を見回していたが、後ろから声をかけられ振り向いた。

「綾音さん…?」

そこに立っていたのは何か迷っている様子の緒方綾音だった。

「あの…探偵さん、なんですよね?」

「はい、まあ…」

そこでまた少し迷っていたが、決心したのかはっきりした口調で言った。

「婚約者が行方不明なんです。」

「婚約者が…?」

「はい。私の婚約者の進藤翔が行方不明なんです。」

「いつからです?」 「もう2週間は連絡が取れていません。」「それで俺にどうしろと?」

「刑事さんに内緒で探してほしいんです。」

雅人は少し考えて、 「いいでしょう。できる限りやってみます。ですが…」

「何でしょう?」

「1人だけ話して協力してもらいます。さっきの刑事ですが…いいですよね?」 綾音は少し迷ったが、すぐに頷いた。

「はい。よろしいです。」

「なら婚約者さんを全力で探します。」 「よろしくお願いいたします。」

綾音は頭を下げるとハイヒールを鳴らしながら帰っていった。

「……………。」


陽介は警部への報告が終わると、雅人を呼びにリビングに入った。すると、何か考え中の雅人が目に入った。

(こういう時のあいつはそっとしとくに限るな。気付くまでここにいよ。)


数分後、陽介は頭を叩かれ目を覚ました。

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