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前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。  作者: 八神 凪
波乱の学校生活

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65.二転三転


 黒幕の片割れであるヴィクソン家が接触してきた。

 さっき閃いたエリベール狙いの襲撃を考えると向こうに行くかと思ったが、助けて欲しいと懇願されるとは思わなかった。

 とりあえず真意が分からないので話を聞いてみるとするか。


「……逃げないから離してくれるかな? エリベールにずっと抱き着かれていて疲れてるんだ」

「おっと、すまない。というか余裕だね……」

「十歳とは思えませんわね」


 悪いね、中身は35歳だ。

 

「それはともかく、助けてってのはどういうこと? あなた方はツィアル国の宮廷魔術師と繋がっているんじゃないんですか」

「……!? 知っているのかい!?」

「ええ、それこそ『ブック・オブ・アカシック』で。【呪い】のこともね」

「あなた、やっぱり……」

「そう、だね。アル君の言う通り、僕達はツィアル国と繋がりがある。とはいってもあの宮廷魔術師であるエルフとだけ。それに直接契約したのは僕達じゃない」

「うん、二百年も前の話だしね?」

「そこまで分かっているのか……」


 呆れた様子で話し始めたエドワウはそこからポツリポツリと事情を聞かせてくれた。彼のおかげで色々と分かったことがある。


 まず、二百年前に契約した先祖はどうしても王族の椅子が欲しかったようだ。

 当時の王候補は兄弟二人。

 そのうち優秀な弟の方が選ばれ、婿に入ったのだそうだ。


 すると兄より優秀な弟など居ないと怒り狂った兄は、屋敷に自分を売り込みへ来た魔法使いに【呪い】を持ちかけられ、手に染めた。

 

 結果として、弟は亡くなったが子供は出来ていたので王位が変わることが無かった。兄は魔法使いに激怒したが時すでに遅し。

 逆に脅迫されることになった。


 (もし呪いをかけたのがお前だと知られれば極刑は免れまい。私は魔法でいくらでも逃げおおせるがな)


 そんな口から出まかせみたいなことを言い、操り人形にしたというわけだ。

 そのクソエルフはツィアル国に潜り込むことをその兄に告げて姿を消した。


 だが、本当の悪夢はここからだったのだ。


「――結局、僕達一族にも【呪い】がかけられていたんだ。寿命が短くなるわけじゃないけど、謀反を起こそうとした祖先はことごとく殺されていた」

「即日?」

「即日みたいですわ」


 ふむ、そうなるとこの状況はマズイのではないだろうか?

 監視されているのか?

 そういう魔法は聞いたことがないが、もしかしたらエルフほど長生きしているからこそ出来るというものがあるのかもしれない。

 そもそも【呪い】のかけたかもよく分からないしな。


「今まさに裏切ろうとしているわけだけど、大丈夫そう?」

「そうだね、特に異変は無いかな? それで、僕の一族の【呪い】を解く方法を調べてくれないか? そうすればディアンネス様に打ち明ける。もちろん僕が罰を受けるよ」

「大丈夫? ヴィクソン家が取り潰しになるんじゃない?」

「……仕方ありませんわ。それでも、息子を助けてくださればエドワウの血は続きますし……」

「子供? 子供が居るんですか?」

「君より少し小さい子がね。本当はエリベールを攫うかしようと思っていたから屋敷に置いてきたけど」


 俺は慌てて『ブック・オブ・アカシック』を取り出し、ヴィクソン家の子供ついて問う。


「おい、エドワウの子供はこの後どうなる?」


 すると――


 ‟ヴィクソン家は全員死ぬ。だが歯車は変わった、ボタンは掛け違った。知らないことが起こるかもしれない”


「適当な……! エドワウさんの屋敷に行こう。子供が気がかりだ」

「わ、わかった……ほ、本当に『ブック・オブ・アカシック』なんだ――」

「エリベールとディアンネス様には?」

「そうか……そっちの問題があった。ここで俺が移動したらエリベールがどうなるか……『ブック・オブ・アカシック』よ、ここで俺が動くのは正解か!?」


 ‟問題ない。本来ならこの時点でエリベールは死んでいたからだ”


「~っ!? 後付けで重要そうな情報を! くそ……!」

「ど、どこへ?」

「ディアンネス様に話をしてくる! 一緒に来てくれ!」


 エドワウとミスミーに叫びつつ、俺はドアを乱暴に開けて通路を駆けだす。

 今は大丈夫? 二百年もこんなことを続けているヤツが屋敷から離れたら効果が無くなるなんてガバガバなことはしないだろう。


 屋敷に帰ったら子供が死んでいるのを見せるくらいはやりそうだ。

 死んでさえいなければなんとかなる……はず。


 ヴィクソン家の二人が死なれたら宮廷魔術師を追い詰める手段が減る。

 それは避けたい。

 

「ディアンネス様!」

「どうしたのアル? 一緒に寝る?」

「ち、違います!? 実は――」


 俺が先ほどの件を話していると、エドワウ達も加わる。

 内容は知っていたので、驚くことは無かったがディアンネス様は険しい顔に。


「……早く戻りなさい、子供は宝よ。アル、行くのね?」

「ええ、エリベールには内緒に」

「すぐばれるけど、任されたわ。エドワウ、騎士数人を連れて行きなさい」

「よ、よろしいのですか?」

「元々、くだらない契約をしたのは先祖ですからね、すぐに手配します」


 ディアンネス様は近くに居た兵士に声をかけ、すぐに俺達は出立することに。

 

 まったく、俺もお人好しだよ。

 乗り掛かった舟とは言え、ここまでする必要があるだろうか?


 ――俺の中ではあるんだよな。ま、性分だ、仕方ない。

 それこそくだらない、無意味な行動で家族を殺された俺は、こういう風に家族を贄にして脅迫するのは許せないのだ。

 

 出来る限りのことはする。


「どれくらいで着く?」

「飛ばして三時間くらいだ」

「頼むぜ、間に合ってくれよ――」

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